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第51話 深淵に潜む影

「あ、あんたは別に友だちにならなくていいわよ。私より弱いからね!」

 とシャーロットが獄寺ちょこを見て言う。


「なっ……!なんですって!」

「こんな子とじゃなく、私とだけ仲良く出来ればいいでしょう?お姉ちゃん。」

 上目遣いで美織を見るシャーロット。


「いえ。私にとって、ちょこさんはとっても大切なお友だちなので。私はちょこさんとずっと一緒にいたいです。」


 ニコニコしている美織に、唖然とした表情を浮かべたシャーロット。

「こ、この私が友だちになってあげるって言ってるのよ!?他の人なんていいじゃない!」


「お友だちは1人である必要はありませんよね?私にとっては、知り合ったばかりのシャーロットちゃんより、ちょこさんのほうが大切なお友だちです。」


「なんでよ!」

 激昂するシャーロットに、はは〜ん、とニヤニヤした表情を浮かべる獄寺ちょこ。


「……あんた、ひょっとして友だちがいないのね?だから美織にこだわるんでしょう?」

「なっ!失礼ね!」

 シャーロットは顔を真っ赤にして興奮する。


「単に私の実力に釣り合う人間がいないっていうだけよ!私は弱い人間が嫌いなの!だから友だちにならないっていうだけよ!」


:似たもの同士か

:メスガキとツンデレがいおりんを取り合っとる

:百合の波動を感じる……!

:いおりんはちょこタンが大好きだからな

:まあぽっと出が奪うのは無理だよな


「ちょこさんと縁を切れというのなら、私はシャーロットちゃんとお友だちになるのが難しいです。それでもいいですか?」


「そ、そんな……。」

 シャーロットは親指の爪をガシガシと噛んで、イライラし始めた。


「だから、シャーロットちゃん、ちょこさんともお友だちになりましょう?」

「ま、まあ、なりたいって言うのなら?なってあげなくもないわよ。いおりが1番だけど!」


「あたしだってそうよ!別にあんたと友だちになんてなりたくないけど、友だちがいなくてかわいそうだから、なってあげなくもないわよ?」


「なんですって!?」

「なによ、やるっての?」

「爆弾に頼ってるような探索者でしょ?自分自身の力で魔物1体狩れないくせに!」


「あたしのスキルで狩って手に入れた魔物で作った爆弾よ!それはあたしの力ってことでしょうが!」


「まあまあ2人とも、仲良くしましょう?」

 いがみあうシャーロットとちょこの間に入って、とりなそうとする美織だったが。


「「ふん!!」」

 似たもの同士の2人は、腕組みしながら盛大にそっぽを向いてしまうのであった。


 それでも美織と連絡先を交換出来たシャーロットは、トークアプリの画面を見つめて嬉しそうに頬を染めていた。そしてなんだかんだ言いながら、しっかり獄寺ちょことも連絡先を交換するシャーロットだった。


「今日はこのへんにしましょう、いおり。そろそろ帰らないとね。スターフィッシュツリーの卵巣食べ配信もあるんでしょ?」


「そうですね、そうしましょうか。それじゃシャーロットちゃん、また会いましょうね。私たちはここで失礼します。」


「絶対ね!約束よ!」

 シャーロットは美織と指切りげんまんをして、嬉しそうに微笑んだ。


 シャーロットはその足で、父親のメイソン・オーシャンのもとへと向かった。

 今日は企業の依頼で、メイソン・オーシャン率いる探索部隊が深淵に挑む予定なのだ。


daddyパパ!」

 探索部隊と打ち合わせをしているメイソン・オーシャンに手を振りながら、シャーロットは父親に駆け寄った。


It's late遅いじゃないか. Where were youどこで遊んでいたんだ playing?」

Hey, listenねえ聞いて. I made a new私友だちが出来たの friend!」

friend友だち?」


 嬉しそうに美織の話をするシャーロット。探索部隊はその間にも、深淵に潜るための準備をすすめていた。


「ドラゴンですか……。このダンジョンに、ほんとにそんなものいるんですかね。」

「ドラゴンの亜種の巨大なトカゲじゃないかっていう話もあるな。」


「深淵だからな。ドラゴンがいてもおかしくはないが、調査に潜った奴らが命からがら逃げ出すのがやっとで、正確な情報がないんだ。今日はその調査もかねて、討伐出来るのであれば討伐、という予定だな。」


 討伐隊がいるのは深層であり、そこに後方支援部隊とともに、シャーロットが待機することになっている。万が一逃げ出すことになった際に、深層までであればじゅうぶん戦力になるからだ。深層の魔物は既に討伐してあり、しばらくはリポップすることもない。


 後方支援部隊は、深淵にもぐる探索部隊を追いかけるドローンの映像が見られるよう、視聴機器のセッティングを始めていた。先に偵察に向かったドローンの視野に、一瞬黒い影が映って、スッと消えた。

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すみません、遅くなりました……!

本日分になります。


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