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第18話 刺客

 夜、俺はトン爺がいる書庫に移動する。


 トン爺の教え方はとても上手で、魔法書の要点だけを上手く纏めて教えてくれる。


 だから俺はこの短期間で基礎的な魔法を殆ど覚えることが出来た。


 「今日は治癒魔法を教えてもらいたいな」


 俺はそんなことを言いながら、書庫に入ろうと足を向ける。


 だがその瞬間、背後から気配を感じる。


「誰だ」


 俺はそう言いながら後ろを振り向く。


 するとそこには黒い布を被った人物が立っていた。


 俺はその人物が只者ではないことを一瞬で感じ取る。


「バレちまったか、残念」


 その黒い布の人物はそう言い、ポケットからナイフを取り出す。


 ナイフは刃をむき出しにしており、その鋭い刃を見た瞬間に分かってしまう。


 こいつはきっと俺を暗殺しに来たのだ。


 俺はすぐに戦闘態勢に入る。


「誰の差し金だ?」


 俺がそう聞くと、黒い布の人物はニヤリと笑みを浮かべる。


「教えるわけねーだろ」


 そして次の瞬間、そいつは俺の目の前にまで移動していた。


 俺はすぐに距離を取ろうとするが、既に遅く、ナイフが俺の腹部に刺さろうとしてくる。


《中級魔法 炎壁!》


 俺は地面から炎の壁を出し、ナイフを弾く。


 そしてそのまま炎壁で相手を閉じ込めようと試みるが、相手はすぐに反応して炎壁の外へと逃げる。


「あれれ? 無能王子と聞いたんだがな」


 黒い布の人物は俺にそう言ってくるが、俺はそれを無視して、次の魔法を唱える。


《上級魔法 炎槍!》


 俺がそう言うと、炎の槍が現れ相手に向かって放たれる。


「こ、これはやべえ」


 相手はそう呟きながらも、炎の槍を避けようとするが、炎の槍は追尾する。


 そして黒いフードの男に直撃し爆発音が鳴り響く。


「おい、誰の差し金か喋ってもらおうか」


 俺は男が倒れている所に向かって歩きながらそう叫ぶ。


「く、くそ、無能王子って聞いたのによ!!!!」


「あ、待て!」


 黒いフードの男は隙を見て書庫を去っていく。


「ど、どうなっているんだ?」


 原作だと学園を卒業した後に俺は暗殺されるはずだ、なのに今俺は暗殺されそうになっている。


 普通に考えて、俺を狙ってくるのはおそらくアリスだろう。


 だが今の俺はアリスにとって脅威になる相手か?


 アリスは優秀な人間だ、今無駄なことをして王位継承争いを不利にする必要はないだろう。


 あと考えられるのはアデルか?


 だけどアデルは原作で優しい主人公として人気があった、現段階で俺の暗殺を企んでいるとは考えにくい。


 ならば誰が俺の命を狙っているんだ?


 それが分かるまでは下手に動けないな。


 まあ今の俺なら大抵の相手には負ける事はないけどな。


 だが油断は禁物だ。


 俺はこの事について考えながら、トン爺のいる書庫に向かうのだった。


 ―――――――――

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