そして、帰国の日がやってきた──
講義の開始前に
その足元には、
見慣れた光景──
なじみの学友達──
しかし、そこに
結局最後まできちんと話が出来ず、ぎこちない関係のまま別れの時を迎えてしまったことは、彼女の唯一の心残りであった。
「……わたしは、ここへ来た当初はとても不真面目な態度を執り、先生やみなさんに大変不快な思いをさせてしまいました。ここで改めてお詫び申し上げます」
室内はすでに誰かの
「わたしはこの
学友達のすすり泣く声があちこちで上がる中、彼女は気丈に語り続けた。
「わたしは……これから強大な敵と戦わなければなりません。正直、勝てる見こみは薄いです。本当は……震えが止まりません」
しかし、ここにきてあれだけ穏やかだった
「もっと、ここにいたかった……。みなさんと一緒に……」
ついに
それが呼び水となり、学友達は一斉に号泣しだす。
「ですが、わたしは戦います。ここで学んだ事を
何度も声を上ずらせながら、それでも
「最後に……異相のわたしを──敵国の人間であるわたしを温かく受け入れてくださった事、深く感謝致します」
そう締めくくり、
みな一斉に彼女の元へ駆け寄り、別れを惜しんで抱擁を交わす。
「
学友達が
「これは?」
「私達からの応援の
次々に手渡される竹札を見ると、
『武霊王(ぶれいおう)に負けるな!』
『自分を信じて!』
など、心々の激励の言葉がその者の名前と共に記されていた。
「ありがとうございます。みなさんと過ごした日々は、わたしにとって最高の宝物です……」
竹札を抱きしめ、