筆川の部屋に着いた。佐藤、屑山、りんちゃん、宇佐霧、二階堂、猫多が僕の後ろについて来ている。そんなに狭くない廊下でも、これだけの人数がいればギチギチだ。
誰も扉に触ろうとしないので、僕がとりあえずノックをしてみる。
コン、コン、コン。しばらく待ったが返事はない。
「部屋の中、外の音は聞こえないネ」
「えっそうなの?」
先に言ってよ佐藤さん、恥ずかしい。……あれ? 待てよ。昨日の夜、筆川がいきなり僕の部屋を開けたけれど、そのときに『何度もノックしたけど返事がなかった』と言っていた。どうやら、嘘はついていなかったようだ。
「開けよう」
そう言い終わるや否や、屑山はドアノブを回した。
「開かない」
「鍵がかかってるってことですか?」
二階堂が聞く。
「おそらくね」
「じゃあ、筆川は中にいて、まだ生きているってことだよね」
僕の発言に対して
「寝てるあるネ」
呆れ顔の佐藤。
「ざけんなッ!!」
りんちゃんが扉に蹴りを入れた。
「っ~~~~~~~!!!」
そして足を押さえてうずくまった。『個室の扉は頑丈で蹴破れない』と、宇佐霧はメモした。