真夜中、超精鋭部隊が西の森上空を西に向かってひた走る。
メンバーは、
四天王の皆様――
結界魔法のスペシャリストで先王時代の生き証人・ベルゼビュート様、
【
【
【片手剣】スキルが神級に達している巨体の剣客・アスモデウス様。
フェンリスさんたちパーティー――
言わずもがなフェンリスさん、
前衛職で片手剣使いのアランさん、
回復魔法のスペシャリストで攻撃・補助魔法も得意なバルベラさん。
そしてノティアと僕。
他の冒険者の皆さんは、城壁の上で警戒態勢を敷いてくれている。
皆さんは【
フェンリスさんは、【
作戦の要旨は、実にシンプル。
僕の【
向こうで捕虜になっている東王国民も一緒に【収納】して救い出す。
で、その軍人の命や兵器・兵站と言った財産を人質に、講和に持ち込むというもの。
スキルレベル8になった僕の【
レベル6のときすでに人間を生きたまま【収納】できていたことを思えば、魔法抵抗値である【精神力】を持たない兵器・兵站は言うに及ばず、軍人だっていけるはず――でなきゃ全面戦争なんだ。やるっきゃない!
そして【収納】する際には、僕とアリス・アインスがよくやっていた手段――【
けれどここで、問題が出てくる。
西の森を丸々飛び越えてロンダキアを探査できるほどの超広範囲【
ベルゼビュート様は結界魔法はお得意だけれど、【
他の四天王も、それほど広範囲な【
というわけで、【
そして、ノティアの【
そして、城塞都市ロンダキアをすべてカバーするとなると、西の森の中央部よりもかなり西側にまで入り込まないといけない。
アリス・アインスはきっと、僕らがこの手で来ることを予測している。
だってこの手段は、他ならぬアリス・アインスが僕に教えた奇跡なんだから。
……そんなアリス・アインスが、僕らの侵入を許すだろうか?
■ ◆ ■ ◆
意外にも、西の森の中心までは何の妨害もなく進むことが出来た。
けれど、中心を過ぎたあたりから急に天候が崩れ始め、あっという間に暴風雨が吹き荒れ始めた。
「【
【
「うん……」
アリス・アインスは常々攻撃魔法を『封じられている』と言われていた。
理屈は分からないけれど、その封印が解かれたってことなんだろう。
理由? そんなものは決まっている――僕らと戦う為だ。
数分のうちに雨は鋭さを増し、ついにはそこかしこに雷が落ち始めた!!
「これじゃ命がいくつあっても足りない! 全員、降りるよ!」
ベルゼビュート様の号令で、森の中に降りようとした、そのとき。
――一面の空が、真っ赤な魔法陣に覆われた。
アリス・アインスの【
こちらの位置は、間違いなく補足されただろう……。
戦いが、始まる。