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第26話 久慈川さんのポテンシャル


『俺のターン!MPを7支払い後列右側に《グラトニースライム》を召喚する!』

『ゴプププゴプァァァアアアア!!!』


《グラトニースライム》7/7


『《グラトニースライム》の能力発動!《スライム》と名の付く全ての味方ユニットに+1/+1する!』

『『『『『ーーーーッ!!!!』』』』』


《アシッドスライム》3/3→4/4

《ポイズンスライム》2/5→3/6

《コンボスライム》5/6→6/7

《スライムウィザード》1/4→2/5

《バーンスライム》5/3→6/4


『更に職業アビリティ《レースブースト》を発動!

デッキに含まれるユニットの中で最も多い種族を対象として場に出ている味方ユニットがその種族と同じ種族だった場合+1/+1する!』

『『『『『『ーーーーッ!!!』』』』』』


《アシッドスライム》4/4→5/5

《ポイズンスライム》3/6→4/7

《コンボスライム》6/7→7/8

《スライムウィザード》2/5→3/6

《バーンスライム》6/4→7/5

《グラトニースライム》7/7→8/8


っと流石にいい加減アイアンボディを貫ける奴が複数出てきたか、《メタルゴーレム》はいい加減限界だな


『《バーンスライム》と《コンボスライム》で《メタルゴーレム》に攻撃!』

『『ーーーッ!』』

『ーーーーッ!?!?』


《メタルゴーレム》0/8《挑発》《アイアンボディ》《被ダメージ-3》→0/4→死亡


『《アシッドスライム》と《ポイズンスライム》で《天界の天使長・ガブリエル》に攻撃!』

『汚らわしい!』

『『ーーーッ!?』』


《アシッドスライム》5/5→5/2

《ポイズンスライム》4/7→4/4


《天界の天使長・ガブリエル》3/15→3/10《被ダメージ-2》


『残りのMPをアビリティポイントに変換してターンエンド!』


現在セフィロトガードのHPは18、効果発動まで32……さてどうするか


『私のターンです!……ッ!』


久慈川さんの様子が少し変わった、この状況下で笑みを浮かべられるとなるとあのカードしか無いな。


『ラストターンです!』

「ラストターン宣言だって!?

この状況下で30点のダメージをどうやって通すというの!?」

「見てれば分かりますよ」


「コストとしてMPを2使ってアクションカード『ハーフヒール』をセフィロトガードに使用します!

ガブリエルの効果で《ハーフヒール》の回復効果は最大HP上昇効果としても扱われます!」

『ーーーーッ』


《守護神像・セフィロトガード》0/18→0/27


セフィロトガードの背後にある樹木の苗木はHP上昇に合わせて一気に巨大化する


「続いてMPを7支払いアクションカード《フルヒール》で全体のHPを完全回復します!

これもガブリエルによってHP上昇効果に変化させます!」

『えっへへ〜♪』

『これも主の導き……』

『ーーー!』


《サプライズフェアリー》0/4→0/11

《天界の天使長・ガブリエル》3/10→3/25

《守護神像・セフィロトガード》0/27→0/54


『《守護神像・セフィロトガード》の効果発動!

この効果はユニットは自身の最大HPが50を超えた際に発動します!

私はこのゲームに特殊勝利します!!』

『なんだと!?』

『ーーーーーーーーッ!!!!』


セフィロトガードの背後にある巨木が久慈川さんの背後へと移動してコロシアムを覆い尽くすほど巨大に成長する。

その後大量の木の根が相手の場のすべてを埋め尽くすが如く伸び始め全てを蹂躙していった。


『う、うわぁぁぁぁぁぁああああ!?!?』


《久慈川 愛海》Extra Win





「まさか《フルヒール》をあんな使い方をするとはね……。

あのカードはバカみたいに高いコストの癖に効果がそこまで強くないから使う価値はほぼ無いと思っていたんだがね」

「まぁ確かに7コスで全体効果とはいえ全回復程度じゃ余程条件を都合よく揃えない限り使い道はありませんね。

ついでに言えば現状俺が調べた限り全回復の効果があるのはこのカードとセフィロトガードくらいですし」

「私もこの学園でそれなりに働いているがアレと同じ効果は見たことがないね」


そう言えばこのカードが出てきたタイミングって割と最近だったな……もしかしなくてもガブリエルのような回復変換系カードが他にも出てくるのか?


そうなると考えうる限り一番可能性があってこのコストに合う効果は……回復をダメージに変換する効果あたりか?

