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ブレーメンの音楽隊 〜町に行かなかった動物たち〜

昔々、年老いて働けなくなったロバがいました。主人に捨てられそうになったロバは、ブレーメンの町で音楽隊になることを決意し、旅に出ます。途中で犬、猫、鶏と出会い、それぞれの事情を抱えた仲間として共にブレーメンを目指すことになりました。


通常の物語では、彼らは旅の途中で泥棒の家を見つけ、協力して泥棒たちを追い払い、その家に住み着くという展開ですが、この物語では動物たちがその道を選ばず、新たな未来を切り開くIFルートを描きます。


ロバ、犬、猫、鶏の四匹は、ブレーメンの町を目指して旅をしていました。しかし、旅の途中でふと考えました。


「そもそも、ブレーメンに行けば本当に幸せになれるのだろうか?」


ロバがつぶやくと、犬もうなずきました。


「確かに…音楽隊になれる保証なんてないし、町の人々が僕たちを歓迎してくれるとも限らないよな。」


「それに、町で暮らすより、のんびりと自然の中で暮らすのも悪くないかもしれないわ。」と猫が言いました。


鶏は高い枝にとまり、遠くの景色を見渡していました。そして、「あっちに広い草原があるよ!あそこなら、自由に暮らせるんじゃない?」と興奮気味に言いました。


四匹は相談し、ブレーメンを目指すのではなく、自分たちで新しい生活を作ることに決めました。


🌿 新たな生活の始まり 🌿


動物たちは草原のそばにある静かな森に拠点を作ることにしました。ロバは力持ちなので、木の枝を運んで小さな小屋を作り、犬は優れた嗅覚と聴覚で外敵を警戒し、森を守る役割を担いました。


猫は森に住むネズミや害虫を退治し、家を清潔に保ち、鶏は卵を産んで食料を確保しました。


最初は苦労もありましたが、彼らは協力し合い、次第に居心地の良い場所を作り上げていきました。


やがて、森を訪れる旅人たちが、音楽を聴きたいと頼みにくるようになりました。ロバは太鼓を叩き、犬は吠えてリズムをとり、猫は優雅に弦楽器を爪で弾き、鶏は高らかに歌いました。動物たちの音楽は次第に評判を呼び、森の音楽隊として知られるようになりました。


ブレーメンへ行かなくても、彼らは自分たちの居場所を見つけ、幸せに暮らしました。

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