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ep.44 天使たちの憂慮


現世げんせに、不可解な行動をとる悪魔が現れたらしい」


「え〜! 今日のお仕事はもう終わりでしょ? まさか行くなんて言わないよね?」


「指示は来ていないから、その必要はないだろう」


「だよねー。良かったぁ」


 上空に浮かぶ二つの人影。

 彼らの背中には、それぞれ一対の翼が生えている。


「にしても、悪魔ってほんと見た目のバリエーション多いよねー。ま、あたしは主様あるじさまと似た姿の方が、絶対に良いんだけど」


「魔界の王は、純粋な神というより邪神じゃしんに近いからな。絶対的な主を持たない世界だと、姿形も自由になるんだろう」


 ツインテールの髪を揺らしながら、指を双眼鏡のようにしてのぞき込んでいた天使は、「やっぱ天界が一番だよねー」などと呟いている。

 隣では、凛とした顔立ちの天使が、「全くその通りだな」と頷いていた。


 突然、指の輪を覗き込んでいた天使から、息を呑む音が聞こえる。


「……ユーリ。悪魔と一緒に、死神がいる」


「死神が悪魔といるのは、そう珍しい光景でもないだろう?」


 なんせ、死神は悪魔の天敵だ。

 死後の魂を管理する死神に対し、悪魔はそれを狙う邪魔者。

 魂を巡って両者がぶつかる光景も、現世では度々見られている。


 しかし、ユーリの言葉には答えず、ツインテールの天使は真剣な顔つきで覗き続けたままだ。

 相棒のそんな姿に、ユーリも何か異変が起きていると察したらしい。


「リリー。まずは天官庁てんかんちょうに戻ろう。あそこなら、誰か対応できる方がいらっしゃるかもしれない」


「たしか今日は、天日てんぴ様と暁光ぎょうこう様が来られてるって聞いてた気が……」


「太陽を冠する方々に指示を仰ぐのは分不相応ぶんふそうおうなのだが……。そうも言っていられる状況ではなさそうだな」


 ただでさえ、今の死界は信用ならない部分が多い。

 が起きた日以降、死界の多くはけがされてしまったのだから。


 死神側の問題であっても、後々大きなリスクに繋がる可能性は否めないだろう。

 互いに頷き合った二柱の天使は、翼を広げると、そのまま空の中へ溶けるように消え去っていった。




 ◆ ◇ ◆ ◇




【 十三番目の解説コーナー 】



《 知らなくても普通に読める。でも知っておくとより裏が見えるかも。本編では語られない、隠し設定に関する語り場 》



★《 読み飛ばしてOKな部分です 》




 凄く細かい部分のお話なので、流し読み推奨です。


 この物語の「表現ルール」として、神を柱と数えていることがあります。

 神同士にも格上格下の差は激しくあるのですが、物語として表記する「柱」は、主に「神よりの時」などに使用しています。


 死神も天使も、普段は人のような一面を見せることが多いため、一人二人と書くことがほとんどです。

 しかし、彼らが本来の姿である死神や天使としての一面に変わる時、それは「人外としての面が強く出る」ことを意味しています。


 本作における死神と天使は、「神としての属性」が強いというより、下位の存在でも「ほぼ神のような立ち位置」に値するため、こうして人と柱を使い分けて表記する形になりました。


 なので、悪魔やその他の人外には、基本的に柱を数えとして使うことはありません。

 色々と細かいことを記載していますが、そこまで気にしてないよって方はスルーしてあげてください。


 もしかしたら気になる方もいるかもしれないな……たぶん。

 くらいの気持ちで載せております。


 長くなりましたが、最後に。


 本作を読んでくださる読者の皆さまへ

 いつも沢山のモチベーションをくださり、本当にありがとうございます。


 未熟な作者ではありますが、今後も楽しんでいただけるよう続きもしっかりと頑張って参ります。

 どうかこれからも、死神の猫(と、ついでに十三番目)を応援していただけると嬉しいです。



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