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第34話 原作の知識 アデル視点

「ほら、言った通りだろう! 僕の解析能力があればこんなに早く進めるんだ!」


「確かに、凄いわ」


僕は今、アリスと2人でダンジョンに潜っている。


 このダンジョンには魔王と戦うのに必要な素材、神玉が眠っている。


だが神玉を手に入れるにはこのダンジョンの10階層にいる魔物を倒せなければ入手出来ない。


(今回は僕に利がある。僕は原作でこのダンジョンを何回もクリアしているんだ。マップの内容はほぼ覚えている)


「ここを左に曲がるぞ」


「どうして?」


アリスは僕の後ろをついてきながら、そう聞いてくる。


僕はその質問に、余裕の表情で答える。


「右の道からは魔力を感じるんだ。恐らく、魔物か鉱石があると思う」


確か右の道は鉱石が埋まっているため、魔力の影響によりループする仕組みになっている。


 それに加えてゴーレムというS級レートに指定されている魔物が複数体徘徊しているはずだ。


この2つの要素が組み合わされば、攻略難易度が跳ね上がる。


 だが僕はその事を知っているため、先へ進むことが出来るのだ。


「どこでそんな知識を学んだのかしら?」


「しゅ、趣味でダンジョンの構造を勉強していたんだよ」


僕はそう答えると、彼女は納得したように頷く。


そしてそのまま道を進んでいくと、少し広い空間に出た。


「あら、やっと魔物の気配を感じるわ」


「ルート的に、ここは避けられないからな」


僕がそう答えると、奥から大きな足音が聞こえる。


 そして勢いよく出てきたのは、《サンダーベア》と呼ばれる魔物だった。


その魔物は大きな爪を持ち、雷を身に纏っている熊だ。


「いいわ、道案内のお礼に、私が倒してあげる」


アリスはそう言って魔力を高める。


 《上級魔法 闇槍》


するとアリスの手の中から、黒色の槍のようなものが現れる。


『ガァァァァァァ!』


「うるさいわね」


サンダーベアはその長い腕を使い、アリスを攻撃しようとするが、彼女はそれを華麗に避ける。


 そしてそのまま《闇槍》をサンダーベアの体に突き刺した。


するとサンダーベアの体が痙攣し始め、数秒も経たずにその体は灰となって消え去る。


「や、やっぱりアリスを連れてきて正解だ」


「あら? なに突っ立ってるの? さっさと案内しなさい」


そう言ってアリスは先へと進んでしまう。


(アリスの奴……王位争いに勝ったらボコボコにしてやる)


そう心に決めながら、僕はアリスの後を追って先へ進むのだった。

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