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第6話 クラスメイト④ 三宅 叡斗

 三宅 叡斗みやけ えいとも由佳たちのクラスメイトで、さらに生徒会の庶務兼書記だった。


「叡斗くん、おはよう!」


 ノリの良いかえでは叡斗とハイタッチで朝の挨拶を交わした。


「で、なんの話?」


静子しずこはモテるって話」


 狗巻いぬまきと叡斗はお互い拳を伸ばして、コツンと突き合わせた。

 これがふたりのいつもの挨拶だった。


「ああ、そういう話ね」


「そ、そういう話って、叡斗君、それはどういう───」


「いや、ほら。ポストは赤いとか、電信柱は真っ直ぐっていう話ってこと」


「わ、わたしはこの件は由々しき事だと捉え、日々、真剣に───」


「それよりさー」


 静子の話の途中だが、叡斗は頭の後ろで手を組んで「由佳って今週末は、バイトだろ?」と話を始めた。


「え? うん。そうだけど?」


「よし。 じゃあ、今週末、バイト先に行くわ」


「ええ~? また~? 店長から聞いたけど、叡斗って昨日も来てたんでしょ? ほとんど毎日きてるんじゃない?」


 由佳は駅の近くにあるカラオケ店でアルバイトをしていた。

 ちなみにそのカラオケ店は楓の実家が経営していて、店長は楓の兄の市原 顕乗いちはら けんじょうが勤めていた。


「毎日じゃないさ。オレが行くのは…、その…、由佳がバイトに入ってるときだけだよ。昨日は岩倉いわくら木野きのが行きたいっていうから付き合っただけだよ。もうすぐ由佳もバイト辞めるし、それまでに行っておきたいんだよ」


 由佳は受験が本格化するので、この夏休みを最後にアルバイトを辞める意向を伝えていた。


「さすが成績がダントツで学年一位の叡斗くん。毎日カラオケ三昧とは余裕だね~。」


 叡斗はこうみえて成績がとても優秀だった。


「まあ、オレの成績が良いのは特別な『能力ギフト』があるからな。あ、そうだ。能力ギフトで思い出したんだけど、オレって2つ目の能力がどうもあったっぽい」


 しれっと凄いことを叡斗が言い出したので、由佳も静子も楓も、そして口数が少なく、あまり感情を表に出さない狗巻も「ええー!?」と驚いた。

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