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第8話 合同演習開始

 第一回目の合同演習の日を迎える。


 これまでは、クラス毎で行われていた授業だけど、初めて全クラスでの合同演習が2泊3日で行われる。場所は王都から少し離れた大草原で、比較的弱い魔物との戦闘経験を積む為の授業なの。ほとんどの生徒がこの合同演習で実戦デビューするみたいで、十傑以外の生徒はかなり緊張している面持ちだった。


 大草原で出現する魔物は【ゴブリン】【グラスウルフ】といったところで、私と従者にとっては雑魚だから全く練習にならない。なので、クラスメイトのサポートをしようと思ってるの。


 大草原へは、クラス単位での馬車移動するんだけど、Sクラスだけは特別待遇で自前の馬車移動を許されている。そんな訳で私の馬車にはマリアンヌとセイレーンを乗せて移動してるけど、移動する前にかなり揉めたの。原因はリオネルで、私を王家の馬車に乗せようとしたからだった。最終的には私は平民なので馬車に乗せるには、国王の承認が必要だということで、なんとか事無きを得たんだけどね。『次の演習では父上の承認をもらう!』なんて言ってたけど、本当に余計なことはしないで欲しい。


 そして数時間ほど馬車に揺られると大草原に到着した。


 先ずは活動拠点にするテントを張る。拠点を確保した次は、戦闘できる装備に着替えて集合場所へ向かったけど、何故か視線を感じたんだよね……。他のクラスの男子生徒が私を見ているみたいで、階級制度の社会では仕方ないことなのかな?


「アリス様を見慣れてない者は、その容姿に見惚れてしまいますよ。私も今日のアリス様のお姿は美しいと思い、同性でも見惚れてしまいすから」


 周りの視線を気にしていると、マリアンヌが笑みを浮かべながら話しかけてくれたので、少し気持ちが楽になった。従者たちはなにか話し合っているけど、その内容は聞こえなかった。


「まぁ、害が無いならいいんだけどね。ゼシカ達は何を話しているの?」

「はい、しゅく……、あっ、宿泊する時はマリアンヌとセイレーンをテントに招く話です! さぁ、集合場所へ向かいましょう」


 少し焦りながら返事をしたけど、何か変だなと思いながらも集合場所へ移動した。生徒が集まると合同演習の説明が行われ、今日から2泊3日の合同演習で、初日は昼夜で交代しながら魔物の間引き、2日目は朝昼夜で交代しながら魔物の間引き、3日目は後片付けをして帰校する。編成はクラス単位で2部隊を編成して、合計10侮辱隊でエリア毎に交代しながら魔物の間引きをというものだった。ちなみにSクラスは十傑とそれ以外で舞台が分かれたの。日頃から一緒に行動をしているメンバーで組むのが良いからね。


「説明が終わり30分後に間引き討伐が開始する」

「「はい」」


 こうして実質2日間の合同演習が始まったの。



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