「叡斗くん、おはよう!」
ノリの良い
「で、なんの話?」
「
これがふたりのいつもの挨拶だった。
「ああ、そういう話ね」
「そ、そういう話って、叡斗君、それはどういう───」
「いや、ほら。ポストは赤いとか、電信柱は真っ直ぐっていう話ってこと」
「わ、わたしはこの件は由々しき事だと捉え、日々、真剣に───」
「それよりさー」
静子の話の途中だが、叡斗は頭の後ろで手を組んで「由佳って今週末は、バイトだろ?」と話を始めた。
「え? うん。そうだけど?」
「よし。 じゃあ、今週末、バイト先に行くわ」
「ええ~? また~? 店長から聞いたけど、叡斗って昨日も来てたんでしょ? ほとんど毎日きてるんじゃない?」
由佳は駅の近くにあるカラオケ店でアルバイトをしていた。
ちなみにそのカラオケ店は楓の実家が経営していて、店長は楓の兄の
「毎日じゃないさ。オレが行くのは…、その…、由佳がバイトに入ってるときだけだよ。昨日は
由佳は受験が本格化するので、この夏休みを最後にアルバイトを辞める意向を伝えていた。
「さすが成績がダントツで学年一位の叡斗くん。毎日カラオケ三昧とは余裕だね~。」
叡斗はこうみえて成績がとても優秀だった。
「まあ、オレの成績が良いのは特別な『
しれっと凄いことを叡斗が言い出したので、由佳も静子も楓も、そして口数が少なく、あまり感情を表に出さない狗巻も「ええー!?」と驚いた。