目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第32話  徳田さんと宮越くんの場合

ある日、徳田晴美とくだはるみは友人に誘われて参加した写真展で、宮越浩樹みやごしひろきと出会う。彼が展示していた作品に惹かれて立ち止まった。


「この写真、すごく素敵ですね!」

と晴美は言う。


「ありがとうございます。これは、旅先で撮った一枚なんです。」

と浩樹は照れくさそうに笑う。


晴美はその笑顔に心を打たれ、彼に興味を持つようになる。



数日後、二人はカフェで再会した。お互いの趣味について話し始める。


「晴美さんは、どんなことに興味がありますか?」

と浩樹。


「実は、料理が得意なんです。今度、何か作ってさしあげましょうか?」

と晴美は笑顔で提案する。


「ぜひ、楽しみにしています!」

と浩樹も嬉しそうに答える。




数回のデートを重ねるうちに、二人の距離は次第に縮まっていく。ある日の公園で、浩樹はベンチに座りながら言った。


「晴美さんといると、本当に楽しいです。もっと一緒にいたいな。」


その瞬間、晴美の心臓が高鳴る。

「私も、浩樹といる時が一番幸せなの。」


彼らはお互いの目を見つめ合い、無言のまま静かに笑い合う。


しかし、晴美の仕事が忙しくなり、彼女は次第に疲れを感じ始める。デートの回数も減り、宮越は心配する。


「晴美さん、大丈夫?最近元気がないように見えるけど…」


「ごめんなさい、仕事が忙しくて…でも、あなたのことを考えると元気が出ます。」

と晴美は、隠していた気持ちを明かす。


浩樹は真剣な表情で言った。

「何か手伝えることがあれば言ってください。二人で支え合っていければいいなと思っています。」


その言葉に、晴美は胸が温かくなり、彼にもっと頼りたいと思った。



忙しい日々が続きながらも、彼らはお互いのことを大切に思い続けた。そして、晴美はついに仕事を一段落させ、浩樹にサプライズのディナーを企画する。


「浩樹さん、今日は私、料理を作ったんです!」

と晴美が笑顔で言うと、浩樹の目が輝く。


「本当に?何を作ってくれたの?」

と期待に満ちた声で返す。


「特製のパスタとデザートのケーキです。」

と自信を持って答えると、宮越は拍手をする。


「晴美さんの料理、楽しみです!」


食事を終えた後、晴美はドキドキしながら言った。

「浩樹さん、実は私、あなたとずっと一緒にいたいと思っているの。」


「僕もだよ、晴美さん。これからもずっと、一緒にいてほしい。」


二人は自然と手を取り合い、幸福感に満ちた瞬間を分かち合った。その瞬間、晴美の心に決意が生まれた。



月日が流れ、晴美と浩樹は一緒に多くの経験を積み重ね、さまざまな挑戦を共に乗り越えた。そして、ある日、浩樹が晴美にプロポーズする。


「晴美さん、僕と一緒に人生を歩んでくれますか?」


涙を浮かべながら、晴美は微笑み返す。

「はい、浩樹さん。」


二人は笑顔のまま、未来へと一歩を踏み出した。



プロポーズから数か月後、二人は結婚式の準備に忙しい日々を送っていた。晴美は母親と一緒にウェディングドレスを選び、浩樹は友人たちと会場の装飾について相談していた。


「お母さん、このドレス、どう思う?」

と晴美が試着室から出てくると、母親の目に涙が浮かんだ。


「晴美、本当に美しいわ。浩樹さんもきっと喜ぶわよ。」


一方、浩樹は写真展で出会った縁を大切にしたいと考え、会場の装飾に自分の写真作品を使うことを提案した。


「君たちの出会いの場所である写真展を再現したいんだ」

と友人に説明すると、みんな素晴らしいアイデアだと賛同してくれた。



ついに結婚式の日がやってきた。春の暖かい陽射しが差し込む教会で、二人は永遠の愛を誓い合った。


晴美が白いドレスを纏い、父親と腕を組んでバージンロードを歩く姿を見た瞬間、浩樹の目に涙があふれた。祭壇の前で、牧師が二人に向かって語りかける。


「徳田晴美さん、あなたは宮越浩樹さんを、病める時も健やかなる時も、愛し支え続けることを誓いますか?」


「はい、誓います。」

晴美の声は感動で震えていた。


「宮越浩樹さん、あなたは徳田晴美さんを、困難な時も幸福な時も、愛し守り続けることを誓いますか?」


「はい、誓います。浩樹の声は力強く響いた。


指輪の交換の際、浩樹は晴美の手を優しく取り、小さくささやいた。

「晴美さん、僕たちの出会いに感謝している。君と一緒なら、どんな未来も乗り越えられる。」


晴美も涙をこらえながら答えた。

「浩樹さん、私もです。あなたと出会えて本当に良かった。」



披露宴会場には、浩樹の写真作品が美しく飾られていた。ゲストたちは、二人の出会いのエピソードを聞きながら、その演出に感動していた。


晴美の父親がスピーチで語った。

「浩樹君、娘をよろしくお願いします。晴美は料理が得意で、きっと君を幸せにしてくれるでしょう。」


浩樹の友人代表も挨拶で述べた。

「浩樹は写真を通じて人の心を動かすのが得意ですが、晴美さんと出会ってからは、自分自身がとても生き生きとしています。お二人の未来に乾杯!」



最後に、新郎新婦が挨拶に立った。


浩樹が先に口を開いた。

「今日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。晴美さんと出会ったあの写真展の日から、僕の人生は本当に豊かになりました。支え合いながら、二人で素晴らしい家庭を築いていきたいと思います。」


続いて晴美が話した。

「皆さま、本当にありがとうございます。浩樹さんの優しさと真摯な姿勢に惹かれて、今日この日を迎えることができました。これからも、お互いを大切にし、皆さまに愛される夫婦になりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。」



結婚式が終わり、二人は新しい生活をスタートさせた。新居には浩樹の写真作品と、晴美が作った料理の香りが漂っていた。


「晴美さん、結婚式、本当に素晴らしかったね。」

と浩樹が言うと、晴美は幸せそうに微笑んだ。


「私たちの愛の物語がまた新しい章を迎えたのね。これからもずっと、一緒に歩んでいきましょう。」


二人は手を取り合い、窓から見える夕日を眺めながら、これから始まる新しい人生への期待に胸を膨らませていた。愛に満ちたこの瞬間が、彼らの永遠の宝物となることを、二人とも心の奥深くで感じていた。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?