「待たせたね、アレン。黙って出ていってしまい、すまなかった」
ドレイク大佐……いや、これはエリオンの声と言ったほうがいい。新たに現れたヴァルザーク艦から声が響いてくる。それと同時に、ドアを激しく叩く音と「出てこい、ドレイク!!」という怒声も聞こえてきた。エリオンは一人、操縦室にでも立てこもっているのだろうか。
「エっ、エリオンさんなのか!? い、一体、どういうことなんです、これは!?」
「すまないね、アレン。ゆっくり話をしている時間は無いんだ。——ミレルさん、 今からヴァルザークを落とします! アブソルヴェールの準備を!!」
「そっ、その声はドレイクかっ!? きっ、貴様どういうつもりだ!! あっーーー!!」
ザイル中将の叫びが、夜空にこだまする。
エリオンが操るヴァルザーク艦を、ザイルのヴァルザーク艦へと激突させたのだ。巨大な二艦の激突音は、簡易ハウスまでを震わせた。直後、エリオンのヴァルザーク艦がレーザーを放つと、両艦は激しいレーザーの撃ち合いとなった。
「そこまでだ、ドレイク!! この、裏切り者がーーーっ!!」
ドアを蹴破る音と共に、けたたましい銃声が鳴り響いた。直後、誰かが床に倒れた音が夜空に響く。エリオンが乗った、ヴァルザーク艦からの音声だった。
「サ、サリアっ!! ヴァルザークを落とすぞ!!」
二艦のヴァルザーク艦が激しく炎を上げる中、アレンと私はゼルクへ向けて走った。
「あの二艦が真上から落ちてきたら、アブソルヴェールでも厳しいかもしれん! 出来る限り消し去ってくれ!!」
「分かった、やってみる!!」
私たちが乗ったゼルクは勢いよく浮上し、二艦のヴァルザークへと向かっていく。
レヴァナントの時のように、躊躇はしない。
必ず、一度で仕留めてみせる。
みるみるうちにヴァルザーク艦が近づいてきた。レヴァナントほどではないが、この艦も相当に大きい。対戦艦用の船ということもあり、大きな主砲が目に入る。だが、至近距離から互いに撃ち合ったせいだろう。その主砲はすでに、原型をとどめてはいなかった。
これも全て、エリオンのおかげ……
エリオン……私は、少しだけ……ほんの一瞬だけど、あなたを疑ってしまった……
本当に……本当に、ごめんなさい……
私は渾身のイレイズを二艦に向けて放った。エリオンによって無力化されたヴァルザークは、何も反撃できないまま、鋼の