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第18話 邪神徒ダニエル②

 そして合同演習が始まり、私達はいきなり昼の当番に当たったので森林へ進んで行く。少し不安があったけど、ダニエル先輩は隊のリーダーとして仕事をそつなくこなした。気配感知はできなくても過去4年間の経験による知識で、隊員に的確な指示を出す。


「木々の間隔が密集してきたら進行速度を落として、足音に気をつけながら進むこと。視界は悪いから音に注意だよ」

「魔物は木を通り抜けることはないから、木々の間はを狙えば確実に当てれるから、魔法は無闇に撃たないことを心がけてくれ」


 ダニエル先輩の指示のおかげで、魔物の殲滅は順調に進んでいった。なるほど、ダニエル先輩の能力は物足りない感じはするけど、成功と失敗を繰り返すことで得た経験を遺憾なく発揮している。ゆっくりでも着実に成長はしていることを実感することができた。個人的には個々で討伐することも必要だと思うけど、学園の方針だから言っても仕方ないと諦める。


 着実と殲滅を繰り返していると、日が傾いてきたところで拠点へと戻り夜の当番と交代する。次は朝の当番になるので、隊で夕食を取って体を休めるだけだ。隊で焚き火を囲みながら夕食を取っていると、ダニエル先輩が口を開いた。


「お疲れ様。怪我人を出ずに戻れたことは喜ばしいことだね。明日は朝と夜を担当することになる。朝は昼と同じ感じで大丈夫だけど、夜の森林は非常に視界が悪い、特に木々に潜む魔物を見落としで後方からの襲撃に備えて、隊列を前から3年、1年、5年で組もうと思うんだけど、どうだろか?」


 経験者で先輩たちが前と後ろを務めるのは、無難な選択だと思う。まぁ、気配感知ができる私が殿を務めるのがベストなんだけどね。そこはリーダーの意見を尊重することにする。そして誰からも異論は出ないので、もう一度ダニエル先輩が確認する。


「異論がないならこの隊列でいくからね」

「「了解!」」

「じゃあ、食事の後は明日に備えてしっかりと疲れを取って欲しい。今日はお疲れ様でした」

「「お疲れ様でした」」


 それぞれが食事を終えると、明日からの演習に備えて疲れを癒したのだった。


§ダニエル視点§

 食事を終えると邪神徒の同士が集まり、邪神ジャミア様へ祈りを捧げた。祈りのあとは明日のことを再確認する。


「皆、【呪魂の首輪】は持っているな?」

「「あぁ」」

「いよいよ、愛し子を葬る時がきた」

「「あぁ」」

「この首輪を嵌めれさえすれば、こちらの思う通りになる。愛し子が『殺して欲しい』と言うまで蹂躙するぞ」

「「おぉ、傍の女ども蹂躙だ!」」

「決行は夜の演習だ。気合を入れるぞ!」

「「おぉ!」」


 明日、天啓に従い七神女神の愛し子を蹂躙し始末する。そして俺達は新たな力を得て生まれ変わるのだ!



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