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第102話 コボルトからのお願い②

「その、サポテコ族……ですか?エリカさんのお住まいの近くには、似たような服を着る一族がいらっしゃるのですか?」

「ああ、近く、というわけではないのだけれど。私民族衣装が好きで、色々と調べてて知っただけなの。サポテコ族の服も、ララさんの服に負けないくらい美しいのよ?」

 円璃花の言葉にララさんがニッコリする。


「サポテコ族の女性は、スペインやアジアの服飾の影響を受けた華やかな民族衣装で知られていてね、白いレースで飾られた、ウィピール・グランデというものを頭に被るのだけど、ララさんのところも、何かこれに合わせるものがあったりするのかしら?」

「あ、はい。これはただのオシャレをする時に着るものですけど、正装する時は上下お揃いで着て、頭にもかぶりますね。」


「確かに普段使いにも華やかで素敵よね!

 いいわあ、私も着てみたい。」

「今度差し上げましょうか?」

「ホント!?」

「ええ。ネイルを教えていただくお礼に。」

「やったわ!ねえ、ジョージ、お店の店員さんの制服も絶対これにすべきよ!」


「確かに。コボルトの伝統衣装だというのなら、それをいかした制服にしたいな。男性にも伝統衣装があるんですか?」

「はい、ありますよ。私たち女性のとは少し違いますけど。」

「出来れば同じデザインのものを身に着けていただきたいので、今度見せて下さい。」


「女性も普段使いにする人は少ないですし、あんまり男性は着なくなってしまいましたからね。わかりました。用意しておきますね。

 縫製は全員出来るので、デザインさえ決めていただければ、準備は問題ありません。」

「ありがとうございます。よろしくおねがいします。こちらで準備しようと思っていたのですが、そういうものがあるのであれば、制服もコボルトの伝統にこだわりたいので。」


「アシュリーさんのつけていらっしゃるアクセサリーも、コボルトのものなのかしら?」

「ええ。コボルトの陶器を作る技術で作られたものよ。私たちはオシャレすると言ったらこれなの。お守りの意味もあるのよ?」

「そうなんですか?この、花の飾りを陶器を作る技術で作れるものなんですね。」


「ええ。土を花びらの形にして、土台に貼り付けるだけだから、誰でも作れて簡単なの。これは私が自分で作ったのよ?」

「土がそんなに簡単に形作れるんですか?」

「コボルトの陶器に使う土は、しなやかで加工しやすい硬さにこねることも出来るものなのよ。陶器そのものとは少し違う技術ね。」


 なるほど。伝統工芸のつまみ細工の土版ということかな?体験コーナーを作ったら、子どもや女性にも人気が出るかも知れない。

「ぜひやり方をじっくり教えていただけませんか?店でも売りに出せたらと思います。

 出来たら作るところから、お客さんに体験させられないかとも思っています。」


「構わないわよ。それよりジョージを待っていたらお腹がすいちゃったわ。何か先に食べない?それからにしましょう。」

「ああ、もうそんな時間か。」

 確かに俺たちも朝ご飯が早かったから、お腹がすいてきちまったな。

「じゃあ、すぐに食べられるものを作りますよ。とりあえずお腹を満たしましょう。」



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