「あの……ハロウィンというイベントで仮装をすることはわかったのですが、僕はどうしてミイラ男なのでしょうか?」
「一番、肌の露出が多いからかな」
「え?」
私の言葉に、フランツは驚きの声を上げる。
それはそうだろう。
正直、言っている私自身も驚いている。
「もちろん、包帯の量によって変わるのだけど……。量は少なめでいきたいね」
「それはなぜですか?」
「フランツのきれいな肌をたくさん見たいからだね」
「なっ……今日のタカヒロさんはおかしいですよ?」
自分でもそう思う。
しかし、フランツのきれいな肌が見たいというのも本音だった。
本人は覚えていないようだが、添い寝したときのフランツの肌は本当にきれいだった。
ウォーリアという職業と今後の成長で失われてしまう前に、たくさん目に焼き付けておきたい。
「お祭りだからね」
「お祭りだから……そういうものなのでしょうか」
「そういうものなのですよ」
スラスラと謎理論が自分の口から流れ出す。
謎理論すぎるが、お祭りになるとタガが外れるということ自体は実際にある。
ドーパミン大放出といったところだろうか。
「……恥ずかしいですが、タカヒロさんが望むなら」
「望む望む、すごく望むよ。自分じゃ包帯を巻きにくいと思うから、私が巻いてあげるね」
「ありがとうございます」
私の謎理論に説得されてしまうフランツ。
そんなに簡単に流されて大丈夫なのかと心配になる面もあるが、そう仕向けたのは自分なわけなので余計なことは言わない。
「じゃあ、いったん全裸になろうか」
「ええ!」
「ミイラ男って服は着ていないと思うんだよ」
「それはそうかもしれませんが、さすがに全部脱ぐのはちょっと」
続けて、またしても驚きの発言が自分の口から飛び出す。
まあ、確かに服の上から包帯を巻いているミイラ男なんて見たことがない。
全裸の状態から包帯を巻かれているのが普通だと思うが、全裸になれなんて現代日本なら即逮捕案件である。
「じゃあ、下着は履いていていいよ。他は全部脱ごうね」
「は……はい……」
少しは理性が残っていたのか、下着の着用を許可する私。
なんだか自分で自分じゃないようで客観的になってきた。
客観的に言えば、下着姿でも結構アウトである。
「いや、やっぱり私が脱がせてあげよう」
「ええっ」
「そのほうが楽しいし」
前言撤回、理性など残っていなかった。
脱げというだけなら見ないという選択肢もありえたが、脱がせるとなると当然見るのだろう。
お巡りさん、ここに変質者がいます。
いや、私なんだけれど。
「やっぱり、今日のタカヒロさんはおかしいですよ!」
「まあまあ、ハロウィンだし」
そう言いながら、私はフランツの服を脱がせにかかる。
すでに防具は外しているので、シャツにズボン、ブーツといったところ。
フランツにバンザイをさせ、シャツの裾に手をかける。
顔を赤らめて恥ずかしがるフランツのシャツをあえて時間をかけて脱がせていく。
腹は引き締まった腹筋が、胸は槍を振るうのでかなり鍛えたれているものの、ムキムキではない引き締まった胸筋。
さらにまだ毛の生えていない脇。
腕はもっと鍛えられているが、ボクサーのようなすっきりとした筋肉で美しい。
「うう……」
顔を赤くしながら耐えているフランツが非常にかわいい。
顔は美少年で身体は細マッチョでありながら、まだ少年らしさを残している。
ショタから外れるか外れないかのギリギリのラインなのが非常にグッドである。
「じゃあ、続けてズボンも脱がすよ~」
「ええっ!」
私の宣言にフランツは慌ててズボンを押さえる。
さすがに抵抗感が強いらしい。
まあ、自分が逆の立場だったら絶対に嫌だけど。
いや、ショタにズボンを脱がされるというのはそれはそれでありなのか?
「おっと、その前に靴を脱がせないとだね」
「あ、はい」
私の言葉に、こちらは素直に答えるフランツ。
少年の裸足好きとしては靴を脱がせるのも興奮するのだが、そんな事はもちろん言わない。
ゆっくりと靴を脱がせてやると、少し火照った足裏が現れる。
日焼けする部分ではないので、腕などに比べると白い。
いや、赤みがかっていた。
いつもみたいに触ったり足裏マッサージしたい気持ちが持ち上がるが、それを始めると着替えがいつまでも終わらないので我慢する。
それでも、たまたま当たったふりをして手の甲で足裏に触れると少し汗ばんだ感触がして非常に興奮した。
「じゃあ、今度こそズボンを脱がすよ」
「本当に……そこまでしちゃうんですか?」
若干涙目になりながら、上目遣いに私を見てくるフランツ。
可哀想という気持ちももちろん出てくるのだが意地悪したい気持ちも持ち上がってくる。
フランツくん、それは逆効果だよ。
「流石に可哀想かな。じゃあ、自分で脱いでいいよ」
「本当ですか? ありがとうございます」
私の言葉に嬉しそうに笑顔を見せるとズボンを下ろそうとする。
しかし、私に見られているという状況を思い出したようで、急激に顔を赤くしてもじもじとする。
恥ずかしそうに顔を赤らめながらズボンを下ろしていく様子が、逆にエロさを醸し出してしまっていることには気づいていないようだった。
「うぅ……これでいいですか?」
「うん。じゃあ、あの辺りの床に横になってくれるかな?」
「……はい」
ジャック・オー・ランタンやオシャレなランタンでハロウィンっぽさを演出した床にフランツを寝かせ、少しずつ包帯を巻いていく。
とりあえず、下着を隠して胸の大事なところを隠した後は太ももや腕などにしっかりと包帯を巻いていった。
「あのー、これってかなり時間がかかりますか?」
されるがままになっていたフランツが、困ったような表情で質問してくる。
夢中になって一生懸命巻いていたが、巻かれている側は待っているだけな上に身体を触られているわけなので辛いかもしれない。
「うーん。全身包帯男にすると時間がかかるけれど、この辺で終わろうか」
「えっ? それはそれで、困ってしまうのですが……」
巻きやすい腕や脚にばかり包帯を巻かれ、胴体はほとんど裸なフランツは困惑しているようだった。
とはいえ、仮装させることよりもこの過程を楽しみたかったわけであるし……。
「このまま出歩けとは言わないから、フランツのかわいい姿をしばらく堪能させてよ」
「かわいい……ですか?」
「かわいいよ」
「……」
私の言葉に、フランツは顔を真っ赤にしてしまう。
そういうウブなところも本当にかわいい。
しかし、自分の口から出たとは思えないほどキザなセリフである。
そのままフランツをそっと抱きしめてやると、ほとんど半裸の胸元から激しい鼓動が伝わってくる。
相変わらず自分でも信じられないくらい大胆な行為だが、こんなにドキドキしてくれるなんてショタコン冥利に尽きるというものである。