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私はリラ。リスの双子の姉。
私たちは8年前の大災害で両親を失ってからずっと、教会で過ごしてきた。リスとは、ずっと、一緒。
そうして大学生になり、教会から通うには少し離れた場所の大学に二人して通うことになった。私たちはどうしてもやりたいことがあったから、二人で奨学金を借りながら、ルームシェアをして暮らしていたの。
だけど、どうも最近後を尾けられている……大学3年生になる少し前の7月、そんな、気がした。大学やバイト先からの帰り道、リスと二人でのお出かけや買い物のとき、何かと視線が気になった。
……それは妹のリスも同じだったらしい。
怖くなって、幼馴染のフレデリックに相談したの。彼とは、彼が教会を出てからも3人で頻繁に会っている。そしたら彼は私たちのことを気にかけてくれた。彼も同じような被害に遭ったことがあるから心当たりがある、と言っていろいろと調べてくれた。
その結果……私たちを尾けていたのは、N大学のマティス教授が通う研究施設の人間であることが分かった。そうして、フレデリックの『pré
……N大学の教授、マティスの実験によって【魔導基部】を奪われて。
フレデリックがそんな嘘をつくはずがない。
だから私たちは彼を信じた。
……信じちゃったの。
7月に起こることは、我慢して、教授に協力してと。おそらく10日間ほど……ただの魔力測定と脳波測定だけだから大丈夫って。
《特殊魔法》についても聞かれるかもしれないけれど、それは黙秘するしかないと、そして戻ったら今いるアパートを引き払って身を隠した方がいいと……そんなアドバイスももらった。
だけど特殊魔法を黙秘し通すことなんて、できなかった。それはリスも一緒。
……だって、怖かったんだもの。私が《特殊魔法》を使わなければ、リスに危害が加わるかもしれないと、そう思った。
仕方なく、私は特殊魔法を使った。そしてそれは同じように、リスも。だけど、ほんとにただ使っただけなのよ。私たちの魔法は人に危害を加えるものでも、現状を変えるものでも、なんでもないから。
私たちはフレデリックが何を考えていたのか、きっときちんと理解していなかったのね……彼が翌1月に守ってくれると言ったのは、当然彼もこの世界にいてくれると思ったの。まだ時間はあるから、何か、これから一緒に策を練っていくんだと、そう、思って
……それなのに、私たちが教授の研究から解放された時には、彼はもうこの世界にいなかった。
……
…………。
…………すべてが、わかってしまった。
彼の『pré
私たちは、彼を、頼ってしまった
……彼は非魔術師に攻撃することで、自らゼノ様に魔法を剥奪されたんだって。
それは……未来を、変えるためだって……。
…………
……嫌………………いやよ、……どうして……
………………
……。
私は……彼が、好きだった。ずっと、ずっと前から。
教会で出会った時から、ずっとフレデリックが好きだった。皆に優しくて、弟思いの、そんな彼が。
……でも、バレてはいけないと思った。みんな、生きるのに必死だったから……こんな気持ち誰にも言えなくて、自分だけの胸の内に、そっと、しまった。
……
だけどね、……
……私は、貴方がいない未来の方が、ずっと、ずっとつらいよ…………
どうして私は自分の気持ちを、ちゃんと伝えなかったんだろう。
フレデリック、ずっと私のそばにいて……なんて
貴方のことが、好きでした……って