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128(2,999歳)「女神様から直々に稽古をつけて頂く」

「ってことで助けてください女神様ぁ~~~~ッ!!」


 おなじみの真っ白な不思議空間にお招き頂き、この空間の主にして全知全能神の女神様に泣きつく。


「はいはいどうしましたアリスちゃん――って魔王の従魔にさせられて危うく王国を滅ぼしかけたぁッ!? は、ははは……相変わらずハードモードですねぇ!」


「ちょっ、笑ってないで助けてください! 切実なんです!」


「あ、あはは……ですよね、ごめんなさい。苦労をかけますね……」


「そもそも魔王の【従魔テイム】に抵抗するのにどのくらいの【精神力】が必要かも分からないのに、半日で7しか上がらないのはキツいです……」


「魔王の魔力はどのくらいだったのですか?」


「へ?」


「魔王を【鑑定】しなかったのですか?」


「――あ!」


 そうだよその手があった。

 なんか『ラスボスだし【鑑定】なんてムリでしょう』的な先入観があったよ。


「ちょっと行ってきます! ここに【ふっかつのじゅもん・セーブ】からのぉ【ふっかつのじゅもん・ロード】!」



    ◇  ◆  ◇  ◆



 魔王に【従魔テイム】される直前の場面を【ロード】し、目の前の魔王に向かって、


「全力で【鑑定】!」


「「「「「なっ!?」」」」」


 魔王と周囲の人々が驚き、即座に私を敵とみなして反撃体制に入ろうとするが、私は【鑑定】結果を視界に収めてトンズラ【ロード】!



    ◇  ◆  ◇  ◆



「戻りましたぁ~」


 女神様の前に【ロード】する。


「どんな感じでした?」


「こんな感じでした」


【おもいだす】に保管されている魔王のステータスをウィンドウ表示して女神様にお見せする。




**************************************************

【名前】 ルキフェル13世

【年齢】 4歳(+3.8)

【職業】 魔王

【称号】 魔王 魔物を統べる者 人族の天敵

【契約】 魔法神マギの使徒


【LV】 11

【HP】 916/916

【MP】 4,294,967,102/4,294,967,295


【力】   78

【魔法力】 429,496,729

【体力】  81

【精神力】 429,496,729

【素早さ】 98


【魔王固有スキル】

  無制限従魔テイムLV10


【戦闘系スキル】

  闘気LV1


【魔法系スキル】

  魔力感知LV10 魔力操作LV10

  土魔法LV10 水魔法LV10 火魔法LV10 風魔法LV10

  光魔法LV10 闇魔法LV10 時空魔法LV10


【耐性系スキル】

  苦痛耐性LV10 精神耐性LV10


【生活系スキル】

  ルキフェル王国語LV3 カリスマLV4

**************************************************




「なんというか、完全な魔法特化型生物って感じですね……ビンタひとつでれそうです。まぁ【物理防護結界】で防がれるでしょうけど。っていうか4歳ですよ4歳……んんん、プラス3.8って何ィ? まぁとにかく4歳の子供に魔王やらせるとか、魔法神は何考えてるんですかね!?」


「そんな幼い魔王だからこそ、先代勇者が封印できたとも言えますね」


「確かに……でも魔力43億って何ですかコレ。魔法力だけじゃなくて精神力も異常に高いし」


「その代わり、【魔王固有スキル】が少ないでしょう? スキルの代わりにステータスに振ってる感じですね」


「な、ナルホド……」


「しかし【魔法力】429,496,729ですか……ということは、魔王の【従魔テイム】に抵抗するためには、【精神耐性】×【精神力】が4億3,000万以上必要になるでしょう」


「ムリムリムリムリカタツムリ!!」


 半日で7しか上がらないのに、今から4億3,000万近く上げるとか!

 仮に【精神耐性】LV99になったとしても、4,300万の【精神力】が必要なんでしょ!?


「えーとえーと、半日やって7増えたってことは、食事と睡眠以外ずっと養殖に充てたとして1日当たり10くらい上がる。4,000万 ÷ 10 ÷ 365で1万年ちょい……? あれ、意外といけるのでは?」


「アリスちゃん、ステータスは上げれば上げるほど、上がり幅が少なくなるので、1万年どころか10万年でも終わらないと思いますよ。というか、1万年を『意外といける』とは、さすがアリスちゃんですね」


「じゃあやっぱりムリじゃないですかぁ!」


「実はひとつ、『奥の手』があるのです」


 女神様がにっこりと微笑む。


「ですが、それについて説明する前に、まずは【精神耐性】の方をカンストさせてしまいましょうか。スキルの方は、使えば使うほど伸びるのですから」


「えっ!? 女神様直々に稽古つけて下さるんですか!?」


「特別ですよ?」


 女神様と私の間に豪奢な猫足のテーブルが出てくる。

 そして女神様が、テーブルに右ひじをついた。


「えーと?」


 女神様がにっこりと微笑み、


「魔力腕相撲ですよ」


「何ですって!?」


「【吸魔マナ・ドレイン】も攻撃魔法判定ですから」


「女神様の御手に、触れられる!?」


「あー、そっちですかー」


 だって私は女神様の従魔だもの。女神様大好き度ならたぶん世界一。


「い、いいんですか!? 触りますよ!?」


「ちょ、目を血走らせるのは止めてください! 気持ち悪いです!」


「ガーン!!」


「口で言うとは、意外と余裕あるんでしょう?」


「あはは、バレました?」


 無詠唱で【リラクゼーション】したからね。


「ええと、では失礼致します」


 女神様の手を握る。

 15歳相当の肉体に【エイジング】している今の私と女神様の手のサイズはほぼ同じだった。


 そして、女神様の手は柔らかかった!!


「じゃあ行きますよー」


「は、はい!」


「「せーのっ、【吸魔マナ・ドレイン】!」」



    ◇  ◆  ◇  ◆



「――クゼーション】! 【リラクゼーション】! あ、気がつきましたか?」


「ぁ……ぅ……? 私は……?」


「すみません。ちょっと勢い良く魔力を吸い過ぎてしまって、気絶してました」


「は、ははは……」


 上には上がいるってことか。いやまぁ相手はこの世界で一番強い人――というか神――だし。


「じゃあ方法を変えましょう」


 テーブルが消え、今度は2脚の椅子が、ガチ恋距離で出現する。


「さ、どうぞ座ってください」


 勧められるままに椅子に座ると、膝が当たるほどの近距離に女神様!


「はい、手に触れてもらえますか?」


 女神様が両手のひらを私に向かって突き出す。私はお手をするみたいに女神様の手に触れる。


「じゃあいきますねー」


 次の瞬間、猛烈な速度で右腕から【吸魔マナ・ドレイン】され、まったく同量の魔力が左腕から【魔力譲渡マナ・トランスファー】される!


「うぉぉぉぉおおお!? うっぷ、【リラクゼーション】【リラクゼーション】【リラクゼーション】【リラクゼーション】……」


 小一時間ほど続け、


「ひと休みしましょう。どのくらい上がりました?」


「ええと、【ステータス・オープン】! おぉぉ……【精神耐性】レベル21です!」


「じゃ、休憩が終わったら同じ方法でレベリングしましょうか」


「よろしくお願いします!」


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