10月29日
三軍男子の
「お
「そこは、もっと声を張って! なんのために、ボイトレしてきたの!?」
「違う! 踏み込みが甘い!! そんなので、
身内ということで、遠慮をする必要がなかったのかも知れないが、妹の指導方法は、「
午前中に、自宅で最後の
彼らが、電車とバスを乗り継ぎ、停留所から海浜公園に歩いて行くと、一◯◯人近くが集っているギャラリーのスミの方に、映文研のメンバーや、亜矢たちクラスメートが固まって集まっているのが見えた。
「あっ、柚寿ちゃ〜ん! こっちだよ~」
ただ、明るく弾んだ声の下級生の姿とは、うらはらに、映文研メンバーと固まるように集まっているクラスメートたちのようすに、オレは違和感を覚えた。
(亜矢たちは、なんで、学祭実行委員会の連中のところに行かずに、あんな離れた場所にいるんだ?)
亜矢、莉子、奈美の三人のクラスメート女子は、同じクラスの
今回、
そんな疑問を感じながら、亜矢や映文研のメンバーが集まっている砂浜の方に歩いていくと、副部長の
「おぉ〜、寿太郎! ようやく、来たか! 待ってたぞ〜」
と、大げさに声をあげて、こちらの方に駆け寄ってきた。
芝居がかったようすで声をかけてきた友人は、
「ちょっと、面倒なことが起きそうだぞ……舞台の方を見てみろ」
と、小声で耳打ちしたあと、砂浜に作られた簡易ステージの方に向かって、目配せをする。
その存在には、
「あれって、ハルカくん? たしかに、ハルカくんも、うちの大学の学生だから、ここに居てもおかしくないけど……」
「あぁ……どうやら、瓦木の
「ふ〜ん、やっぱりね……そういうことか」
と、覚めたようすでつぶやいた。
「やっぱり……って、柚寿、なにか知ってるのか?」
ポツリと漏らしたつぶやきが気になったので、
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karinchan_yamayama
明日は、ふたりでお出かけ
香子園浜には、大学や高等部の先輩たちも来るから楽しみ!
元カノさんと会っちゃたりして……
#鼻毛女子
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スマホの画面には、なかなかに強烈な文面とともに、音楽用の機材が満載の部屋で作業をしているようすの人物を斜め後方から撮影した投稿が表示されていた。
「これは……?」
なんなんだ? と、口にする前に、柚寿は被せ気味に返答する。
「
ステージのそばで談笑する女子の一人を示しながら答えた妹の一言で、
そのきっかけになったふたりが、この場にいるという事実は、瓦木亜矢本人でなくても、気分が良いものじゃない。
そうして、亜矢のいまの気持ちを考えていると、柚寿が発した言葉には、友人が先に反応した。
「この背中は、あのハルカくんか……ご丁寧に、ひと月前にバズったハッシュタグまで付けやがって……この投稿したヤツ、性格ワルすぎだろ……」
傍若無人を絵に描いたような
友人の言葉に、心のなかでうなずいていると、妹が、さらに言葉を続けた。
「マウントに、匂わせ……読む人を一番イラつかせる内容だよね。『匂わせ』ってさ……その関係に興味を持っていないヒトからすると、ホントにどうでもイイというか、ほとんど存在しないに等しいんだろうけど。でも、その関係に興味を持っている当事者からすると、すっごく気持ちが悪いと言うか、とにかく心がかき乱されるモノなんだよね……」
「まぁ、たしかにそういうモノかも知れね〜な」
苦々しい表情で語る柚寿に、
「今日は、ふたりが……ううん、
そう言って、唇を固く閉じた。