目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

世界元帥級軍事定期連絡会議2

今回の世界元帥級軍事定期連絡会議の議長国は日本となっており、大きな会議室の一番前に誠と咲が立っている。席には立体映像で各国の軍事最高責任者が映し出されていた。


開始の時間になったため、誠は椅子より立ち上がる。




「ではこれより世界元帥級軍事定期連絡会議を開始する。本日のワシから提案する議題は人型に対する戦闘行為の自粛の要請と、きたるべき決戦に向けての連携強化。現在他国に派遣している自国の戦闘員の運用などを主な議題とする」




すぐさまアメリカ代表と書かれた金髪の大男が腕を組みながら言う。




「なぜ自粛などせねばならんのだ? むしろもっと攻撃を加え決戦前に相手の戦力を削るほうが効果的だと思うが?」




「アレックスJr・・・。前回お主が戦闘を煽るような行為をした結果、人型に戦闘を仕掛けた国が被害を被っているのを知っておるじゃろう?」




「弱いからそうなるんだ。弱いからな。」




そう言ってアレックスJrは中国代表 李リーの方をチラリと見る。


李も負けじと言い返す。




「ふんっ。うちの軍は大所帯なんで少しくらい被害があっても痛くも痒くもないんだよ!」




「一個大隊全滅が痛くないのか!?」




アレックスJrはガハハと大笑いする。




「そういうお前も前回の会議で大口叩いてたが、一個中隊が全滅したそうじゃないか? お前自身も大怪我負っていたそうだな!?」




「何だと・・・!?」




「やめんか!」




大声を出し2人の争いを止めたのはインド代表のアリャンだった。




「人類皆国は違えど皆兄弟。無益な争いは止めるべきだ」




2人は不機嫌そうに腕を組んで黙る。




「すまんな、アリャン」




「気になさるな。続けてくれ」




「皆は決戦の際各国に派遣しておる自国の軍はどうするつもりじゃ?」




「私の国は派遣したままゲートを守らせるつもりですが、他国が撤退するのあれば同じく撤退します。」




イギリス代表のベイリーが発言する。




「それは困る! うちの国だけではとてもゲートを守りきれない」




小国の多くからは不安の声が飛び交う。




「ふむ・・・アレックスJr・李・アリャン。十分な戦力を持つ君らが協力してくれれば嬉しいのだが? 勿論日本は現状維持でいくつもりじゃ」




アレックスJrが口を開く。




「正直人型の強さは想像以上だ。優秀な戦士を裂く余裕は無い」




「うちもそんな余裕は無いね」




李も答える。




「私は派遣したままで構わない」




「感謝するぞアリャン。ふむ・・・ではこういうのはどうじゃ? 現在の派遣体制を維持してくれるのであれば日本の所有するクラス2のドラゴンを派遣協力国へ貸し出す。加えてレプリカコアを必要なだけ提供する」




会場にどよめきが広がる。




「一匹につき戦闘機数機に相当するというクラス2ドラゴンに加え、レプリカコアまでか?」




アレックスJrが興味を示す。




「うむ。このドラゴンがあれば国間の移動も楽になるじゃろう。地形を問わず発着陸出来るし戦闘機には速度は劣るが乗れる人数が圧倒的じゃ」




「しかし・・・そんな事をして日本は大丈夫なのか・・・?」




「ほっほっほ。なぁに心配には及ばん。それよりも協調して立ち向かう事こそ勝利への近道じゃよ」




各国の反応は良く。多くの国が協力を申し出た。


会議は順次進行し、概ね協力体制の維持という事で締結した。




立体製造も消え静まり返った会議室。




「いいのかジジィ。あんな事言っちまって。正直今の日本にそんな余裕はねぇだろ。それにレプリカコアの提供だって他国の国力を上げちまうだけじゃねぇのかよ」




「そうじゃのう」




「ちゃんと考えがあっての事・・・なんだな?」




「ワシが信じられんか? 咲」




「馬鹿か? 俺はジジィしか信じてねぇよ」




「ほっほっほ。ならば信じてついて参れ」




「ケッ」




2人は歩き出す。





この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?