ぴすぴす
ミステリー推理・本格
2025年01月25日
公開日
8.2万字
完結済
気が付くと、探偵・氷川武は本棚が無限に連なる奇妙な空間にいた。
そこは死者の最期の記憶を記録した『魂書』を保管する場所『魂の選定所』。
その場の妖艶な管理者エリザベートは告げる。
「あなたは死んでいますわ。けれど、わたくしの仕事を手伝うのなら……生き返らせて差し上げますわ」
その仕事とは、魂書に記された『不可解な死』の真相を読み解き、『解答』を導くこと。
それは自殺か、あるいは他殺か……。
ただし魂書は、『本人が知り得たことしか書かれない』、『誤解も錯覚もそのまま記録される』という極めて不完全な記録でしかない。
つまり氷川は現場に行けず、証拠もなく、断片的な記憶だけで事件を解くという、最悪の条件で事件へと挑まなければならない。
最初に与えられた『練習問題』で、氷川は早々に痛感する。
この世界の事件はフェアでなければ、常識も推理の定石も通用しない。
そして満を持して提示されたのは、剣と魔法の異世界で起きた歴史的事件。
戦乱続く世界で、人間と魔族が初めて講和しようとしたその前夜、魔王が密室で殺害された……。
魂書が示す『真実』は常識と矛盾し、証言と食い違い、事件そのものを混沌へと誘う。
真相はどこにあるのか。そもそも真相は存在するのか。
氷川は『魂書』という不完全な記録から、世界の理すら疑わねばならない『解答』を導き出していく……。