「フランツ。プレゼント配り、お疲れ様でした」
「思ったよりも疲れてしまいました」
サンタクロースの格好をしたフランツは、いつも以上にかわいい。
サイズが合うものがなくて半ズボンだし、ブーツを脱いで裸足でベッドに座っている姿は普段よりもこどもっぽく見える。
しかし、神殿に併設している孤児院のこども達に朝からプレゼントを配ってまわるという重労働を頑張ってくれた。
手分けして行っているとはいえ相当な数のプレゼントがあったし、ウォーリアであるフランツは力もあるだろうと大きな袋を渡されたので誰よりも大変だっただろう。
さらに金髪碧眼の美少年なフランツは女の子に大人気で、逆に手作りのプレゼントを渡されて困ってしまう場面もあった。
優しいフランツは断らずにお礼を言って受け取るのだが、段々それが一杯になってきてしまい、手が塞がって大変そうだった。
「大人気だったもんね」
「ありがたいのですが、貰ったプレゼントをどこに保管すれば良いのか困っています」
「神殿で預かってもらうのが良いのかな。持ち歩くわけにもいかないし、こども達の手作り品だから神殿長も喜んで預かってくれると思うよ」
「そうですね。後でお願いしてみようと思います」
私の言葉にフランツは納得したようで、貰ったプレゼントを箱の中にしまうのだった。
「さて、疲れただろうからマッサージしてあげようか」
「え? そんな、悪いですよ」
「嫌なら良いんだけど、フランツの疲れが癒せるなら私も嬉しいな」
「嫌なんかじゃありません。それでは、すみませんがお願いします」
私の言葉に最初は遠慮していたフランツだったが、結局押しに負けた。
頬を赤らめているので、本当はマッサージされたかったのかもしれない。
私は手にマッサージオイルを付け、手の平で温めてゆっくりとフランツの足裏に塗ってやる。
「うわぁ、温かくて気持ち良いです」
「そう? 喜んでもらえて嬉しいな」
オイルで滑りが良くなった指で、足裏のツボをしっかりと刺激するようにマッサージする。
フランツは恥ずかしそうにしながらも、気持ち良さそうに目を細める。
「疲れているなら、横になって寝ちゃっても良いよ?」
「そんな……マッサージしてもらっているのにそこまで失礼なことは……」
私の言葉にフランツは目を大きく開いて反対する。
真面目で遠慮がちな眼の前の少年にストレートな言い方をしてはダメだった。
「フランツが私のマッサージでゆっくり眠れるなら、私はすごく嬉しいんだけどな」
「僕もタカヒロさんにマッサージしてもらいながら眠るなんてすごく幸せですが、さすがに申し訳なさすぎてちょっと……」
フランツは困ったような表情を浮かべる。
あまり困らせるのも可哀想だから、今回はこのまま続けよう。
ウォーリアで足を踏ん張ることも多く、少し硬くなり始めていたフランツの足裏を、しっかり柔らかくなるようにオイルを染み込ませていく。
しばらくすると随分としっとりしてきて、定期的に続けていけば柔らかくなっていきそうで何よりである。
「タカヒロさん、いつもありがとうございます」
「どういたしまして」
サンタクロースの衣装を着たまま、はにかんだような笑顔を見せるフランツから、私も大切なプレゼントを貰ったような気持ちになるのだった。