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閑話 アネモネは知っていた①

§邪神ジャミア視点§


 我は遂に復活を遂げた。


(あの娘はまだ生きてるのか? 確かめるために我を信仰する者がいるのかで、確認するしかないな)


 まずは現在地を確認する。ここは敗戦の地となったユーザニアの近くだったので、即座にその場を離れてペンドルトン聖教国へ向かったが、今の時代には存在せずアルカディア王国という国になっていた。あれからかなりの時が流れたのだから、世界情勢が変わっていても仕方ないが、我を信仰していた国がなくなってるのは残念で仕方ない。


 再び我を信仰させるために奇跡を見せるのが1番だが、どんな奇跡を起こしても七神女神たちの偉業となってしまう。ペンドルトン聖教国がないということは、唯一神の存在を知る者は誰1人居ないという可能性が高い。


 手っ取り早く邪な考えを持つ馬鹿どもを従え、馬鹿どもを使って信者を増やすのが良策だろう。


 やるべきことは決まった。あとは我を信仰する者が現れれば、あの娘がこの世から居なくなったということになる。我を止める抑止力となる〘拒絶〙さえなければ、七神女神など恐れるに足らず。一気に勢力を拡大して再びこの世の絶対神に返り咲いてやる。


 さて、邪な感情を持つ者を探すとするか……


§アネモネ視点§

 いつも通りアリスさんの日常を見ながら楽しんでいると『ゾクッ』と背筋が寒くなった。


(この感覚は……、遂にこの日がやってきてしまったのね……)


『バッ、ババババンッ!』 


 そう思った瞬間、私の元に他の女神がやって来た。私と同じように邪神ジャミアの復活を感じとったみたいだね。


「アネモネ、これは親父ジャミアか?」


 強張った表情をしたローゼが真っ先に話しかけてきくると、私が静かに『コクリ』と頷くいたあとに、深く目を閉じたシエルも続くように口を開いた。


「やはり、私たちでは父上ジャミアを消滅させることは無理だったのね……」

「そうみたいね。かなりのダメージを与えれたんだけどね、私たちでは力不足だったね。復活するのに1.,000年近くの時間がかかったんだから、よくやった方だよ!」


 残念にそうに語るシエル、私はできるだけ明るく振る舞うように努めて応えると、アーニャは悔しそうな表情で語り始める。


「もう……、サツキは居ない、アレジャミアを討つ手はないってことだよね?」


 前回の聖戦では、サツキさんが参戦して〘拒絶〙を使ってくれたから勝つことができたけど、そのサツキさんはもう居ない。私たちだけでは絶対に勝てない相手だと理解してるので、私以外の女神たちの表情は険しいものだった。


「大丈夫だよ。サツキさんはこの未来を知っていたから、天寿を全うしたんだもん」


 そう、私はこうなることを知っていたの。だってサツキさんの天寿を全うさせたのは、命の女神である私なのだから……


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