1. 財宝が眠る島
魔法都市ルナノワールを出発して、3日が経ったのです。私たちは次の目的である『ダンジョン攻略』のためにセントリン王国に向かっているのです。セントリン王国は私がいたカトリーナ教会やミルディの実家があるルベルタなどがある国なのです。
今から行くところはもっと西側のランバート王国との国境にあるシェルタバードという島で、別名「財宝が眠る島」と呼ばれている未知のダンジョンが多く存在する島なのです。
この島にはいくつかの大きなダンジョンがあり、そこに眠る秘宝を求めて世界各地の冒険者がやって来るので、いつ行っても活気に溢れているらしいのです。
今回の目的地はその島にある唯一の街ハーツスターという街なのです。そこを拠点として、しばらく活動して各ダンジョンを巡る予定なのです。それにここのダンジョンは他のところにあるダンジョンと比べて少し特殊らしくて、未発見の遺跡がいくつもあるらしいのです。
遺跡調査の依頼もあって、それができれば、まるであの物語のように私たちも名実共に世界有数の冒険者になれるはずなのです!まぁ私は聖女なのですけどね。そんな事を考えていたら外を見ていたソフィアが口を開く。
「あっ!見えてきましたよ!あの島じゃないですかシェルタバード島は?」
「本当だ!島が見えるよ!」
「ふむ。ようやく着いたか……長かったの。身体が痛い……」
「もうそれおばあちゃんじゃん。ロゼッタ様?」
そのミルディの言葉で顔を真っ赤にして怒っているロゼッタ様は杖で叩こうとするが、それをミルディはロゼッタ様のほうを見ずになんなく避けるのです。だから何で避けれるのです?もしかしてミルディ見えてるのです?
「全くこれだから近頃の若いもんは、ワシを年寄り扱いしおって!」
怒っているロゼッタ様も可愛いのですね。こういうみんなで何気ない会話とかしてるとほのぼのします。この旅が続く限り楽しまなきゃ損なのです!
──それからしばらくして私たちを乗せた魔法船は無事にシェルタバード島に到着したのです。ここからは歩いてハーツスターまで行かないといけないのです。
「アリーゼ。地図持った?」
「地図?」
「えっ?あたし魔法船に乗る前に、魔法都市ルナノワールで渡したよね?」
私はそこで思い出したので慌てて自分の荷物の中をガサゴソと確認するとミルディから渡された地図を船の乗り合い所に置いてきたことに気づくのです。色々書いてあったので興味津々で見ていて、つい忘れてしまったのです。
「ごめんなのです……忘れてきたのです……」
「はぁ!?嘘でしょ!?」
「でも!道なら木の棒を投げればなんとか目的地のハーツスターまでたどり着けるのです!本に書いてあったのです!」
「無理無理!だからあれは違うって言ったじゃん!ずいぶん懐かしいこと言ってるけどさ……どうすんのよ……」
ミルディが困った顔をしてるとソフィアが話してくるのです。
「まぁミルディさん。上手くいくかは分かりませんが私が風魔法で道を確認してみます。風魔法・ウインドサーチ!」
ソフィアが魔法陣を刻み風魔法を詠唱すると、急に強い風の塊が上空に浮かんでくるです。これは風魔法の応用魔法の一つで魔力によって空気を圧縮して風を起こすのです。それにより遠くの場所の地形を見ることができるのです。
「まだ距離があるので、私の魔力では、はっきりとわかりませんがおそらくこの道を北の方角で大丈夫だと思います」
「ソフィア凄いのです!」
「バカ者。凄いのですじゃないじゃろ。地図を忘れるなんて言語道断じゃ」
「本当だよアリーゼ気を付けてよね!」
「はいなのです……」
私はロゼッタ様とミルディに叱られて落ち込むのです。でもソフィアが代わりに風魔法で地図を作ってくれたのでこれで安心なのです!そして私たちは目的のハーツスターまで歩き始めるのです!
「ところでさっきアリーゼ様が言ってた、木の棒が何とかってなんですか?」
さっきの私とミルディのやり取りにソフィアが興味津々といった様子だったので私は説明し始めるのです。
「これは私が読んだことがある冒険譚で出てくる主人公が分かれ道を間違えずに進む方法なのです!画期的なのです!」
「え……本当に不思議な人ねアリーゼ様って……」
何故かソフィアが苦笑いする。不思議と言われても何も不思議なことはないのですが……本に書いてあったのです。
ちなみにシェルタバード島は比較的広い島で、しかも道中には魔物もいるのです。それに今日中には到着できるとは限らないので途中で休むことになるかもなのです。
そう野営なのです!ソルファス王国では一応廃屋があったのでそこに泊まったのです。でも今回はちゃんとした外なので楽しみなのです!そんな私の心の中が読まれてしまったのかロゼッタ様が私に忠告してくる。
「おい。アリーゼまさか『野営楽しみなのです!』とか思っておらんよな?ここは魔物も出るところじゃぞ?」
「えっ?何のことなのです?」
「はぁ……やっぱり。いいか?外で寝るという事は危険なんじゃぞ。夜になると野生の動物だけじゃなく魔物が襲ってくることも十分あり得るのじゃ!お主はなんでこうも……」
ロゼッタ様にため息交じりに言われてしまうのですが、別にそこまで心配することないと思うのです。
だって私は聖女なのです!
とりあえず今は歩くことに集中なのです。そんなことを思っていると突然目の前にウサギのような見た目をした白い体毛を持つ大きな熊みたいな生き物が出てくるのです。大きさ的には普通の大人の男2人分ぐらいはあるのです。
「うわっ!でっか!」
「ミルディさん。下がって!」
「えっ?何?これって何かの魔物?」
「ああ。フォレストベアーの子供なのです。危険はないので大丈夫なのです。刺激しないように通り抜けるのです。大丈夫。本に書いてあったのです!」
フィオナが驚いて剣を構えるが、私が手で制する。本にも子供の場合は問題ないと書かれていたので私は怖くなかったのです。そのまま通り抜けるのです。
そして開けたところに着く。今日はここで野営をすることにしたのです。日はまだ暮れていないので少し早いかもしれないのですけど。
私たちは早速テントを張ることにしたのです。これも旅の準備品の一つなのです。はぁ~野営楽しみなのです!