目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第六話

キョウト観光や学園の施設を巡ってなんやかんやで、3月31日になっていた。


正直、初めは楽しかったキョウト観光だが、財布をスられたせいでお金が無いので何も楽しくなかった。

首都キョウトでは何するにも金が掛かるのさ。


村から出て来たばかりの俺にキョウトで知人や友人がいる訳がなく、途中からかなり退屈していた。

どれくらい暇してたかって?

学園の近くにある自然公園で一日中鴨の行進を眺めてた日があるくらいにはだよ。


だってさ、よく考えてみ?

俺まだ15ぞ?

キョウトには歴史的が深い神社とか寺とかいっぱいあるけど15歳の時、一人で行ったりしてた?

絶対してないでしょ。

学校の遠足で行って、うわー、すごーいで終わって、どっちかっていうと友達と屋台とか行ってる方が楽しかったでしょ。

俺がそうなんから大体みんなそうなんだよ。

間違いない。

一人でも行ってたよって方が稀なんだから。


んで次に俺は閃いたわけ。

一人だから楽しくないんだって。

それじゃあ学園内で友達作って、外に遊びに行けばいいじゃんって思ったんだけどさ。


学園内はまだ新一年も入寮してなくてさ、女子しかいないの。

わかる?

"男"の俺が"声掛けただけ"で、お姉様がシスターを守るわけ。


なんなら今年から共学になること知らない人もいたよ?

それのせいで警備員何回も呼ばれたわ!

ほんとに勘弁してくれ。


途中から警備員も生徒手帳見せなくても「あぁ、また君か」ってなってたからね?

聖ジャンヌ白百合学園に来て、一番顔合わせてるのが警備員ってなんなんだよ!

もういっそ警備員とキョウト観光行こうかと思ったわ。


・・・。

うん、ごめん流石に盛った。


ってことでいよいよ明日入学式な訳だけど、入学のしおりを読んでる感じ9時に芸術ホールってことに行けばいいらしい。

暇だから今から自分の寮から芸術ホールまでの道のりを確かめておこうと思う。

朝ごはんも食べたいしね!


司は明日の入学式が待ち遠しいのか、上機嫌でスキップしながら食堂へ向かう。

食堂に着いて時計を見ると時間は10時30分。


朝ごはんというには遅く、昼ごはんというには早い時間。

何が言いたいかと言えば、つまりめちゃくちゃ空いてるってこと。


「おばちゃん!いつものお願いね!」

司はカウンターの奥で少し暇そうにしている食堂のおばちゃんに注文すると、おばちゃんは司の顔を見てニカっと笑う。

お金がないので、聖ジャンヌ白百合学園に来てからは朝昼晩と3食全て食堂で済ませていた。

男子生徒は入学式がまだなので俺しか居ない。

そりゃあ覚えてもらえますわな。


そんなことを考えていたら、おばちゃんがマヨオムライスをお盆に乗せて提供してくれる。

「あんた、そればっか食べてるわねー。飽きないの?いやそれ以前に偏食すぎておばさん心配になるわ」


「おいおい、マヨオムライスは完全食だぜ?鶏肉、ピーマン、米、卵、バター、ケチャップ!栄養もバッチリだから大丈夫だよ!おばちゃん!ありがとな!」

司はお盆を受け取り、いつもの席に座る。

何日も通っていると、座る席まで固定されてくる。


「いただきます!」

手を合わせて食材と作ってくれた人に感謝をしてから、マヨオムライスを頬張り始める。


「そういえば、あれからあの所作の綺麗な女生徒見てないな」

以前、食堂でマヨオムライスを食べている時に話しかけてきた女生徒のことを思い出す。

超能力者リミットレスだと言い当てられたのは少し気味が悪かったが、よく考えてみたらもしかするとあの女生徒も超能力者リミットレスなのかもしれないという考えに落ち着いたのだ。

超能力者リミットレスが学園内に居るのであれば、友人になれるかと思ったが、あれから姿を見ていないので、話すらしていない。


司は最後の一口を口に運び、感謝の気持ちを伝える。

「ご馳走様でした!」

お盆を持ち上げて、返却口に持って行き、芸術ホールに向かう。


司の寮から芸術ホールまではおおよそ10分くらいで着く距離だ。

そう、学園内に有る寮から10分も歩くことに驚きしかないよね。

そもそもこの学園が広すぎて、入学式の時に地図とか配って欲しいわ。


「見つけましたわー!!!」

何やら遠くから聞き覚えのあるような声が聞こえた気がするが、自分ではないだろう。


一応、この学園の広さには意味があるらしい。

戦争になった時のために女生徒でも武器を扱えるようになろうということで剣やら鉄砲なんかも売っていたが、本当に必要なのだろうか疑問だ。


「あなたです!そこのあなた!」

先ほどよりも少し声が近づいてきただろうか。

聖ジャンヌ白百合学園にも慌ただしい生徒もいたものだ。

ここは国のお偉いさんや軍のお偉いさんのご息女が来る場所。

落ち着きの無い女生徒ははしたないと先輩に教育される対象だ。

なので、ここまで聞こえてくるほどに声をあげて騒いでいる生徒を初めて見た。


さて話の続きだ。

先ほども言ったように国のお偉いさんや軍のお偉いさんの子供が来るのだからそもそも前線に子供を送るようなことをするのだろうかということだ。

確かに華族の考えとして高貴な者の義務ノブレス・オブリージュというのを聞いたことがある。


貴族は民を守る義務があるということだ。

戦国時代からこの考えはあるように思う。

武士が民を外敵から守るから民は領主に米を納める。


「いい加減こちらに気付いてくださいましー!こんなに呼んでるのにワタクシの声が聞こえてませんの!?」

さらに声が近くなる。

やっぱりどこかで聞いたことのある声だ。


まぁそれは置いといて、

そう思った刹那、司は横からとんでもない衝撃を受ける。


「ブフォ!?」

完全に認識外からの攻撃に司は体勢を崩し、2メートルは飛ばされる。


「いってぇな、まだこの学園に来てる生徒の説明がをしてるのがわからんかぁぁぁぁぁぁ!」

顔を上げるといつぞやに見た桃色縦ロールのTheお嬢様が司の目に映る。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?