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2024年ハロウィン レイ

「ハロウィンってイベントで仮装をすることはわかったけど、オレはなんで魔”女”なんだ?」


「魔法使いだとそのまますぎるから、今回は魔”女”でお願い」


「別に魔法使いでもいいだろ。それとも、女装させるのが趣味なのか?」


「そんなことはないけれど、衣装がそれしかなかったんだよ」


 ハロウィンの仮装で揉める私とレイ。


 実際、私はそんなに男の娘が好きなわけではない。


 文化祭なんかで女装を楽しんでいる男子達はそれはそれでかわいいと思うのだが、二次元だと女装すると単に女の子にしか見えないし、ムキムキ男子が女装しているのも微妙だし。


「でも、普段からローブを着ているレイからすれば、ズボンを履いていないだけみたいな感じだと思うよ?」


「それが一番問題でしょ!」


「まあ、そうだね。じゃあ、仮装はやめとく?」


「うっ……まあ、祭りだからね。我慢してやらないこともない」


 私が少し残念そうにやめることを提案すると、少しうろたえて受け入れてくれるレイ。


 なんだかんだ言って優しい子である。


 その優しさに漬け込む私は悪い大人だなあ。


「それじゃあ、お着替えしようか。服、着替えさせてあげるね」


「馬鹿なの? 死ぬの? ってか、殺すよ?」


「すみません、調子に乗りました。でも、殺すとまで言われると傷つきます」


「言われるようなことをしようとするからでしょっ。まあ、殺すは撤回してあげるけどっ」


 私のふざけた発言に、どこかで聞いたようなセリフを吐くレイ。


 元々が現代で作られたゲームが原作の世界だし、どこかしら現代の言葉がこの世界にもあるのかもしれない。


 それにしても、やっぱりツンデレだなぁ。




 レイは後ろを向くと服を脱ぎだす。


 後ろを向いているとはいえ目の前で着替えだす辺り、男同士だから別に問題ないという意識らしい。


 私はたとえ後ろ姿でも、ショタの着替え姿を見られるなんて至福の瞬間なのだが。


 凝視してまたキレられることを考えると、後ろを向いていることももしかしたら良かったのかも。


 上半身裸になったレイの背中は、透き通るように美しい肌をしていた。


 魔法使いでインドア派なこと、エルフという種族であることなど様々な要因があると思うが、少年特有の肌のきめ細やかさということもあるだろう。


 続いてサンダルを脱ぐと、ズボンも脱いでいく。


 後ろ姿なので逆に足裏がバッチリこちらを向いており、少年の裸足好きとしては嬉しい。


 それにしても、冒険者とはいえ魔法使いだから筋力もあまりなく、すごく華奢で線の細い姿はショタ感が詰まっていて素晴らしい。


 魔女のローブに関しては上からすっぽりと被るだけという感じで、割と一瞬で着終えてしまう。


 肩や胸があらわになっているのは、女性物の服だからであろうか。


 さらに、腕にも衣装をつけていく。


 肩や二の腕は見せるけれど肘から下は隠す。男性物の服にはない発想だなあと改めて思う。


「これでいいの?」


「うん、バッチリ。かわいいよ」


「ころ……黙りなよ!」


 思わず本音を口にすると、レイに怒られる。


 それでも殺すという言葉を途中で止める辺り、素直で良い子である。




「魔法使いのほうきもあるから、せっかくだから乗ってくれないかな?」


「まあ、別にいいけど」


 少し不満げな表情を見せながらも、魔女の帽子を被ってほうきに跨る。


 そういえば、ローブを上から被っていたのでローブの下は下着姿な気がする。


 少しはだけて太ももが見えている辺りもグッドだし、片足を投げ出して足裏が見えている辺りもグッドだった。


「こうして、あんたを上から見てやるのも良いね。まだフライトの魔法は覚えてないけど、次は覚えようかな」


「レイは背が高いけれど、さすがに私よりはまだ小さいもんね。私としては、小さいままのほうが嬉しいんだけど」


「は? すぐにあんたより大きくなってやるからっ」


 またしても本音が口に出てしまってレイに怒られる。


 実際、一番年下なのに高身長なレイが成長すれば抜かされてしまうだろう。


 ショタたるもの小さくてかわいいのがベストなので、そうなってしまうと少し残念である。


「今に見てなよ? こーんなにでっかく……うわっ!」


 両手を大きく広げて大きさを表現しようとしたレイが、バランスを崩してほうきから落ちてしまう。


 私は慌ててレイを抱き止めた。


 背は高いものの、華奢なのでなんとか私でも抱き止めることができて良かった。


「あっ……ありがと」


 顔を赤らめながらお礼を言うレイ。


 かわいい! 食べちゃいたい! 


 思わず抱きしめると、ますますレイの線の細さが腕に伝わってきて興奮してしまう。


「ちょっ……もう離れなよっ」


 嫌がるセリフを吐きつつも、引き剥がそうとはしないレイ。


 その胸元からは心臓の高鳴りが聞こえてきて、レイもドキドキしていることが伝わってくる。


「かわいいね」


 思わずこぼれた私の言葉に、レイの心音はさらに早くなる。


 だが、顔を真っ赤にして困惑するレイを見て、自制心を取り戻す。


「かぼちゃのスープ、一緒に飲もうか」


 顔を赤くしたまま黙って頷くレイは、本当にかわいくて仕方がなかった。

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