私と同じように、敵もルクスを乱射してくる。だが、ルクスさえ消し去ってしまうイレイズの前では、三機しか残っていないゼルクは敵では無かった。
「エリオンさん、ゼルクは全部消し去った! 後はどうすればいい!?」
「よくやった! 私が乗ってきたゼルクに乗れるか? レヴァナントにイレイズを放って欲しい! 一部を削るだけで落ちる可能性は高い!」
ヴェルミラの兵器は手順を踏むだけで、操縦方法が簡単にインストールされる。実機に乗ったことはないが、きっと大丈夫だろう。
「操縦は大丈夫だと思う! た、ただ、操縦しながら上手くイレイズを放てるかどうか……」
アレンとリオ、そしてレクトは立ち上がることが出来ず、エリオンはリオたちの治療で手が離せない。
その時、上空で爆発音が響いた。
見上げると、レヴァナントが対空レーザーで、レクトが生成したドームを破壊しているところだった。レーザーを撃てるくらいの量術が、やっと充填されたのだろう。
崩れたドームの破片が、ガラガラと私たちの元へと落ちてくる。ミレルはソルフィスを解き、アブソルヴェールを発動させた。
「み、見て、サリアちゃん! あんなに沢山……」
ドームがなくなり現れたのは、満点の星空と
「レヴァナントは逃げる気だ……遅れてくるヴァルザーク艦と合流するつもりだろう。そうなったら、手遅れになるかもしれない……し、仕方がない。ミレルさん、少しの間だけリオを――」
「――お、俺は無理だよな、エリオンさん。その、ゼルクってのを操縦するのは……」
「お、お兄ちゃん!?」
ハルキの突然の提案に、ミツキは声を上げた。
「い、いや、ゼルクは操縦法をインストールしてくれるから、すぐに操縦は出来る。だが、大丈夫なのか……? 死ぬかもしれないぞ」
「このまま何もしないで、死ぬよりずっとマシだ……そもそも、地球が攻められてるんだ、本当は俺たちがなんとかしないといけない。――行けるか、サリア?」
ハルキが初めて、私の名前を呼び捨てにした……どうしてだろう、少しだけ嬉しく感じたのは。私はハルキの手を引き、ゼルクの操縦席へと乗り込んだ。
「ここだ。このスクリーンに手のひらを乗せて。しばらくで操縦方法が頭に入ってくるはずだ」
ハルキは言う通りに手を乗せたが、難しい顔でスクリーンに乗せた手を見つめ続けている。もしかして、地球人にはインストール出来ないのか……
「は、入ってきた! わ、分かるぞ操縦方法が! 行くぞ、サリア!!」
ハルキは操縦桿を引くと、ゼルクは勢いよく宙に舞い上がった。