目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第166話 最年長と最年少の共闘

「うわぁん、こわいよう。」

「ママァ〜。」

 竜巻の中心にいる幼稚園の子どもたちが、幼稚園から逃げられずに、建物の中で身を寄せ合って泣いている。


「だいじょうぶよ、英介!ママが守ってあげるからね!──召喚!」


 父親に迎えを任せた息子のお迎え先の幼稚園が、ダンジョン崩壊に巻き込まれたと知った松屋詩歌まつざきしいかは、ダンジョン探索を切り上げて幼稚園へと駆けつけていた。


 子育て優先でたまにしか現場に顔を出さなくなったが、現役のAランク探索者、スキルはネクロマンサーだ。


「詩歌、毎回母ちゃんを呼び出すなよ。」

「だって一番強いんだもの!」

 詩歌の母も、元は探索者であり、賢者のスキル持ちであった。レベル7相当のすべての属性魔法を操ることが出来る。


 既に故人である為、詩歌のネクロマンサーのスキルで、使役することが可能なのだ。使役しているだけの為、意思疎通は出来ない筈だが、指示命令がなければ動けない筈の魔物と違い、自主的に動いてくれることも多い。


「まあいい、いくぜ母ちゃん。」

 魔法使い用の杖を手にした元妻であったものと、並べるように刀を突き出す蛭巻条之進。


 雷魔法が飛び交う中をぬうように、蛭巻条之進が日本刀をふるう。雷魔法を避けた先には蛭巻条之進の切っ先があった。次々と切り裂かれ、撃ち落とされるハーピーたち。


「危ないです!下がってください!」

 そこに、警察と押し問答している人の声が聞こえてくる。


「あんたね!この子が誰だと思ってんの!この子が駄目ならみんな無理よ!何かあったらどうすんの!」


「ちょこさん、実力で通りましょう。」

「OK!」

 そう言うが早いか、警察官たちの頭上を飛び越えて、幼稚園の敷地内に入ってくる美少女2人組。


「おお、危ないぞ、嬢ちゃんたち!」

 蛭巻条之進がそう声をかけると、


「⋯⋯実力差があり過ぎると、相手の実力がわからないってやつね。」

 獄寺ちょこが、そう言ってため息をついた。ギャルの見た目の美少女にそう言われて、蛭巻条之進は思わず苦笑する。


「で、ここまで来たけど、どうすりゃ崩壊はとまんの?」

「ダンジョン崩壊の止め方がわかりませんから、中にいる魔物を一層するしかありませんね。前回はそれでスタンピードは止まりました。」


「オッケー、行くわよ!」

 美織と獄寺ちょこが、崩壊しつつあるダンジョンの中へと飛び込んで行く。


「あっ、おい、嬢ちゃんたち、待ちんしゃい!」

 慌てて止めようと手を伸ばした蛭巻条之進だったが、2人のスピードは蛭巻条之進よりも早いものだった。


「あんな若いもんが、なんちゅう怖いもん知らずだ。」

「お父さん、ここは任せて、あの子たちを追いかけてあげて!」


「言われんでもそうする!」

 子どもたちの守りを娘に任せて、蛭巻条之進もダンジョンへと飛び込んで行った。


「どこへ行ったんだ……?」

 既に2人の姿は、蛭巻条之進の視界の届かない場所にあった。進む先には、既に何体もの魔物が斬り伏せられ、爆弾らしきもので崩壊し、ドロップ品を残してその姿を消しつつあった。


 あっと言う間に深層までたどり着き、蛭巻条之進はその手腕に舌を巻く。

 まだ10代と思わしき少女で、ここまでの速度で深層まで到達出来るのは、蛭巻条之進の知る限り、若い頃の自分の妻くらいのものだ。


 蛭巻条之進が深淵にたどり着くと、既に戦闘は始まっていた。ムッシュマッヘーと呼ばれるそれは、ヘビとライオンと鳥が合わさったような体と、7つのヘビの頭を持っていた。


 噛みつこうと襲い来る7つの頭から、縦横無尽に逃げ回りながら、美織がムッシュマッヘーを切りつけ、爆弾を手にした獄寺ちょこが、同時に頭が襲いかからないように気を引くという、連携プレーを行っていた。


「なんとまあ、長生きはしてみるもんだな。」

 関心したようにそう呟く蛭巻条之進。その戦いを見る限り、爆弾の子は戦力にまではなっていないが、剣の子は余裕そうだな、と感じていた。


「若いもんにばかり、いい格好はさせられんの。」

 蛭巻条之進は飛び上がり、ムッシュマッヘーの頭を1つ切り落としてみせた。


 美織と目があい、ニヤリと笑って見せる蛭巻条之進。

「ちょこさん、後は私たちが!」

「オッケー!」


 獄寺ちょこに気を引かせるのは、やはり危うさがつきまとう。美織は蛭巻条之進と共に戦うことを決め、獄寺ちょこに戦線を離脱するよう伝えた。


「さあ、行こうかお嬢ちゃん。」

「はい、よろしくお願いします。」

 美織と蛭巻条之進は、首を落とされてなお、弱った様子を見せないムッシュマッヘーの次の攻撃に備える体勢を取った。


────────────────────


久々の更新です。ずっと体調不良が続いており、立て続けに「まもののおいしゃさん」と「スキル海ってなんですか?」の書籍化があって、プラス予定している有料連載の書き上げ、「こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記」のコミカライズ(7/29よりピッコマで先行配信が開始されます。初週の売上次第で今後続けられるかが決まりますので、ぜひ応援よろしくお願いいたします)、と、商業化作品以外に手を付ける余裕がなくて……。


最近の暑さでやられてしまったらしく、ずっと体調不良の原因がわからなかったのですが、いくつか病院をはしごして、ようやく脱水症状で血圧が上が86まで下がっていたのが原因だったとわかりました汗

点滴2本も打たれました苦笑


回復してもまたその次の日に、外に出るだけでびっしょり汗をかいて、エアコンのきいた室内にいてもしばらく汗が止まらなかったりするので、帰宅後も何も出来ないことが多く、毎日連載は難しい可能性が高いです。


体調と相談しつつ、なんとか更新を続けてけたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。


この作品は読者参加型です。

アンケートが出たらコメントお願いします!

見てみたい配信内容も募集しています。


X(旧Twitter)始めてみました。

よろしければアカウントフォローお願いします。

@YinYang2145675


少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。

ランキングには反映しませんが、作者のモチベーションが上がります。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?