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第61話 最終回

 五月親衛隊を始めとする数々の手助けもあって、最短で寝取り魔田中達のアジトを見つけ出すことに成功した。


「オカマ、あいつら今何してるか教えてくれないか?」


「盗聴してみたけど『NTR』とか『カップルクラッシャーを遂行するでござる』とか言ってどんちゃん騒ぎで候」


 コイツら本当に最後までブレないよな。方向性はともかく、見習いたいわその精神畜生。


「監視カメラをジャック成功しました。五月様はどうやら物置の中で高手小手縛りされてる様子」


「じゃけん、五月さんに怪我を負わせないよう、巨大鉄球をアジトにぶつけて、突破口を開き、あとは数十万の兵士で数攻めすればええやん」


「パンプスカ共和国の大統領だが、五月さんを奪還するために使うならお金をどんどん使っていい! 足りない分はパンプスカ共和国の血税で賄おう!」


◇すごい、見事に物語に関わってない人達が活躍してる。主人公が空気です!


 盗聴や財力に物を言わす行為は主人公に求められてないからいいんだよ。


 すると二俣が『最悪の場合、奴らは彼女を殺すかもしれない』と言い出した。俺の見解としては『俺と五月を別れさせたいだけ、寝取りたいだけ』の連中と認識している。だがもし、そんな凶行をするんだったら……


「そうなったら、アイツら全員を出来るだけ苦しめて殺すよ」


 そうこうしてるうちに家を潰せるデカさの鉄球がアジトの壁を捉える。


「壁が壊れた! 総員、突入~!」


 待ってろ五月。助けてやるからな。




◇寝取り魔田中視点



「来たっすね鈴木」


「そうでござるな田中殿。強行突破は想定内でござる」


 一網打尽作戦決行っす!


 実はアジト内周辺は高圧電流が流れるようになってるんすよね。そして予め、酸とナトリウムを混ぜた水をアジト周辺にばら撒いているんす。


 あとは、分かるっすよね?


「消し飛ぶっす!」


 僕がスイッチを押すと、何千人以上の断末魔がアジト中をこだました。


 僕、殺人鬼の気持ちわからないっすけど、存外殺しは楽しいんすね! 寝取りには劣るけど。


 ドサドサと、人が倒れる音が聞こえる。多分、ほとんど死んだか動けないっすよね。


「さあて、五月ちゃんに惨状を報告して心をへし折ってから、NTRしにいきますっか!」


「発勁!」


 瞬間、僕のみぞおちに衝撃が走り、身体が吹っ飛んで壁に激突した。内臓がやられたのか吐血する。


「相変わらずタフネスっすね。小坂先輩……」


 僕の目の前に立っていたのは、黒焦げになった小坂先輩だった。


「……次は鈴木。お前だ」


「拙者、用事を思い出したでござる。それじゃ、またいつの日か!」


 鈴木は瞬時に逃げようとした。しかし回り込まれてしまい、鈴木も発勁をモロに喰らって気絶してしまったっす。


 万事休すっすか……小坂先輩の彼女を寝取れなくて悔しいっす。



◇こうして、多大な犠牲者を払いながらも五月は解放された。田中達拉致犯は、全員極秘裏に始末された。その一方で小坂一樹は重傷を負い、生死の境を彷徨っている。そして……



「バカな人……貴方は。本当に大バカな人ですよ貴方は。死んだらなににもならないのに」


「五月様……」


「貴方とはもっとお話ししたかったのに」


「あの、これ誰のお墓なのですか?」


「……ああ。『力したら五月先輩を私のものに出来ると言われた』と言い出してNTR陣営に寝返り、案の定五月親衛隊に始末されてしまった後輩バカの墓ですよ」



◇ここまでのご愛読ありがとうございました。

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