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第66話 恋夏

俺は、檸檬と久しぶりに会った。檸檬は、まだ処女の香りがした。


「次、決勝戦だね。」   


「あぁ。」 


俺は、檸檬の大きな胸に目が奪われた。洋は、樹里を抱いてから自分が狂っていると思っていた。


「うちで映画でも観ない?」


「良いよ〜。」 


と檸檬は、軽く了解した。


その頃、麻衣子と治がセックスをしていた。


治は、引きこもりで留年が決定した。麻衣子は、光にレイプされて自暴自棄になっていた。その光も通り魔に刺されてアッサリ死んだ。麻衣子は、何を憎べば恨めば良いのか分からなくなっていた。そんな時に治を思い出した。わたしより悲惨で惨めな人間がいる。そう考えると気持ちが軽くなった。そうだ治に会いに行こう。


豊が、麻衣子を心配していた。豊に取っては可愛い妹だ。


「麻衣子、最近どうした?」


「何が?」


「何がってお前最近おかしいぞ。」


「別にお兄ちゃんには、関係ないじゃない。」


「金髪になったりスキンヘッドになったり。医学部に進学するんだろ?」


「医学部。そんなのどうでも良いや。」


「おい!」


本格的に、おかしい。ずっと医者になる事が夢だったのに。


「お兄ちゃんは、エリートコースからはみ出ないようにね。気をつけてね。特に女には。」  


こいつ知ってるのか?俺がアイドルの太田恵とこっそり付き合ってる事。


麻衣子は、カツラを被って出掛けてしまった。 


洋は、檸檬とセックスする事だけで頭の中がいっぱいだった。映画の内容に集中出来ない。


「洋ちゃんどうしたの?」 


「ん?何が?」


「考え事としてるみたいだけど。わたしそろそろ帰るね。予備校の時間だし。」


「うん。」 


さっさと檸檬は帰ってしまった。


麻衣子は、治の家を訪ねた。 


「石黒やないか?」と治は出て来た。


太陽の光がやけに眩しげにしてる。部屋に案内された。


「ねぇ、セックスしない?」


「は?何やねん?」 


豊は、恵に電話した。


「もしもし豊どうしたの?」  


「ちょっと恵の声聞きたくなってな。」 


麻衣子の事を相談した。


「妹、想いだね!」


「まぁな。」 


恵は、仕事だからと一方的に電話を切った。


治と麻衣子は寝た。


麻衣子は、そそくさと帰ってしまった。


「何やねん、あいつ。」  


と治は裸のまま舌打ちした。


こうして、恋夏は過ぎて行った。


みんな上手くいく恋ばかりでは無い。


一方的な恋。利用する恋。片想い。恋とはすれ違うと上手くいかない。


妙子と伸二は、例外だ。


本気の愛が見えないのが十代の恋。一番危うくてピュアな時代。


とても傷つきやすくてイライラしてムカムカする青い時代なのだ。








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