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第41話 過ぎた力の暴力


〇九鬼家個人保有 秘境 管理ランク[B]



〇第四階層...最終地点 転送宝珠前


藤堂の眼が明らかに淀んでいて眼球が浅黒く変色している、明らかに普通じゃない


「はぁ?月読?幻惑?お前の戯言はもう俺には通用しないぞ!城二、ここがお前の墓場になるんだよ、天音にはやはり俺が必要なんだ...お前なんかじゃない」


藤堂は俯きながらブツブツと何か唱え...


「だから此処で死ね」


「神衣藤堂棒操術 木の宗 破竹の撃」


藤堂が手にした神具 樹零を捻り込む様に力強く突き出すと...樹零の先が光を纏い、うねりと共に俺に向って物凄い速度で伸びて向ってきた


「ガハッ!!」


右の脇腹を銃弾で打ち抜かれた様な衝撃と共に、激しい痛みが全身を駆け巡り口から鮮血が噴き出る


足に力が入らずそのまま前のめりに倒れ込む


「貴様ぁぁ!許さんぞぉぉ藤堂ぉぉ!!」


青い偽神の3つの腕を赤槌で受けた状態で九鬼先輩が藤堂に向って歯ぎしりしながら怒声を上げる


「...びゃ...っ...こ」


『...城二...すまぬ...儂の力が及ばぬばかりに...今少し辛抱せよ...今癒しの風を』


白虎が痛みを軽減させる為の麻痺の風を発動しようとスキル詠唱に入る...


「はぁ?させねぇよ?風属性の白虎が木属性の猿田毘古に勝てる訳ねぇだろ?」


「神衣藤堂棒操術 木の宗 破竹の撃」


再び藤堂の神衣の必殺の一撃が放たれ...スキル詠唱中の白虎の喉元へ命中する...


白虎は喉元に丸い穴が穿たれ、風のスキルが中断されてしまう...


『...城二...スキルが...不発..再び...チャー...イム...死なないで...くれ』


白虎はそのまま姿が薄くなり消えてしまう...


「白虎が!?馬鹿な...いくら仮契約の状態とは言え上位神がいとも簡単に?!」


青い偽神は、もう一体の木人の偽神より格上な様で恐らく水属性なのか、神衣した可憐を有利属性の理を活かし押さえ込んでいる...いつもの冷静な可憐も流石に気持ちだけが焦る


「九鬼先輩...アンタには何の恨みも無いが此処で俺が城二を始末した事を、外で口外されちゃ堪らないからな...悪いが此処でこのクズと一緒に始末させてもらうぞ?」


「藤堂ぉぉぉ!クズはお前だ!誰に吹き込まれたか知らぬが戯言に惑わされよって、恥を知れ!!」


「と...とう...どう..」


息も絶え絶えな俺を見下しながら...ガッ


俺の頭を踏みつける...


「ゴミは放っておいても、くたばりそうだなぁぁギャハハハ...いいぜぇお望み通りお前の新しい女から始末してやるぜぇ、おい!ガルムそのままその女を抑え込んどけ!俺がる」


「!?藤堂...まさかお前...偽神と!?」


「フフフ、やはり九鬼先輩アンタは頭が良く回るなぁ~アンタの予想通りその偽神は俺の手駒だぁ」


「偽神と手を組んだのか!?馬鹿なそんな事...」


「ギャハハハ、俺はこのゴミクズを地獄に叩き落とせるなら何だって利用するさ...さぁアンタも恨むなら、このゴミクズとゴミクズを信じた自分を恨むが良いさ」


「ガルム...その女をそのまま抑え込んどけ...」


偽神をガルムと呼び命令すると、九鬼先輩に向って神衣の奥義の構えを取る藤堂を薄れる意識の中で視界に捉えた...


(俺はこんな所で...ヒロイン達を守る事も出来ず...)


【邪魔な獣神が、ようやく消えたか...忌々しい...契約者よ余がお前の願いを叶えてくれよう】


(誰だ...この声...前にも...誰でも良い...彼女を...助け...)


