エヴァちゃん、奥の手を出すわよ! チビエヴァの出番!
≪なるほど、委細承知。いけ、チビエヴァシリーズ!≫
エヴァちゃんが頭上から右手を振り下ろすと、手のひらから眩いばかりの光が溢れ出す。その光の中から現れたのは、わたしのひざ丈くらいの大きさの小さなエヴァちゃんだ。光の中からどんどん登場して列をなしていく。あっという間にマーちゃんとレインお姉様を取り囲むように円になった。その数なんと20人! 髪型や目つき、鼻の形なんかも1人1人違いますからねー。あ、1人だけ男の娘のエヴァちゃんが混じってますけど、わかりますかー?
「さてさてー。これから始まるのはー、チビエヴァちゃんと、カードゲーム対決ですよー!」
わー、どんどんパチパチパチ! ペンライトブンブン、と。
盛り上がっていこう!
スレッドリー、ヤンス、もっと盛り上げてよ!
「どうですかー? チビエヴァちゃん、めちゃんこかわいいでしょー?」
チビエヴァちゃんたちは、ここぞとばかりにお目目をキラキラさせて、お2人にかわいさをアピール!
本体とは違って、純粋無垢でかわゆいから、思わずなでなでしちゃいたくなりますよねー♡ なでなでなでなでなでなで♡
≪本体の私も純真無垢なのでなでなでしても良いですよ≫
無理やり割り込んで、頭を近づけてこないのー。
何? 嫉妬してるの?
「めちゃんこかわいいの! こんな子たちをどこに隠しておったのじゃ?」
さっそくマーちゃんが食いついてくる。
このチビエヴァちゃんシリーズこそが、ちっちゃいもの好きのマーちゃんへの特効攻撃なのだ! そして、レインお姉様も同じ特性を持っていることは、『構造把握』で確認済み♡
「かわいいわ♡ ドリーちゃんも小さな頃はこれくらいかわいかったのよ♡」
1人のチビエヴァちゃんを抱き上げて頬擦りしている。どうやらお気に召したみたい! やったね!
「姉上……。俺の幼少期はこんなに愛らしくは……」
スレッドリーが困惑気味にチビエヴァちゃんの頭を撫でる。
まあそうね……。どう考えても生意気なクソガキだったはずだし、こんな時代はなさそう……。ブラコンのお姉様フィルターってやつね……。
「ところでアーちゃん。カードゲーム対決とはなんじゃ? 初めて聞いたの」
はいはい、マーちゃん、チビエヴァちゃんの1人占めはダメですよ。
両手、膝の上、頭の上にチビエヴァちゃんを抱えないでください。まだ対決前ですからね?
「お2人とも、チビエヴァちゃんと一緒にお酒が飲みたいですかー?」
「飲みたい♡」
「飲みたいのじゃ!」
はい、2人とも良いお返事ですねー。
「ではー、チビエヴァちゃんと対決して勝つことができたら、そのチビエヴァちゃんをお膝に乗せて、一緒にお酒が飲める権利が手に入ると言ったらどうしますかー?」
「「なんと!」」
前のめりになる2人。
いいねいいね♪
「それではお2人には、チビエヴァちゃんとカードゲーム対決をしてもらいます!」
「そのカードゲーム対決ってどんなものかしら?」
「なんなのじゃ?」
「えっとですねー。チビエヴァちゃんはそれぞれカードを1枚ずつ持っていて、そのカードには1~20までのどれかの数字が書かれています。お2人にはそれぞれ1人のチビエヴァちゃんを選んでもらって、そのチビエヴァちゃんが持っているカードの数字の杯数だけ、『龍神の館』特製のスペシャルカクテルを飲んでもらいまーす。見事カードの数字分のお酒を全部飲み干せたら、そのチビエヴァちゃんをお膝に乗せて、このあとの飲み会をお楽しみいただけるサービスでーす♪」
「なんと! そんな夢のようなサービスがあるのかの! 100回参加するのじゃ!」
100回! マーちゃん飛ばしてるー♪
「私も参加したいですわ♡」
そうこなくっちゃ! レインお姉様も行きましょう行きましょう♪
「じゃあ、お2人ともー、どのチビエヴァちゃんと遊びたいですかー?」
選んで選んでー♪
「遊んで~」「遊んで~」とチビエヴァちゃんたちが自分を選んでもらおうと必死にアピールを開始する。
「どの子もかわいいの」
「あらあらどうしましょう♡」
ハズレの子なんていませんよー。
どの子を選んでもアタリ! でも、隠し持っているカードの数字の大きさで難易度が変わってきますから、がんばって少ない数字の子を選んでくださいね。
迷うこと10分少々。
お2人ともようやくそれぞれ1人のチビエヴァちゃんを抱き上げたのだった。
「2人とも、その子で大丈夫ですかー? もう変更はできませんよ? 大丈夫ですね?」
2人が神妙な顔つきで頷くのを確認。
よし、ファイナルアンサー!
それでは運命の数字を見ていきましょう!
「選ばれたチビエヴァちゃんたち、カードオープン!」