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第59話 侵食のデメリット

「オレ……ノターン!

MP……5消費……《侵食:重装剣士》ヲ前列中央ニ召喚……ッ!?」


郷田はそう宣言するが実際に前列には先程現れた黒いヒビの入った重装備の剣士ではなく白いオバケが舌を出している絵の描かれた爆弾が現れていた


『どっかーん♪』

「ガッ!?」


《郷田 タケル》HP21→19 MP0→5


運が良い、どうやら先程バウンスで手札へと帰っていった《侵食:重装剣士》は《いたずらおばけ》の効果によって《ニセモノ》へとすり替えられたようだ


運に頼ることにはなるが上手くハマればこのような運用が出来るのはかなり大きいな


「キサマァァ……!」


郷田は俺を強く睨みつけるが元々冷静さを失っていたやつからここまで怒りを買えたのはかなり大きい


このデッキのちょっとした欠点として新しく引いたカードは基本的には《ニセモノ》ではないという部分があり、このデッキを見た冷静な奴なら手札にあるカード程信用出来なくなり、新しく引いたカードくらいしか使わないだろう。

その為にあえてカードを使わないという選択肢も出てくるだろう


だがその冷静さを失えば失う程この手の単純な正解を見落とす人間は多い


更に挑発してやっても良いが《侵食》カードを使ってくる以上何をされるか分かったものじゃない為に下手に挑発するのは悪手だろうな


「MP……5消費シテ……アクションカード《アビスオーラ》ヲ使用スル!

全てノユニットノ攻撃力+3,HP−3ダ!」

『きゃーー♪』

『『うげえっ!?』』

『ケケケケケ〜♪』

『ゔぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!?!?』


《いたずらおばけ》1/1→死亡

《いたずらの魔女》1/2→死亡

《いたずらゾンビ》2/1→死亡

《いたずらデビル》2/3→死亡

《いたずらピエロ》3/3→死亡


不味いな、一気にユニットを処理されたか


今回のデッキは全体的にユニットの能力はそこまで高くないからこの手の全体攻撃は相性が悪いな


とはいえMPを使い切らせたのならまだこっちにアドバンテージはあるな


「ターンエンド……!」

「俺のターン。

《いたずらデビル》を前列中央に、《いたずらの魔女》を後列左側に召喚してMPをアビリティポイントに変換してターンエンド」

『ヒヒヒッ♪』

『ケケケッ♪』


《いたずらデビル》2/3

《いたずらの魔女》1/2


「オレノ……ターン!

MP6召喚……前列中央……《侵食:歴戦の剣闘士》召喚」

『ォォォォオオオオオオオ!!!』


《侵食:歴戦の剣闘士》5/6《勝鬨》《侵食》


っ!やっぱり違う職業のカードも使ってくるか!


「ターン……エンド」


《侵食:歴戦の剣闘士》5/6→6/5《勝鬨》《侵食》


若干スタッツが大きいな


「俺のターン、MPを6消費して前列右側に《いたずらフランケン》を召喚」

『いたずら……いたずらスル……』


《いたずらフランケン》2/8《挑発》《再生:1》


《いたずらフランケン》は攻撃力こそ低いが複数の能力を持っており、耐久性能も高い


このターンを受け流すだけなら十分だろう


「さらに残りのMPを消費してアクションカード《武器へのいたずら》を使用

ユニット一体を選択して攻撃力を−3する」


俺は《侵食:歴戦の剣闘士》を選択する


『うぅぅ……ッ!?』


《侵食:歴戦の剣闘士》6/5→3/5


《侵食:歴戦の剣闘士》の武器が段ボールで出来たようなニセモノへと変化する


「《いたずらデビル》と《いたずらの魔女》でダイレクトアタック」

『いたずらするぞ〜♪』

『行くわよ〜♪』

「……ッ!」


《郷田 タケル》HP19→18→16


よし、ここまで削れば後は十分だ。

これなら10ターン目頃には一気に仕留めに行けそうだな


「さらに《いたずらデビル》の能力発動。

この場には《いたずら》の名の付くユニットが3体いる為、手札からランダムに1枚を《ニセモノ》にすり替える!

さらに《いたずらの魔女》の効果でデッキから1枚ドローしてターンエンド」


正直郷田の奴が《侵食》カードしか出さない辺り《侵食》持ちのユニークレアがあってもおかしくは無い


出来るだけエースのカードなんかはニセモノにすり替えておきたい所だな


「オレノターン……MPヲ7消費……シテ前列左側ニ《侵食:狂戦士・ベルセルク》ヲ召喚!」

『ォォォォォオオオオオオ!!!!』


《侵食:狂戦士・ベルセルク》3/6《全体攻撃》《狂乱》《勝鬨》《侵食》


やっぱり《侵食》持ちユニークレアか!?


しかもよりにもよって上級職である『狂戦士』のユニークレアだと!?