これで相手に《フルヒール》を使った場合実質盤面を全滅させてしまうカードの出来上がりだ。

そう考えると案外このコストなのも納得いく理由があるのかもしれないな


「一つ興味本位で聞きたいのだが君なら彼女との対面をした時どう出る?」

「…………正直俺のデッキは久慈川さんのデッキと実はかなり相性が悪い物が多いんです。

デッキ破壊はささりやすいですが回復で時間稼ぎされやすい分セフィロトガードを盗むなり除外することが出来なければこっちが詰みかねませんし盗むデッキは数の有利や連続攻撃とかはあっても打点が比較的低いんで突破が難しいです。

そうなると俺の場合勝つには特殊勝利をこっちが先に行うかロストディザスターで盤面を殲滅する以外に方法がないですね」


俺のデッキは相手を嵌める戦法を主とする都合上どうしてもよくも悪くも相手次第な所がある


こればかりは仕方ないのだが結果として耐久型のデッキ程俺は相手をしにくいのだ


特に久慈川さんの場合盤面なユニットが多く揃ってしまうと下手したら3ターン程でセフィロトガードの特殊勝利条件を満たしてしまい、ガブリエル→セフィロトガード→《フルヒール》の順で特殊勝利されてしまうのだ


「意外だね、君なら案外アッサリと対策を立ててしまうと思っていたのだが……。

教師の間でも結構君は話題だからね」

「その話題が悪い意味なのか良い意味なのかは知りませんが俺にだって苦手な相手くらいはありますよ」


特に久慈川さんの場合は基本的に攻撃を仕掛けてこないのもあって下手なユニットを出してしまえばそのユニットがずっと盤面に残り続けてしまいこちら側が逆に圧迫されることがある


攻撃しない耐久型デッキというのはものとしてはかなり少ないが実際に相手するとなるとかなり厄介だ


「ちなみに君であれば彼女のデッキはどういう風にアレンジする?」

「ある意味あのデッキも俺によるアレンジ後なんですけどね……プレイスタンスを変えても良いのであれば俺は"聖域"運用ですね」


"聖域"……僧侶専用のフィールド効果の一つであり、その効果を付与されたマスに存在するユニットは自身の攻撃力がHPと同じ数値になるという効果だ


この効果の最も強い点としては攻撃力の低いユニットでもHPを盛るだけで手軽に攻撃力の高い化け物を生み出す事が出来るという点にある


ただし弱点が無いわけでもなく、攻撃力がHPと同じ数値になるという部分は最大HPではなく現存HPを参照しており、リアルタイムで能力も変化する仕様の為ダメージを受けてしまえば必然的にその攻撃力も下がる為、ダメージ計算等を上手くしている相手からすると強力なユニットではあるが温存したいユニットを残しつつ倒せなくもないという認識になりやすいためかなりHPを盛っておかないと厳しい部分がある


だが逆に言ってしまえばたとえ攻撃力が0でもとてつもない火力の大型ユニットになる為ロマンと脅威を兼ね備えたユニットになるのだ


――キーンコーンカーンコーン……――


「っともう時間か、デュエル状況は……ちょうど今終わったみたいだ。

それじゃ放送で全員呼ぶから少し待っててくれ」

「分かりました」


先生はそのまま講堂から出てすぐ隣の放送室へと向かっていく。


いい加減久慈川さん含めて実験的なデッキだとそろそろ詰みかねないな。


まだ構想だけだったが俺の持つユニークレアを限界までを積み込んだガチデッキをいい加減完成させるべきか……


今までに使っていたデッキはこのデッキを生み出すためにどのようなバランスであればあのユニークレアのカード達を活かせるかといった実験的な意味合いが強かった


一部他のユニークレアと噛み合わせが悪い奴もあるが基本的に俺の持つユニークレアは同時に入れてもそこまで問題がないカードの方が多い


問題はデッキバランスだがこれは実戦で調整していくしかなさそうだな


そんな事を考えていると放送をかけ終わった先生が講堂へと戻っており、次々とこちらへと来る足音が聞こえ、講堂へと入ってくる


「さて、まずはお疲れ様と言わせてもらおう。

まずは戦績発表と行かせてもらおうか。」


すると正面のディスプレイに棒グラフが表示される。


「まずエキシビションマッチは言わ無くても分かっているだろうが我々1-Dの勝利だ。

次に総当たり戦の方だが……。」


ディスプレイの棒グラフは先生が軽く操作すると上下に変動し始め、今回の戦績を表示する


それにしてもこうなったか……。


「1-Dは6勝、1-Fが13勝で圧倒的Fの勝利だな。

先生は悲しいぞ〜」


葉風先生はだいぶわざとらしい嘘泣きをしながらディスプレイの表示を変更して個人結果も出していく


…………実力至上主義連中が軒並み全滅してるなこれ


まぁある意味当然とも言える、実力至上主義連中の大半はどちらかと言うと実力よりも自分の権力や欲望を満たしたいような連中が多く、この学園に入っただけで調子に乗っているような連中が多く、真面目に授業を受けているメンツはかなり少なかった


いくつか実力至上主義者達に対する疑問は増えてはいるが考えても仕方ないので俺はこのまま先生の話を聞くことにした


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