第三章
修学旅行の日程は二泊三日で、一日目は那覇空港に到着後、那覇市内散策と首里城へ赴く。
二日目は糸満市のひめゆりの塔、ひめゆり平和祈念資料館にて、戦争体験の話を聞く。
三日目はシュノーケリングだ。
バカンス半分、戦争の学習半分といったスケジュールになっている。
夏の沖縄はカラリとしていた。眼の前に広がるのは、一面の青い海。コバルトブルー? エメラルドグリーン? 群青? なんて名前をつけていいかわからない、日本海とは全然ワケが違う美しい海の写真を撮る。
三日目にみんなが来たであろう恩納村の海は、初めて見る景色だった。夏の間、日中は太陽光が強すぎるので、早朝や夕方に海水浴やシュノーケルをしている人たちがいる。
ここにたどり着くまでにすべての工程を修学旅行通りに訪ねた。
修学旅行前に、スマホを持っていくのが禁止ということについて、クラスメイトは散々愚痴っていた。
「スマホないと写真とれないじゃん」
「使い捨てカメラは持っていっていいらしいよ」
「今どきそんなん売っているの?」
飛行機の焼け跡から遺品が色々見つかったそうだが、例えカメラを持っていてもすべて黒焦げなのだろうか。こんな景色を見ていたんだ。
桟橋に立って、360度見渡した。
「有川様ですね。お待ちしておりました」
当然、僕もシュノーケルを体験する。色とりどりのサンゴと魚たち。こんな美しい世界を見たその日、みんなは地獄を見ることになるだなんて。
恩納村だけではなく、名護の海、糸満市の海、宜野湾の海、沖縄本島を一周まわってあちこちの写真を撮った。