確かこのカードは最近ニュースで行方不明になっていたプロのカードだったはずだ


しかも能力がかなり多い!


それに加えて《狂乱》……確か攻撃する際に自分のHPを削る能力だったか……耐久力が著しく低い代わりにコスト不相応な能力を持ってるわけか


「《侵食:歴戦の剣闘士》デ《いたずらフランケン》ヲ攻撃!」

『ゔぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!』

『グゥ……!?』


《いたずらフランケン》2/8→2/5《挑発》《再生:1》


《侵食:歴戦の剣闘士》3/5→3/3《勝鬨》《侵食》


「《いたずらフランケン》の被ダメージ時効果発動!

相手の手札からランダムに1枚を《ニセモノ》にすり替え、《いたずらフランケン》の《再生:1》を発動。

ダメージを受けた際にHPを1回復する!」

『いたずら……いたずらぁぁぁぁぁぁぁ!!』


《いたずらフランケン》2/5→2/6《挑発》《再生:1》


「ッ!ターン……エンド……」


《侵食:歴戦の剣闘士》3/3→4/2《勝鬨》《侵食》

《侵食:狂戦士・ベルセルク》3/6→4/5《全体攻撃》《狂乱》《勝鬨》《侵食》


よりにもよって《全体攻撃》持ちか……正直相手したくないな


《全体攻撃》は攻撃対象として選んだ敵以外の全てに対して攻撃を行う能力であり、ユニットを攻撃対象としている場合はしっかりとそのユニットからの反撃は受けるがプレイヤーや攻撃力の無いユニットを対象に選ばれてしまうと手が付けられない能力だ


特にこっちの面子は一部を除いて耐久力がない為に一気にやられて《勝鬨》の餌にされかねないな


「俺のターン、コストとしてMPを3支払ってアクションカード《オタカラへのいたずら》を使用する。

自分の場にいるまだこのターン中行動していない味方ユニット1体を選択して《行動不可》状態にし、選択した敵ユニット1体を《封印》する!

俺は《いたずらの魔女》を《行動不可》にして《侵食:狂戦士・ベルセルク》を《封印》する!」

『えっへへ〜イッタズライッタズラ〜♪

ってなによこれぇぇぇぇぇええ!?!?』

『ッ!?!?』


《いたずらの魔女》1/2+《行動不可》


《侵食:狂戦士・ベルセルク》4/5+《封印》

《全体攻撃》《勝鬨》《狂乱》《侵食》→封印


《いたずらの魔女》の目の前に現れた財宝をいたずらしようと近づくとまるで天罰のように《いたずらの魔女》が光の鎖で縛られ、《侵食:狂戦士・ベルセルク》がその光によって全ての能力を《封印》される


これでユニークレアをただのスタッツが少し大きいだけのバニラユニットに出来た


《いたずらの魔女》に《行動不可》が付いたのもあって攻撃こそ出来なくなったが能力はそのままの為全く問題ない



だが正直動かれても面倒な為さらに嫌がらせをさせてもらおう


「更にMPを3消費してアクションカード《いたずらトラップ》を発動。

敵ユニット1体を指定して1ターンの間だけ《行動不可》を付与する。

《侵食:狂戦士・ベルセルク》を《行動不可》にする!」

『ッ!』


《侵食:狂戦士・ベルセルク》4/5《封印》+《行動不可》


何処からもなく縄や鎖等が現れてベルセルクの身体を次々と縛り上げていく


単体への遅延効果の割に若干コストが高く普段のデッキではあまり採用しにくいカードではあるが今回のデッキのような比較的全体のコストの低いデッキであれば採用しやすい特殊なカードだ


効果は単純で特定のユニットを1ターン攻撃出来なくするだけではあるがこれが時間稼ぎとしては中々使い道がある


例えば強力なユニットが出たがそのターンで処理しきれる強さではない時などこのカードで一旦流して次のターンで一気に処理する流れも作ることが出来るのだ


「《いたずらデビル》でダイレクトアタック!

更に《いたずらデビル》の能力により手札のうち1枚を《ニセモノ》にする変え、《いたずらの魔女》の効果で俺は1枚ドローする」

『ケーッケケケケ♪』

『うーごーけーなーいー!』

「グッ……!」


《郷田 タケル》HP16→14


「更に《いたずらフランケン》で《侵食:歴戦の剣闘士》を攻撃」

『いたずら……いたずらぁぁぁぁぁぁぁ!』

『うぐぁぁぁぁああああ!?!?』


《侵食:歴戦の剣闘士》4/2→死亡


《いたずらフランケン》2/5→2/1→2/2《挑発》《再生:1》


「《いたずらフランケン》の被ダメージ時効果により更に手札から1枚を《ニセモノ》にすり替える!」

『いたずらぁ♪』

残りMPをアビリティポイントに変換してターンエンド」


よし、ここまで来れば少なくとも新しく引いたカード以外はまともに使えないだろうな


後は郷田の思考力がどこまで残っているかだな……



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