昔々、とてもおしゃれ好きな王様がいました。彼は贅沢な衣装をこよなく愛し、常に新しい服を求めていました。そんなある日、「この世で最も美しい服を作れる」と名乗る二人の仕立て屋がやってきました。
通常の物語では、仕立て屋が「愚か者には見えない不思議な服」を織っていると王様に信じ込ませ、何も見えていないのに誰も真実を言えないまま、王様が裸で行進してしまう展開になります。しかし、この物語では 「誰も真実を指摘しなかった」 IFルートを描きます。
王様は大喜びで仕立て屋に莫大な報酬を払い、彼らは仕事を始めました。何日も何日も織機に向かい、何もない布を織るふりをし続けました。そしてついに、仕立て屋たちは王様に向かって言いました。
「この服は賢い者にしか見えません。愚か者には決して見えないのです。」
王様は試しに服を見ました。しかし、何も見えません。しかし、王様は「もしかして、自分は愚か者なのか?」と思い、恐ろしくなりました。そこで、にこやかにこう言いました。
「実に素晴らしい服だ!お前たちは素晴らしい仕立て屋だ!」
家臣たちも次々に「なんと美しい!」「見事な仕立てです!」と口々に称賛しました。本当は誰一人として何も見えていないのに、真実を言い出せなかったのです。
🏰 誰も疑わないまま…
ついに王様は「新しい衣装」を身にまとい、大行進をすることになりました。町中の人々が集まり、王様の姿を目にしました。しかし、誰一人として「王様は裸だ!」とは言いませんでした。
「なんと素晴らしい服だ!」
「さすが王様、お似合いです!」
人々は恐れていました。「もし自分が『見えない』と言ったら、愚か者だと思われてしまう」と…。
こうして王様は、誰もが称賛する中、満足げに裸のまま歩き続けました。仕立て屋たちはその隙に城の財宝を持ち逃げし、二度と戻ってきませんでした。
👑 その後の王国 👑
王様は「この服があれば、どんな王とも肩を並べられる」と信じ、次々と外交の場に裸で登場しました。しかし、他国の王や貴族たちも「自分だけが見えないのでは?」と不安になり、誰も真実を言いませんでした。
こうして、世界中が「王様の服は見事だ」と嘘をつき続けることになりました。
やがて、国中の人々は 「真実を言うことこそが、最も愚かな行為」 だと思うようになり、誰も本音を言わなくなりました。
「この橋は古くて危険です!」
「いいや、素晴らしい橋だ!」
「作物が不作です!」
「いやいや、今年は最高の収穫です!」
国中が嘘と欺瞞であふれ、誰も真実を語らない王国となったのです…。
こうして、王様が真実に気づく日は 永遠に 来ませんでした。