目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第38話 パーティーの目的

 「今私たちの冒険者パーティーランクってAだっけ?」


 私がそう言うとリズは首を縦に振る。


 「うん、もうあとひとつでSランクだね」


 そのリズの言葉を聞くとエリックは考え込むような動きを見せ口を開いた。


 「もしかして俺らSランクパーティーになるんじゃないか? 今回のクエスト達成で」


 それを聞いた瞬間、リズとレズリタは嬉しそうな顔をした。


 「本当!? ついにSランク冒険者になれちゃうの!?」


 「Sランクになるって事は私たち大会にでられるんだ!」


 2人は興奮しながら話しているのをみて私とエリックは笑いながら落ち着かせる。


 そして適当な雑談をしていると、とても大きな木を見つける。


 木々が生い茂る深い森の中、ひときわ目立つ大きな木がある場所に辿り着くことができた。


 「ここの景色は最高だね!」


 リズが嬉しそうに辺りの木々を見渡す。


 するとレズリタがその場で座り込む。


 「疲れちゃったよ~」


 2人が寝転がったので私も空いているスペースに座り込むことにした。


 椅子に座るかのように背中をつけて、葉の隙間から空を見つめてみる。


 もう既に陽は昇っているのだろうけれど、そこは確かに涼しかった。


 「私たちのパーティの目的は国家直属の冒険者になることだよね」


 「うん、だからSランクパーティーになって大会に出場して、優勝しないと!」


 私とリズは自分たちの最終目標を再確認し合う。


 するとエリックとレズリタもその話に混ざってくる。


 「目標のためにもこれからもっと頑張らねえとな」


 「私も魔法頑張るよ~」


 4人の決意も新たにしたところで丁度時間もよさそうなので、私たちは村へ戻る事にしたのだった。


 村に戻ると村人たちが大きな声で迎え入れてくれた。


 「本当にありがとうございました!」


 村人たちが揃って私たちに頭を下げてくる。


 そんな様子に圧倒されつつも私達は答えを返す。


 「私達は出来る事をしたまでですから!」


 リズが笑顔で答え、私たちもも同時に頷いた。


 それをみて村人たちは嬉しそうに再び頭を下げた。


 数時間後、村人たちに馬車を手配してもらい村を出ようとしていた。


 「またいつでもいらしてください!」


 村長の言葉を受けて4人は馬車に乗り込む。


 私たちが乗り終えるのを村長は見届けると馬車が動くように指示をだした。


 そんな村長の言葉が届いたのを合図に馬は勢いよく走り出す。


 あっという間に村が離れていく中、窓から私はその様子を見守る。


 「ここから数日間馬車で伯爵邸に行くのか......」


 私は向かい側に座るリズたちに愚痴をこぼす。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?