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番外編 便利部と探偵と二俣

停学からの留年

 四ヶ月間の停学処分。つまり留年はほぼほぼ確定となる。


「どうしてだよー!?」


 僕は咽び泣いた。やはりアイツらは消しておくべきだったかとも思った。


「そりゃあ、公共施設をロケットランチャーで破壊したらそうなるよ。寧ろ、よく停学で済んだな案件だから」


「目の前でNTRしてたから思わず……」


「純愛主義者だもんなぁ。君は。これで来年から同じ学年だね!」


 来年から小坂一樹と同学年? 二年前入学してきた奴が? 小坂一樹と同学年?


「うわぁぁぁぁぁぁ!?」



          ◇



 嫌なことは立て続けに起きるようで、ついに親が学費を払わないと言い出した。


 僕は心底絶望した。バイトとか一切せずヌクヌク大学生ライフがガガ……


 こうなったらパチンコで稼ぐしか……


「俺がやってる日雇いバイト紹介しようか?」


 そんな金事情を一樹に話したら、こんな提案をしてきた。


 正直働きたくはなかったのだが、懐事情が厳しい以上、乗らざるおえなかった。



          ◇



「でっ、探偵業の手伝いってわけか」


 現在、ロボットとコーヒー豆+アカミミガメが融合したキメラが店長をやっているカフェに来ていた。


 探偵の人と会うためだ。


「今日からよろしく~! 俺は探偵をやらせてもらってる者だ。便利部も居るから上手くやってな!」


「便利部?」


 探偵が指差す方を見てみるとそこには四人の少女がいた。


 知ってる顔がいる。小坂六花。探偵業の斡旋をしてくれた奴の妹だ。


 あとは、『んなぁはっはっ!』と笑っている子と、紅茶を飲んでいるケモ耳を生やした娘と、黒い羽を休ませている女の子だった。


「おいおい探偵さんよぉ~! そんな年甲斐ない女の子達を働かせてるのか? 人としてどうなんだよ!」


 僕は当たり前のように探偵の胸ぐらを掴んで揺さぶった。弁明される前に揺さぶった。


「ち、違うんだ! 聞いてくれ! あの子達は善意で手伝ってくれてるんだ!」


「善意に漬け込んで働かせてるのか! ちゃんと給料は払ってるんだろうな? 首の骨をへし折るぞ!」


「ひぃぃぃぃ!?」


 僕は純愛主義者以前に、人の善に漬け込んで利用する輩が大っ嫌いなのだ。NTRの次に嫌い。


「ちゃんと出すものは出してますからぁ! 殴らないで!」


 こんなんでも一樹が取ってきてくれた仕事だ。大事にしないよう、ここは手を引こう。


 もっとも、善意を汚す行いをしようとしたらぶん殴るかもだけど。

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