13. 毎日が楽しいです
そして村の少し奥の開けた場所に行くと、そこにはエイミーと村の男手が集まっていた。
「あっルーシー!みんな呼んでおいたよ!さぁ家を作ろう!」
「おう!兄ちゃんの家を作るぞ!」
「でっかい家建ててやるからな!楽しみにしてな!」
すると村の男たちは鍬を取り出し地面を掘り始める。えぇ……嘘……本気で作るつもりなの……?でもみんなの姿を見ていると、とても楽しそうで羨ましく思う。本当に困った人を助けたいと言う気持ちが伝わってくる。
「ほらほらアイリーンも手伝ってよ!」
「……仕方ないわね。あの木材をそこに並べてちょうだい。斧でやってたら時間がかかるわ。おじさん!必要な木材の長さを教えて!」
私は必要な木材の長さと本数を聞き、風魔法ウインドカッターで大量に切り揃えていく。それが終わり、ふぅーっと息を吐き額の汗を拭う。
「おお!さすがはアイリーン!」
「助かったぜ!これならすぐ終わりそうだ!」
私は笑みを浮かべ次の作業に入ろうとしているとエイミーが私を見てニヤニヤしている。
「……なによ?」
「アイリーン。凄くいい顔してる!取れたてのラディッシュみたい!」
だからラディッシュで例えるのやめてくれないかしら……でも確かに今自分がどんな顔をしているか分からないくらい楽しいのは事実だけど。
それから数時間かけて家が完成した。途中から私やサイラスさんも建てることに加わり、予定よりも早く完成させることができた。まぁまだ山小屋みたいな感じだけど寝泊まりなら全然問題ないくらい立派なものだ。
「ありがとうみんな助かったわ!」
「いや気にするなよルーシー!」
「そうそう困った時はお互い様だろ」
「兄ちゃん。ゆっくり休んでくれな!好きなだけ使ってくれ!」
本当にこの村の人たちはいい人だ。こんな人たちに囲まれて暮らしていると思うと私も凄く嬉しくなる。そんな事を思っているとサイラスさんがルーシーに話す。
「あの……ありがとうございます!寝泊まりするだけで……こんな家まで建ててくれるなんて……」
「ええ。あなたが好きなだけ使ってくれればいいわ。明日出て行ってもいいし、必要なものを揃えてずっとここにいてもいい。それに私たちは『なんでも屋』だからなんでもやるのよ。私たちに出来ないことはない!なんちゃってね?」
そうウインクするルーシー。サイラスさんは涙を流しながら頭を下げる。そしてみんなは解散していく。そして店に戻り私とルーシーは二人で片付けをしているとルーシーが話しかけてきた。
「ねぇアイリーン。この村、ピースフルのみんなって凄くいい人たちよね?」
「そうね。というかルーシーの方が私より長くこの村にいるでしょ?」
「そうだけど……。でもね。私ここがどんどん好きになっていく。ピースフルに来てから毎日が楽しくて、今日も誰かのために何かできたって思えることが嬉しいのよ。」
ルーシーは笑いながらも真剣な眼差しで私を見る。確かに私も少しずつそう思えている。それは嘘じゃない。私はそんなルーシーを見ながら答える。
「あなたはいつも昼寝してるけどね?まぁそうね。私もこの村が好きよ」
「そう。それなら良かったわ。あぁ~!なんかまた眠くなってきた……ごめんちょっと寝させて……おやすみ~」
ルーシーはそういうとその場で横になり眠りにつく。そんなルーシーを見た私は呆れつつも、そっと毛布をかけてあげる。私はルーシーが起きるまで横にいてあげることにしたのだった。