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第6話 幕間 幼馴染の髪バリア?

 時は少し遡り、ある日の帰り道。


 空には橙色が広がり、彼方から濃紺が迫っている。


 そんな空の下、電車を降りて自宅までの短い距離を理代と歩いている時のことだった。


 軽く話をしていたところ、隣で理代が髪をさっと結った。


 その様子を見て、俺はなんとはなしに尋ねる。


「なんで学校では縛ってないのに、俺といるときは縛ってるんだ?」


「え、視界が狭いから」


 謎の理由を返された。


「なら、学校でも縛ってたらどうだ?」


「人がたくさんいるところでは、視界をせば めることで落ち着くんだよ。だから縛ってるの。名付けて……髪バリア! 的な?」


「???」


 意味がわからなかった。


 少し考えてみる。

 髪を縛らないことで視界の両サイドに髪がある状態となる。

 するとその分、視野が狭くなる。


 人の視線を過剰に気にする理代にとってはたくさん見える状態よりも、見える範囲が減っている方が落ち着くのだろう。


「……もしかして、自習室の机の間仕切りみたいな感じか?」


「そう! まさにそれ! 落ち着くよね〜」


「…………」


 ほんとに友達作れるのか……?

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