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83.太陽の塔

========= この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

南部[江角]総子(ふさこ)・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

南部寅次郎・・・総子の夫。南部興信所所長。

大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。走るのが速い。

北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった(EITOガーディアンズ)。

本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。

大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。

芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

用賀[芦屋]二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。

小柳圭祐警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。EITOガーディアンズ。

真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

今奈良リン・・・大阪府警巡査。EITO大阪支部に出向になった。

佐々一郎・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部補。

友田知子・・・南部家の家政婦。実は、芦屋グループの社員。

本庄尚子・・・弁護士。南部興信所、中津興信所顧問。

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= EITOとは、EmergencyInformation Against Terrorism Organizationを指す =

== EITOガーディアンズとは、EITOの後方支援部隊のことである ==

※太陽の塔

高さ70メートルの塔で、正面中央・上部・背面に付いた3つの顔と左右の腕が外観上の大きな特徴である。塔の内部は「生命の樹」と呼ばれる生物の進化というテーマに沿った。「太陽の塔」は過去・現在・未来を貫いて生成する万物のエネルギーの象徴であると同時に、生命の中心、祭りの中心を示したもので、博覧会開催期間中、博覧会来場者(約6,400万人)に多くの感動を与えました。

高さ約70mの「太陽の塔」は、両腕を広げてそびえる斬新な像は、圧倒的迫力と存在感!大阪万博の際、芸術家・岡本太郎がパビリオンとしてデザインしたもので、当初は取り壊される予定でしたが、昭和50年(1975)に恒久保存が決まりました。

展示フロア、中間フロア、回廊フロアに分かれており、観覧時間は約30分です。

※エキスポランドは、ジェットコースター事故と経営難により、2009年2月に破産しました。1972年に大阪万博の跡地に開業しましたが、2007年の事故でイメージダウンし、客足が激減。その後、経営再建を試みましたが、見果ぬかず破産に追い込まれました。

その後、三井不動産による「EXPOCITY(エキスポシティ)」が2015年11月に開業しました。シネマコンプレックス、大観覧車などの八つの大型複合施設と、全305店舗の「三井ショッピングパーク ららぽーとEXPOCITY」で構成されています。

大阪府は、民間資金を導入した跡地利用の取り組みを進めて来た。国内外からの集客効果や大阪のエンターテインメント機能の創出をめざし、跡地利用の事業提案を公募。同年12月に三井不動産を再開発事業者に選出しました。尚、ジェットコースター事故は2007年5月5日(土)、午後0時50分ごろのことでした。

午前9時。EITO大阪支部。

マルチディスプレイに、大阪府警の小柳警視正が映っている。

「完全な解決とはいかないが、解決出来て良かった。立てこもり犯の要望に応える訳ではないが、吉本知事は、補賞を認めさせるように努力する、と言っている。『お上の線引きは非情』過ぎたからな。彼らは利用されただけだ。70年前の事件をネタに。情状酌量の余地は充分あるさ。蛭田教授が、『不思議な液』の解毒剤を開発した。大きな病院から順に配置される。ああ。府警内部からEITO大阪支部に万博の警備をという声が上がったが、断っておいたよ。いいよね、大前君。」

「ありがとうございます。いつどんな事件が起こるかも知れませんから。『五十音順脅迫事件』みたいに。」

「何かあれば、また連絡する。では。」

マルチディスプレイから、小柳の顔が消えると、「では、だって。」と、珍しく、いずみが茶化した。

「まあ、ええやないか。午前中は訓練、午後は臨時の休暇や。自由にしてくれ。」

大前が締め括った。

午後1時。総子のマンション。

総子は、久しぶりに夫婦で昼食タイム。

南部は、CDプレイヤーに、懐メロ曲をセットし、ゆっくりと食べていたが、と突然、平穏は断ち切られた。

ホットラインの電話もあるのだが、緊急のインターホンも設置してある。上の階の二美は、用賀と結婚してから引っ越したが、まだ部屋は使用可能になっている。上の階は『実家』だそうだ。

「総子。緊急!太陽の塔で『立てこもり』、被疑者はナイフと拳銃を持っている。警察官と警備員は観客避難誘導が精一杯。大阪支部から、小町ほか3名が先発隊として出動。すぐ駐車場に来て。こちらからもオスプレイを飛ばす。」

