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43 サスパニア出張旅行 その6_06

   *          *


「ハルコン殿、……。貴殿がこの現状に追いやられてしまったのは、その際に相手の申し出を断るだけでなく、中途半端な暴力で済ませてしまったことが遠因になるのではないかと、……私はそう思うのですがね?」


「!? えっ? えぇーっ!?」


 私(ハルコン)は、石原中佐さんの客観的な分析に対し、正直かなり驚かされてしまった。


「そうでやすよ。ハルコン殿ば、男の面目ってもんを甘ぁ~く見ちょりやせんば、まっことヒヤヒヤもんでやんしたばいよ!」


 そう言って、隣りに座る元女盗賊さんが、私の左肩をポンポンと軽く叩いた。


「!? えっ? えぇーっ!?」


「えぇ。それには、私も全く同感ですな。ハルコン殿は、神にも匹敵するようなスキルをお持ちなのですが、……。まぁ、何と言いますか、その分、……脇が甘いといいますか、……」


「脇が、……甘い?」


「えぇ。貴殿は、いささかお人好し過ぎますな! 我々なら、確実に相手の『タマ』を取っていたと思います!」


「……」


「だから、……報復されたのでしょうな!」


 私は未だかつて、人からそのようなことを言われたことがない。

 実際の話、私から誰かに対して嫌がらせをしたことはないし、また、誰かに対して羨ましいとか妬ましいとか、……そんな負の感情を抱いたこともないのだ。


「まぁ、……これは私からの忠告です。おそらくハルコン殿は、その能力の高さ故に、誰に対しても公平に優しく接しておられるのでしょう。ですが、世の中は貴殿の想定以上に、人々は平等ではありません。そのことを、しっかり胸に刻んでおくとよろしいでしょうな!」


「了解です。ご忠告、感謝します」


 私は、そう言ってぺこりと頭を下げた。


「ほら、それです。貴殿には邪気がなさ過ぎます!」


「えっ!? 率直にアドバイスしてくれる人に、こちらが素直に頭を下げてもいけないの?」


 私は正直、かなり驚いて石原中佐さんを見ると、中佐さんは戸惑ったような表情を浮かべ、それからニコリとした。


「ハルコン殿、中佐殿ば仰らったとおりでやんしぃ。さっきより、隣りば見てて、げにまっこと危なっかしぃでやす! そんなんば、こちより胸ばヒヤヒヤすっとばいね!」


 元女盗賊さんも、若干引きつった笑顔でそう語りかけてきた。


「……」


「ハルコン殿、我々が貴殿に行った仕打ちについて、今のウチに頭を下げておきます。今回の件、貴殿が誠に大らかな性格でいらしたことで、我がサスパニアの命運は、首の皮一枚でぎりぎりつながったと言えましょうな!」


 そう言って一礼した後、石原中佐さんはニコリと笑った。

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