目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

2025年ホワイトデー フランツ、レイ、リカード、ダイ

「今日はこども達にキャンディを配ってくれるかな?」


「わかりました」


「なんか、いつもなにか配ってるよね」


「おいらもキャンディ食べたーい」


「お前のいつも食いたいって言ってるよな」


 私の提案に思い思いの返事が返ってくる。


 まあ、たしかにもはや定番になっている麺があることは否定できない。


「前にチョコレートを渡してもらったと思うんだけど、今日はそのお返しを渡す日なんだよね」


「それなら、僕らは貰う側じゃ……」


「本来は男が渡す日なんだろうけど……」


「おいら達、前に渡してあげたもんね」


「でも、今回も俺等が渡す側なわけか」


「いつもすまないねえ……。でも、君達のおかげでこども達は喜んでるからさ」


 なんだかんだ言いながら、いつも孤児院のこども達のために頑張ってくれている四人。


 これが終わったら、彼らにもキャンディをちゃんと用意している。




「前回のお礼だってこども達も僕達にキャンディをくれました」


「あげたキャンディをそのままプレゼントしてくる子もいたけどね」


「おいらは甘いキャンディが食べられて嬉しかったよ〜」


「キャンディでベタベタの手で触ってきやがった……」


 キャンディを配り終えた四人が思い思いの感想を伝えてくれる。


 孤児院のこども達に大人気のお兄ちゃんたちだから、今回ももみくちゃにされたんだろうな。


「みんな、お疲れさま。今回はベッドの上にたくさんのキャンディを並べてみたよ」


「なぜ、ベッドの上なんでしょう?」


「なんかかわいい感じにはなってるけど……」


「わーい、キャンディいっぱーい」


「俺にこんなかわいいのは似合わねーだろ」


 各々反応は違うものの、渡したキャンディを食べてくれる。


「うん、疲れた身体に甘いものは染みますね」


「確かに……疲れが取れる感じだね」


「元気になるね〜」


「まあ、確かにな」


 どうやら、甘いものは喜んでもらえたようで何よりだ。


 しばらく、みんなでいろいろな味のキャンディを楽しむ。


『相変わらず、色気のない集まりだな』


 邪神改め英雄神が私の口を借りてそう言う。


『キャンディではなく、小僧どもを味わうべきではないか?』


 また、とんでもないことを言い出す英雄神。


「そんなこと、できるわけないので」


『そんなこともなかろう』


 英雄神の目……私の目だけど……が赤く光る。


「僕の味、タカヒロさんに味わってほしいです」


「オレも……いいよ?」


「おいらもにーちゃんにペロペロしてほし〜」


「なら、おれも……」


 熱に浮かされたように四人が頬を紅潮させてそんな事を言う。


「何をしたの!? この子達に変なことしないでもらえます?」


『なんだ、つまらぬ。欲望に忠実になれるように手伝ってやったというのに』


 私の言葉に、心底呆れたように英雄神は呟くのだった。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?