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隣人

ソワソワと


落ち着きのない


隣人に


慣れてしまうよ


初めだけだと


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晴れて結婚の当日を迎えた隣人が、早朝から家を訪ねてきた。


三歩先の足元を見てソワソワしながら、ブツブツと独り言を語って落ち着きがない。


これは少し、心身を落ち着かせておかない事にはえらい事になりそうだ!


そう思えたので、木登りに誘い、二人で登る。


『見渡しの木』は古くからお山にある巨木。

大人が三人登って座れる枝があるので、気持ちを立て直すために打ってつけの場所。


座って渓谷に向っていく風を感じながら「まずは深呼吸して、空を観やんせ!」

「どや、落ち着いてきたろうね。」


隣人は軽く頷いて「あぁ。」と言います。


「せば、言っておくとだな、俺もなかなかに時間をかけたよ。まんずまんず、今日を乗り切れば安泰や。慣れてしまうよ。」


隣人は目を丸くして「ほうなんかか??」と言うので。


「ほうじゃ!とっとと慣れてしまえばいい。な?」と、言って手を差し出すと。


「ほうじゃな!ありがとう!」と力強く手を握り、握り返す握手を交わす。


『見渡しの木』は、一人では登らない方がいいと言われている村人たちの聖地なのでした。


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