読者の皆々様。お元気でしょうか。作者のヤナギメリアです。さて、ここまで「アーリアさんは許さない?」をほぼ四ヶ月間もの長い間、拝読して頂き、誠にありがとうございました。
あとがきと言うことで、何を書いたら良いのだろうと思うのですが、執筆経緯から少しお書きして、それから各キャラクターのあとがき、最後にエピローグをここで公開したいと思います。
執筆経緯はカクヨムコン10が間近に迫り、自身の人生経験の中で、ソーシャルゲームを題材に一度書きたいなと思ったのがきっかけでした。
全体プロットのみで駆け抜けた今作。いかがでしたでしょうか。お気に召して頂けるのであれば、これ以上の事はございません。
では、各キャラクター個別のあとがきと参りましょう。一部纏めてですが、ご容赦を。
佐藤アーリア。
最も最初に書き出したのが、彼女でした。努力家で、ガチャが好きで、とんでもなく強くて、一度ハチャメチャに強い、でも愛らしいヒロインで主人公を、と言うことで書いていました。
裏話としては彼女、人間に関わる時間も生涯多かったのですが、関わらない時期も実は多い人物でした。なので、人間との恋愛は、実は初挑戦と言うことで、終始ドキドキしっぱなしだったのですね。
さらに言えば彼女自身の部屋は、あの雨の日の時点で結構な数のカズマくんグッズで溢れていたので、大慌てで入って来ないでと言っていました。メンタル的にも参っていたのは事実ですが、もう一つ理由があったのですね。
さらに暴露すると、一人称がほとんどアーリアだったのも、一馬くんに名前を呼んで貰いたかったから、少し子供っぽくても、半ばわざと繰り返してました。確信犯ですね。あざとい。
織田一馬。
当初、書き出しながら成長、あるいはキャラクターを掴んで行こうと言う形で執筆していました。その上でキャラクターとして完全に固まったのは、稟やアーリアとプロ意識の問答をした、あのシーンでした。
そこからは方向性が固まり、当初の予定以上に良く書けた部分もあると思います。主人公と言う事で、アーリアに負けない成長枠の一人として、物語を引っ張って貰いました。
清水稟
当初、ここまでレギュラーキャラクターにするかどうか迷っていたのですが、最終的にこの形に。成長、あるいは関係性の魔法使い、恋人枠と言う事で、実質アーリアさんのハーレム一員です。
裏話では、一馬くんと同等、あるいはそれ以上にラブと紙一重なライクで大きな感情をアーリアに抱いて居るので、一馬くんの取り合いにはならないのですね。それでも多少の嫉妬は感じているのがミソです。
石川真司&金木聖
オペレーター枠が居ると、さらにお話が盛り上がるかと思い、採用しました。二人とも有能なオペレーターなので、話が回しやすくて正解だったなと今は思います。
シルバーこと、銀二&ストロング・ボックス
当初は嫌な性格のライバル枠を、と思っていたのですが、一本筋の通った不良と言う形に落ち着いてしまいました。
これはこれで味があるのですが、悪っぽさはやはり薄れてしまったかと、少し反省ですね。でも書いてて楽しいキャラクターでした。
岩動真人&サオ
巻き込まれてしまった主人公と、ほぼアーリアさんにおける、一馬くんへのしがらみや、飾り気の無い感情表現枠と言う形で、キャラクター制作を行いました。
アーリアさんは少女と言って良い精神状態ですが、それでも大人であり、年長者である事と、一馬くんが未成年であると言うバイアスが常にかかっています。それらが無い状態なら一馬くんにどうしていたのか、その答えがサオちゃんの真人くんに対する当初の行動ですね。野獣か何かですね、かわいいけど怖っ。
敵対キャラクターについて
ざっと思い返して一番印象深いのは、やはりチェンジミストこと、サオちゃんですね。
彼女は幼少期の私のトラウマである、メタルクウラが元ネタ何です。無限に増殖するヤツが結構な衝撃でして、特に主人公である孫悟空が完全敗北したのが衝撃的で、参考にさせて頂きました。
さて、このようにあとがきを書いて参りましたが、最後にもう少しだけ続く事を書いて、今作を終わりにしたいと思います。読者様である皆々様には、ここまでお付き合い頂き、感謝に絶えません。是非次回作も注目して頂けたら嬉しいです。
次回作はSFでロボットで、巡る星々の間で、流れ星のようなエースになって活躍する子のお話です。今作の終わりからこの話につなげるのは、ちょっと綺麗だなと自分でも思います。
では、アーリアさんは許さない。名残惜しいですが、最後に月夜と星の幕を上げましょう!!
◇◇◇
〝ここではないどころか。今ではない、いつかで〟
日の当たらない庭園。
月光だけを頼りに咲き誇る。白の
巡る星空の
眠るように目を閉じて、たおやかな指先で、鍵盤を
絶えない生を感じる。この場は永遠だと、魂が震えている。この世界でただ
人は、真に感動した時、動かない。感動すらしない。ただ瞳をそらさず、耳を澄まし続けるのだと、彼女を感じて思い知った。
「実はね、弾けたんだよ。ここをいつか訪ねてくれる。誰かさんのために、ずっと練習してたんだ」
「アーリア。ピアノ弾けたんだ……?」
彼女から話しかけてくれて良かった。そうでなければせっかくの再会なのに、ついうっかり、永久不変の音色を聞き続けてしまいそうだった。
「あのね。……びっくりするぐらい早かったね。少し背、伸びた?」
「何言ってるのさ、長かったくらいだろ?」
「そうかな、うん。……そうだね、長かった」
彼女は遠い月を見上げている。そこに一緒に過ごせなかった時間を、惜しんでくれるように。
「アーリア。会えたらさ。君に会えたら……ずっと、言おうと思っていた事があるんだ」
「なあに、カズマくん?」
「おかえり、アーリア。あの時、言えなかったから……」
椅子に座ったままの彼女を、後ろから抱きしめる。少しでも密着したくて、彼女の胸元ごと抱きしめる。生きている。今度はちゃんと温かい。彼女の鼓動が、腕に伝わってくれた。
「ただいま、だね。……これからずっと、私と、アーリアと一緒に、いてくれる……?」
「ああ。これからずっと、僕と、みんなと一緒だ。……アーリア」
アーリアの左手を背中越しに握る。しとやかな薬指に、彼女から託された指輪を一つ嵌めた。隣り合う指輪は月光を受けて、溶けかかった雪のように輝いている。
再び、空の
彼女に憧れ続けた、僕の旅はここで終わる。
彼女は待ってくれて、僕は再会を望んで、きっとまた会えると望み続けた。
実感がある。奇蹟、なのだろう。
「カズマくん」
「なんだい、アーリア」
「だいすき」
思えば、どれだけ旅路に願っただろうか。
大事に仕舞っていたものが、もう一度動き出す。
これからは別の、僕と彼女の旅が続いていく。
その終わりに、別の誰かに託せるように。
巡る月夜、星空のように。旅は、続いていく。