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二日目:朝⑦

 筆川の部屋に着いた。佐藤、屑山、りんちゃん、宇佐霧、二階堂、猫多が僕の後ろについて来ている。そんなに狭くない廊下でも、これだけの人数がいればギチギチだ。




 誰も扉に触ろうとしないので、僕がとりあえずノックをしてみる。


 コン、コン、コン。しばらく待ったが返事はない。



「部屋の中、外の音は聞こえないネ」

「えっそうなの?」


 先に言ってよ佐藤さん、恥ずかしい。……あれ? 待てよ。昨日の夜、筆川がいきなり僕の部屋を開けたけれど、そのときに『何度もノックしたけど返事がなかった』と言っていた。どうやら、嘘はついていなかったようだ。







「開けよう」

 そう言い終わるや否や、屑山はドアノブを回した。


「開かない」

「鍵がかかってるってことですか?」

 二階堂が聞く。

「おそらくね」


「じゃあ、筆川は中にいて、まだ生きているってことだよね」

 僕の発言に対して


「寝てるあるネ」

 呆れ顔の佐藤。



「ざけんなッ!!」

 りんちゃんが扉に蹴りを入れた。


「っ~~~~~~~!!!」

 そして足を押さえてうずくまった。『個室の扉は頑丈で蹴破れない』と、宇佐霧はメモした。


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