キメラの牙が私の左腕を掠める……
『シュパッ!』
「っ……」
「「アリス様!!」」
私が傷を負ったことで動揺した従者が声をあげたけど、ちょっと掠っただけなので心配ないと伝えておく。
「大丈夫、問題ないよ! それよりも自分の身を守ることを優先するのに変わらないからね」
「「くっ、はい……」」
心配そうな2人だけど、私にはアネモネ様の加護により〘超速再生〙があるので、この程度なら傷ならすぐ治る。
「先ずは1匹目ね。〚
『シュパッ!』
光の刃がキメラの頭部を捉えると、獅子の頭を簡単に切断して葬り去る。私すぐに残ったキメラと
「そのまま動かないでよ? 〚
『キュイーン』
私の頭上から光り輝く光輪が現れて、直線上に並ぶ魔物へ向かって光輪を放つ、光輪に気づいたキメラが咄嗟に回避することに成功したが、その直線上にいた
『シュパッ!』
悪霊にとって弱点である光属性の攻撃が当たったので、有無を言わせずに一瞬で浄化され消滅した。
残る魔物はキメラ1体と
「ふぅ〜、やっと終わったね。しかし、あの3体は流石に強かったねぇ〜」
戦いが終わってゼシカ達に声をかけると、ゼシカが慌てて駆け寄ってきて声をかけてきた。
「アリス様! 腕のお怪我の方は大丈夫なのですか?」
「うん、私には超速再生のスキルが有るからね。ほら、傷跡すら残ってないよ!」
ゼシカに傷を負っていた左腕を見せると、元の綺麗な腕に戻っていたのを確認すると、驚きながら返事をした。
「さ、流石はアリス様ですね」
「じゃあ、宝箱を回収したら21階層へ降りて、セーフティエリアで休憩でもしようか? もぅ、頑張ったからお腹がペコペコだよ……」
「「かしこまりました」」
こうして私達のパーティー光の絆は、数多の冒険者達が果たすことが出来なかった、20階層のクリアという前人未到の大偉業を成し遂げたのだった。
§リューネの想い§
アリス様が前人未到となる20階層のボスを倒された。ゼシカ姉様とアナ姉様は、全く貢献することができなかったと、肩を落としてかなり落ち込んでいた。
私は2人の姉様ほどの落ち込みはなかった。だって、アリス様の華麗な勇姿に見惚れていたんだもん。それ程に戦場を駆け抜けるアリス様は強く美しかった。
今はまだまだ力不足だけど、いつかアリス様の隣に並び立って強敵に立ち向かうため、日々の鍛錬に励むことを私の女神であるアリス様に誓ったの。