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Capítulo 31: 機械を感じろ、機械になれ。


リカは落ち着いた表情をしながらも、いたずらっぽい輝きを瞳に宿し、勝利の後で優に向き直った。


「ヒカリが勝ったからお願いをできたんでしょ…? じゃあ、私もできるよね?」


カナデは眉をひそめ、不満そうに言った。


「ちょっと待って、それはルールにないでしょ。」


リカは片眉を上げた。


「どうして? 優にお願いできるのがご褒美なら、私もしていいはずでしょ?」


優は背筋に冷たいものが走るのを感じた。なぜ自分だけが願いを聞かなきゃいけないんだ? ヒカリに助けを求めるように視線を送ったが、彼女はただニヤリと笑うだけだった。


「まあ、リカも正々堂々と勝ったわけだから、優にお願いしても問題ないんじゃない?」


カナデは腕を組んでふんっと鼻を鳴らした。


「なんか納得いかない。」


優はため息をつき、ますます面倒なことになったと感じた。


「それは後にして… その前に何か食べよう。それからコスプレショップに行けばいい。」


リカは肩をすくめ、それ以上は言わず、カナデも渋々受け入れた。一方のヒカリは、まるで計画通りとでも言いたげに、いたずらっぽく微笑んでいた。


思わぬ寄り道


ショッピングモールを歩きながら食事できる場所を探していると、リカとカナデが突然足を止めた。


二人の視線の先には、大きなクレーンゲーム機があった。中にはさまざまなぬいぐるみが詰まっている。


カナデは首をかしげた。


「これ、何?」


「クレーンゲームよ!」とヒカリが興奮気味に説明する。「運と技術があれば、ぬいぐるみが取れるんだよ!」


リカはガラスケースの中をじっと見つめ、緑色の瞳に微かな興味を浮かべた。


「つまり…あのアームで取るだけ?」


「簡単そうに見えるけど、実際はかなり難しいんだよ。」とヒカリ。


カナデは腕を組んだ。


「そんなに難しいわけないでしょ。」


少し後ろから様子を見ていた優は、二人がじっとクレーンゲームを見つめているのを眺めていた。


カナデは好奇心に満ちた紫色の瞳で、リカは冷静ながらも何かを考えているような目で機械を見つめている。


そんな時、ヒカリがそっと優に耳打ちした。


「…優くん、ここがチャンスよ。」


優は瞬きをした。


「え?」


ヒカリはいたずらっぽく微笑みながら言った。


「二人のためにぬいぐるみを取ってあげたら、きっとヒーローになれるわよ! こんなチャンスを逃す手はないでしょ?」


優は再び二人を見た。カナデとリカはクレーンゲームに夢中で、まるでこの世の全てをかけているかのように見えた。


(…やるしかないか。)


優は静かに息を吸い込み、自信を持って二人に向き直った。


「わかった、二人にぬいぐるみを取ってあげるよ。どれが欲しい?」


カナデは慎重に機械を見て、黒い猫のぬいぐるみを指差した。赤いマフラーを巻いている。


「これ。」


リカも目を細めながら、白くて長い耳の垂れたウサギを選んだ。


「これ。」


ヒカリはそれを見て、くすくすと笑った。


「あら…偶然ね。その二つ、どっちもめっちゃ難易度高いやつよ?」


優は機械の中を確認した。確かに、二つともかなり取りにくい場所にあり、他のぬいぐるみに埋もれている。


「やっぱり、そうなるよな…」と優は小さくぼやいた。


しかし、今さら引き下がれない。


手を擦り合わせ、コントローラーを握ると、集中を高めた。


「機械を感じろ… 機械になれ…!」


優は一度目を閉じ、心を無にする。


目を開いた時には、すでにクレーンが降下していた。


そして――


黒猫のぬいぐるみが、完璧な動きで掴まれ、ポトンと景品口に落ちた。


「えっ!?」優は驚いて目を瞬かせた。「いつの間に…?」


「やった!」カナデは嬉しそうに微笑みながらぬいぐるみを抱きしめた。「思ってたよりかわいい!」


「あと一つ…ウサギ。」


優はもう一度深呼吸をし、再び「機械」と一体化する。


気がつくと、ウサギのぬいぐるみも景品口に落ちていた。


リカはぬいぐるみを手に取り、静かながらも、どこか満足げな表情を見せた。


「悪くない。」そう呟き、大切そうにウサギを抱えた。


カナデはチラッとリカを見ながら、自分の猫のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。


優は深く息を吐いた。


「ふぅ…任務完了。」


だが、その瞬間――


「えええええ!?!??」


ヒカリが大げさに頬を膨らませた。


「ちょっと待ってよ! 私の分は!?」


優は硬直した。


「えっ? でも…言わなかったよね?」


ヒカリはぷくっと頬を膨らませ、上目遣いで優を見つめる。


「だって今欲しくなったんだもん! ずるいよ! 私もぬいぐるみ欲しい!」


その瞬間――


「…おめでとうございます。」


機械が突然鳴った。


優が無意識のうちにボタンを押していたらしく、クレーンが再び動き出し、景品口にコロンと小さなコウモリのぬいぐるみが落ちた。


優は目を瞬かせた。


「……え?」


気がつくと、ヒカリの目

の前にぬいぐるみを差し出していた。


「…はい、これ。」


ヒカリは一瞬驚いた後、満面の笑みを浮かべた。


「優くん、最高!!」


そう叫ぶや否や、ヒカリは勢いよく優に抱きついた。


カナデとリカは微妙な表情でその様子を見つめていた。


優は再び深いため息をついた。


(…なんでこうなるんだよ…)


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