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第42話 ギルド生活1週間~ギルド員の紹介をしてみよう

 そんなこんなで1週間が経った。

 わたしも『猫の眼』ギルド員としての生活にも慣れてきた、かな。


 ギルドに所属するギルド員の人数は、非戦闘員も含めると32人。

 ギルドマスターの≪ニャンニャン姫≫は非戦闘員で、ギルド運営と資金調達を主な仕事としている。


 戦闘系のクエストを取り仕切っているのは、サブマスターの≪クロッシーダイク≫さんだ。

 JOBは3次職の『近衛兵ロイヤルガード』で冒険者ランクA。

 めっちゃ強い。らしい。わたしはまだ戦っているところを見たことないからわからないけど。

 戦闘中の指示が的確で味方を活かすのがうまいらしい。でもねー、わたしって特殊なJOBだし、パーティー戦に向いているとは言えないから、≪クロッシーダイク≫さんのパーティーで一緒に戦うことはなさそうかなー。


【≪アルミちゃん≫の戦闘指揮は、この≪サポちゃん≫にお任せください】


 そうね。わたしには≪サポちゃん≫がいるし、その辺は安心よねー。


【ずっと2人きりでがんばりましょうね】


 ん……それはそれで嫌かな……。

 ほかの人とのコラボもしてみたいもの。


【私のことが嫌いになったんですね……。お暇をちょうだいします……】


 ちょっと?

 そういう意味じゃないからね?

 ≪サポちゃん≫がいなくなったら、わたし何もできないよ? めっちゃ困るから戻ってきて! あ、ウソ⁉ ログアウトみたいなエフェクト出して転送されて行かないで! えっ、マジで消えちゃった……。ちょっとウソでしょ……。配信系のコンソールの1つも開放されていないのに、わたしこれからどうしたら……。


【ジョークです】


 真っ白なしっぽがわたしの頬を撫でる。

 鳥肌立ったわ……。


「もう≪サポちゃん≫! びっくりしたじゃないのさー! 心臓に悪いからそういうのやめてよ!」


【≪アルミちゃん≫とはずっと一緒です。片時も離れることがない。それがサポートAIです。一生一緒にいてくれや~】


 なんでミキドーザン? ≪サポちゃん≫の曲のチョイスって、なんかちょっと古いなー。

 やっぱり≪サポちゃん≫っておっさんなの?


【私のナンバリングの初期型が生まれたのは今から20年ほど前になります。つまり今は二十歳はたちということですね】


 くそっ、年下か!

 めっちゃ若いじゃんか……。


【お肌もつやつや。体力もばっちり。関節に痛みもないピチピチの二十歳はたちです】


 三十歳みそじだって関節に痛みはないんですけど……? でも徹夜はつらくなってきているのは事実……。


「ってー、そんな年齢トークは良いの! 今はギルドの説明をしていたのー」


 数少ない視聴者のみなさんに向けてね!


【良い心がけですね。現在の同時接続数は4000ちょっとですね。今しゃべっている内容はwikiにまとめておきましょう】


 wiki? そういうのもあるんだ?


【常に配信を追いかけられない人のために、まとめ情報を閲覧できるようにしないといけませんからね。あらゆる翻訳機が情報取得しやすいように、定型化された形式で記載をしていますから、わたしに任せておいてください】


 ふーん? よくわからないけれど、≪サポちゃん≫が良いようにしてくれているならお任せ! わたしは情報をしゃべっていけばいいってことだよね。


【ただのギルド紹介をわざわざ見てくだっている4200人の方に向けて、おもしろおかしいギルド員紹介を心がけてくださいね】


 むっちゃ難しいことを要求してくるじゃん……。

 人の紹介でおもしろいとか、そんなことある?


「あーでも、さっきの話に戻るけれど、サブマスターの≪クロッシーダイク≫さんは何族って言うのかな……。あれなの、見た目がワニ人間! 鎧も自分の硬いうろこを加工している特注品らしいよ。何もしなくても硬いし、盾職としては生まれつきのエリートだよね」


 人の容姿のことをおもしろおかしく言うのはちょっと良くないとは思うけれど、特長的な意味で考えたらセーフってことで?


 ≪クロッシーダイク≫さんはワニっぽい顔だけど、体はスラッとしているし二足歩行だし、ワニのしっぽもないの。硬いうろこの肌と鼻面の長い顔くらいしかワニの特徴はないかも。


「続いてもう1人のサブマスの紹介ね。非戦闘系のクエストとギルド全体の庶務も取り仕切っている人なんだけど、名前は≪アサダ≫さん――」


「俺がどうかしたか?」


「あ、≪アサダ≫さん! おはようございます!」


 タイミングを見計らったかのように、サブマスの≪アサダ≫さんが背後から登場した。

 ちょうどいいや、インタビューでもしちゃおう♪


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