24. 恋愛小説
キルシュ古城では素晴らしい遺跡群や天空のチャペルと呼ばれている場所が見れて良かったのです。ロゼッタ様の恋愛話なんかも聞けたのです。それになんかロゼッタ様の魔法等級が第1等級から第2等級に上がったみたいなので新しい魔法なんかも楽しみなのです!
それにしても恋愛ですか……私は聖女なので色恋沙汰などは禁止なのです。もちろん興味がないわけではないですけど。私だってもう19歳なのです。今まで色々な恋愛小説を読んできていますし、もちろんそのようなことがあっても私なら完璧なはずなのです!
私はいつも通り今日も宿屋の部屋で本を読んでいるのです。ミルディは今日は鉱石で魔法アイテムを作っているのです。
ふと目線の先にいるミルディのことを見ると……赤い髪で整った顔立ち、格好は女の子っぽくないけど、魔物とかを怖がるのでそういうところは女の子なのです。その私の視線に気づいたのかミルディがこちらを向く。
「ん?なんかあたしに用?」
「あ。いえ。別になのです……」
「は?変なアリーゼ」
そう言ってまた作業に戻るのです。そういえばミルディは17歳なのです。どんな恋愛してきたのでしょう?気になるのです。ミルディは魔法鍛冶屋さんなのです。親方さんとリオンさんと一緒に……!?若い男女が一つ屋根の下にすんでいるのです!昔読んだ恋愛小説にそういう展開があったのです!
「ちょっとアリーゼなんなの?さっきからこそこそあたしの事を見てるけど?言いたいことがあるなら言ってよ。作業に集中出来ないんだけど?」
「ミルディ。リオンさんと付き合っているのです?」
「はぁ?そんなわけないじゃん!リオンさんは若い魔法鍛冶師なだけ。別にそういうのはないよ」
「でも!一つ屋根の下なのです!恋愛小説に書いてあったのです!間違いないのです!」
ああ~言ってしまったのです。つい熱くなって大声を出してしまったのです。
あれ?ミルディの顔が真っ赤になっています。耳まで赤くなってます。これってもしや本当にそうなのでしょうか?と思っていたのですが、ミルディは私の顔を見ると凄い勢いで怒鳴りつけるのです。
「そんなわけないでしょ!家には父さん……親方もいるんだし!あたしはそういう経験ないんだから!もうアリーゼ作業の邪魔!部屋から出ていって!」
バタン!私は追い出されてしまったのです。仕方なく宿屋を出て街を歩いているとギルド帰りのフィオナと出会う。
「あっアリーゼ様」
「お疲れ様なのですフィオナ」
「あれ?もしかして、ボクのこと迎えに来てくれたの?」
「あっいえ。そういう訳ではないのですけど、今宿屋ではミルディが怒っているのです。だから街を歩いていたのです」
フィオナは首をかしげる。私は悪くないのですよね?私が何かした訳でもないのです。聞いただけなのです。
「えっとそれはどういう事なの?」
「そのですね。ミルディが……」
それから私は先程の事を全部話すことにしたのです。するとフィオナは顔を赤くしながら聞いていたのです。
「そうなんだ……」
「フィオナは恋愛したことあるのです?」
「えっボク!?その……」
どうしたのでしょう?急にもじもじし始めたのです。可愛いのです!しばらく沈黙が続いた後、フィオナは口を開く。そして私の手を握ってきたのです。これは一体何なのでしょう? ドキドキするのです。なんだか恥ずかしくて下を向いてしまうのです。
「ボク。恋愛したことないの。アリーゼ様どうやったら恋愛できる?」
「え?」
上目遣いで見てくるのです。反則級に可愛すぎるのです。こんなのされたら男性は誰でも惚れてしまうのです。フィオナ侮れないのです。
私は少し考えてみるのです。恋愛とはなんなのか。物語の中ではよく出てくるものなのです。それを参考にして考えるのです。
「それならミルディの機嫌が直るまでお茶をしながら私と考えるのです!行くのです!」
「あっうん。ボク、デザート食べてもいい?」
「いいのですよ!好きなもの頼んじゃうのです!」
私とフィオナは喫茶店に向かう。そしてデザートを食べながら話し始める。これがガールズトークなのです。
まずはデートをするのです。二人で一緒に出掛けるのです。そこで手を繋いだりするのです。次はプレゼントをあげるのです。アクセサリーとかが良いと思うのです。
後は告白なのです。好きと言うのです。これで完璧だと思うのです!
でも…… フィオナが困ったような表情をしているのです。どうしてなのでしょう? フィオナが言うのです。
「アリーゼ様……それは告白する方法だよね?ボクたちは恋愛する方法が知りたいんじゃ……」
「あっ確かにそうなのです!」
そうだったのです。恋愛の仕方なんて知らないのです。うーん。恋愛小説は参考にならないのです。だってみんなハッピーエンドなのです。現実は違うはずなのです。
「アリーゼ様は理想の恋愛とかあるの?ボク参考に聞きたい!」
「えぇ……私は聖女なので考えたことなかったのです。まぁそうですね……」
私の理想ですか……前に読んだ恋愛小説にこういうのがありましたね。確か…… そうです!思い出しました! 王子様がお姫様にキスをして永遠の愛を誓うのです!これなのです!でも……この世界にはそんな人いないのです。
「ごめんなさい。私わからないのです。」
「そっか。そうだよね。じゃあボクが考えてみるよ!アリーゼ様の好きな人が出来た時のために!」
「ふふっありがとうなのです」
こうして私とフィオナは恋愛について話し合ったのです。そして宿屋に戻ると少し膨れていたけどミルディは機嫌が直っていたのです。そして夜、私はベッドに入り今日の事を考え1人で呟く。
「いつか私にも恋愛小説のような素晴らしい殿方に出会うのでしょうかね。それはまだまだ先になりそうなのです。だって私は聖女なのです」
そんなことを呟きながら眠りにつくのでした。