「何で大阪支部からやないんや?」と、南部は大阪支部と繋がるディスプレイをみたが、理由は簡単に分かった。

何と、PCとディスプレイに繋がるコードが抜けかかっている。掃除をした時にでも外れたのだろう。

総子は、食事を止め、非常食をポケットにして、簡単に身支度をすると、エレベーターに乗った。

このエレベーターは、地下2階のオスプレイ専用駐車場と、二美の部屋に繋がっている。

地下に降りると、既にオスプレイは離陸準備をしていた。

「二美ネエ。他に分かったことは?」「って言うか、何で大阪支部のホットラインが通じなかったの?」「ゴメン。掃除したとき、コンセントに・・・。」

午後2時。太陽の塔。

近くの『駐車場』にオスプレイは着陸した、その駐車場には、既にもう1機、オスプレイは着陸している。

「兄ちゃんも来てたんか。」と、総子は呆れた。『小町ほか3名』であって、『大前ほか3名』じゃないことに多少は引っかかったが、総子は気にしないことにした。

詰まりは、大前、小町、いずみ、弥生で、いずれも元ヤン隊員ではない。偶然だろうが。

「状況は?」「佐々ヤンが聞き出したところによると、ジェットコースター事故の犠牲者らしい。」「怨恨か。」

「2007年5月5日。ゴールデンウィークのことだったから、大阪府民に取っては、トラウマ的な事故だった。俺が警察官になった年や。大阪府は地主で、事故起こしたんは、民間会社やけどな。2012年に解体始まったフェスゲも2007年7月31日に閉館している。佐々ヤンが聞き出したところによると、フェスゲのことも言っているようやから勘違いしているんやろ。大阪市出資の第三セクターの会社の運営やったが・・・とにかく、ナイフはともかく、拳銃はモデルガンでも救いようがないな。」

いち早く動いたのは、小町だった。

あっと言う間の出来事だった。

銃声が鳴り響いた。現場の、太陽の塔の右腕の部分に総子、大前、いずみ、弥生が追いついた時は、小町が被疑者の体を抱きかかえていた。

被疑者は自らの体に撃った。自殺だった。

「鷲羽山北岡会。聞き出せたのは、それだけだった。」

小町が呟いた、同じ頃、大阪府警に出頭した者がいた。

北岡会若頭、いや、専務の郷戸勇だった。

午後6時。総子のマンション。

南部が、横ヤンからの報告の電話を受けていた。

「ご苦労さんでした。」

南部は、細かい所にも気を遣う。

花ヤン、横ヤンには『ご苦労さんでした』、幸田と倉持には『ご苦労さん』。

「大前さんが推理した通り、あのジェットコースター事故の犠牲者やった。無念やったんやろうな。黙ってても、毎年ゴールデンウィークはやってくる、こどもの日はやってくる。まだ、どこかでジェットコースターがあれば、そこで死ぬ気やったかも知れんな。リニューアル予定のみさき公園はジェットコースター、あったかな?被疑者の棚橋進は、膵臓癌やったらしい。同じ病院に入院した北岡が、えらく同情をした。それもそのはず、北岡の孫も、あの事故で重傷を負ったらしい。棚橋は、エキスポランドのジェットコースターに乗る前に、1970年の万博でも子供と一緒にやってきた。あの塔の中で、幻の娘と話していたんやろ。『お父ちゃんももうじき行くさかいな』って。」

「小町も、あの事故の時、現場にいたらしい。コースターには乗って無かったけど、順番待ちの列に並んでた。何とか説得しようとして行ったら、一足先に自殺してた。拳銃の出所聞き出したから、EITOエンジェルズ出動やと思ったら、北岡の身代わり出頭やったか。拳銃渡した証拠なんか見つからんわな。銃刀法違反で引っ張れても。」

「事故率が低くなっても、メンテを多くしても、事故はゼロにはならんやろな。エスカレーターのどちら側優先が正しいかとか事故の危険あるとか言う位なら、危険な乗り物減らして欲しい。電動キックボードやったっけ?何で免許要らんのか、よう分からん。」

知子が用意した、すき焼きは、しゃべりながら食べる間に無くなった。

南部は、冷蔵庫から、うどんを出した。

「何か忘れてる気がするな。」「あ。えんどうご飯か。明日の朝飯にするか。」

仲良し夫婦は、気が合う夫婦だった。

―完―

◎物語の都合上、止むなく実名を多く使っています。

クライングフリーマン

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