【クククク...良かろう契約に従い契約者の願いを執行しよう】


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・


「死んで悔いろよ...馬鹿女———!神衣藤堂棒操術 木の宗 破竹の撃」


神具 樹零から放たれた藤堂の奥義が目にも止まらない速さで九鬼先輩の左側面から撃ち込まれる


「くっ!?避けられない!!」


フッ…


しかし藤堂の放った奥義は九鬼先輩に命中する直前に、忽然と消え失せた...そう消滅した


「はぁ?何が一体...って!?テメェ動けないはずじゃ!?」


「城二!?お前、何で動ける!?」


【城二?...クククそうかコイツもジョウジと言う名だったな...??何だ...腕が無いじゃないか?】


???は、左腕を軽く2度振ると...一瞬で左手が復元する...そして右脇腹に空いた穴も一瞬で塞がる


「なっ!?何をしたテメェ!?」


【喋るな雑魚、直ぐに殺してやるから、そこで立って待ってろ】


「ふっ!?ふざけるなぁぁ神衣藤堂棒操術 木の?!...か、身体が...うご...」


藤堂は神具 樹零を構えた状態で固まって動けない...


???は身動きが取れずもがいている藤堂を無視して、可憐を押し込んでいる偽神へとゆっくりと歩み寄り


【まがい物が神を名乗るか...不快な...消えろ】


???が赤槌の刀身を掴んでいた偽神ガルムの腕に軽く触れると...フッ


一瞬で偽神ガルムは足だけ残し消滅した...


「!?消えた?...何が一体...お、おい城二お前一体何を...」


???は、一瞬だけ可憐に目線を向け...


【炎の神か...消すのは易いが...まぁ契約者の命は絶対だ...今回は見逃してやる、だが女の声は余の神経を逆なでる...特に貴様の声はな...死にたくなければ黙って見ていろ】


???は、底冷えのする冷たい眼を可憐に向けると、口元を歪ませながら固まって動かない藤堂の元へと向ってゆっくり歩き出した...


「?!こ、これは...私が震えて...寒気...アレは...」


【黙れ】


「!?うぐっ...」


可憐は、心臓を儂掴みされた様な感覚に襲われ呼吸が苦しくなり、その場で膝から崩れ落ちる


【さぁ...お前もお前の神も余の供物くもつとなれる事を喜び感謝し死に絶えるが良い】


???の背中に光輝く翼と暗闇よりも更に黒い翼が其々1対出現し


【さぁまず、お前の神から供物としよう...】


???は藤堂の頭を儂掴みにすると


「がぁぁぁはぁぁ...俺の...俺の心域がぁぁ...消滅して行くぅぅ...」


『ま、待て?!我が名は大神、猿田毘古なるぞ!?儂は...消えるのは...嫌じゃ...助け...』


【クククク...これがこの世界の上位神...ぬるいぞ...】


「あぁぁ...俺の神が...契約がぁ...神視がぁぁ」


???に頭を儂掴みされたまま宙吊りになり、藤堂は自分の中の神視の力が忽然と失われる絶望からか、力なく腕をダラりと下げて抵抗を諦めたのか絶望の言葉をブツブツと口にし力なく脱力する


【じきに貴様も貴様の神の後を追わせてやろう...いやその前にジョウジと同じ様に左の腕を消し飛ばしてやろうか?それとも腹の中の臓物を全部消し去ってやろうか?クククク】


『させぬぞ...我が宿主のその身体...返して貰おうか...』


【!?獣神だと?!まさか!?...たかが人間如きがぁぁぁぁジョウジィィ!!】


???の激しい怒声と共に背中に出現していた、光と闇の翼は消え失せ、掴んでいた藤堂の頭から手を放し


「トラ...俺ギリ間に合ったよ...後は...頼む...」


白虎はその場に出現しては居なかったが、城二は虚空に向ってそう口にし、意識を失いその場で倒れた...















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