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【訴訟リスク】それでも女性にAEDを使いますか?【セクハラ/見殺し】

 とつぜんですが問題です。キミの身近なトコに"AED"はありますか?


 ドコにありますか? 頭のなかで数え上げてみてください。


 学校、コンビニ、他ありとあらゆるところにあるね。


 公的機関扱いされる、たとえば学校や鉄道、病院、はたまたホテルなどでは設置が推奨・・されてます。現在の日本では義務じゃないけど、こういった施設を眺めるとだいたい赤いハートマークの目立つアレがある。


 使ったことありますか? 講習で習ったことありますか? 医療従事者や消防関係、民間でも自動車運転免許を取得する過程で触れるかもしれないね。


 存在は知ってる。身近だけど日常生活で触れることがない。それがAED。でも、そんなAEDがある大問題を抱えている。


「男性が女性にAEDを使うのは訴訟リスクがある」


「オンナは助けるな!」


「介抱を装いつつ性加害するオスを許すな!」


「オトコに見られるくらいなら死ぬほうがマシ!」


 いやすげーあるな(驚


 いち例を出すつもりで『男性が女性にAED』とググって出てきた意見を書くだけでコレよ。まー大問題になるわけだね。


 でもこれただのくだらないSNSの炎上騒動でもない。実際、AEDが使われる割合は男性のが高く女性が低い傾向にあるし、Abemaでは「(男性である自分が)女性をAEDを用いて助けたら訴訟された」なんていう話もあるそうだ。


 キミは男性? それとも女性?


 男性であるキミはどうする? たすける? みすてる?


 女性であるキミはどうする? 裸体をさらすことを甘んじて受ける? 社会的に殺す?


 結論を書けば『リスク回避は大事』ということ……そもそもAEDってなんだ? という話からしていこう。






:AEDってなんだよ:


 Automated External Defibrillator。日本語では自動体外式除細動器。


 難しい単語が並ぶね。でもこれカンタン。ザックリ書けば『心拍がおかしい・・・・ときに、それを正常に戻してくれる機械』だ。


 何かしらの事故があって、意識不明になってしまった人がいる。そういった人にAEDを取り付けて、AEDが心臓を調べて電気ショックを与えるべきかどうかを判断し、AEDから流れる音声に従い操作するだけ。


 けっこうカンタン。わたし自身、講習を受けてやり方はしってる。医療ドラマのようなパットを胸に当ててドン!! とかいう演出もない。どっちかってと蛋白で「え、これでおわり?」くらいのあっけなさ。


 意識や呼吸がある。もしくは心臓が完全に停止している時は使わない。が、AEDを使わなければならないような現場では何が起きるかわからない。だから、たとえ心停止中であってもAEDを取り付けておく。だって、心臓マッサージ中に鼓動が復活するかもしれないから。


 いちばん重要なこと。AEDはあくまで応急手段であること。


 倒れた人を見つけたらすぐ救急車を呼ぶのが鉄則だ。救急車がこちらに駆けつけるまでに行える必要最低限の行為がAEDであり、心臓マッサージであり、人工呼吸なのだ。


 毎日200人。日本のどこかで、突然心臓が止まる人がいる。ウソのようでホントの話。それと同時に、AEDがあることで救われた命もある。


 2025年4月現在、日本ではAED設置の義務はない。ただ公共施設では推奨されているので、学校などでは当たり前のように存在する。スポーツ施設にもあるね。存在を知ってるけど使い方はわからないという人は大勢いるでしょう。自分も講習を受けたとはいえ覚えているかどうかテストされたら微妙なところだし、第一その現場に居合わせたとき、身体が動いてくれるかはわからない。


 ただまあ、AEDがどんなもので、どう使えばいいのかを知っておくだけでもいいんじゃないでしょうか?


 なお、AEDは電気ショックを行う器具のほか、タオルやハサミなど必要となる物品も収納されています。軽微な出血があるかもだし衣類を切らなきゃいけなくなる理由もあるので。


 一部では「ブラジャーを装着してても使えるから安心だよね!」などと言ってる方もいらっしゃいますが、倒れた女性がつけてる下着に金属がない根拠なんてありませんので、ブラは基本外さなければなりません。ってかワイヤーふつうに金属だろ。


 AEDが心電図解析する際に障害となる場合もあるのでブラ外し必須。必要ないと書いてる人の根拠は知らない。まあ、やけどしたとしても、心電図解析がおかしくなったとしても"使える"から問題ない、安心してねというのなら止めはしませんが。






:訴訟リスク:


 巷で騒がれる「男性が女性にAEDを使うと訴えられる! 女性は助けるな!」は本当なのでしょうか?


 以前、AbemaTVで『男性が女性にAEDを使い強制わいせつ罪の被害届を出される』的な趣旨の動画がアップされました。わたしの記憶が正しければ、訴えたのは女性の父親だったようで、最終的に和解が成立したとかなんとか。


 が、その後にその証言が真実である裏とりがとれなかったというニュースが出て謝罪まで発展したという。動画を確認しようとしたら見れんかった。


 嘘か真か。それを知るすべはなし。とはいえ、この時点でけっこうおもしろい現象にたどり着いている気がする。


 嘘か真か・・・・がわからない・・・・・・状況に・・・なっている・・・・・こと。たとえばキミが通ってる学校、もしくは会社が突然変形して空に飛び立った! という情報がでまわり、それが裏とりできず報道番組が謝罪する事態になったとしよう。そしたら、キミはどんな気持ちになるだろうか?


 まず間違いなく「なんだぁ、じゃあやっぱり・・・・なかった・・・・んじゃん」という流れになるでしょう。だってそんなこと起こり得るはずがないもの。


 けど、AED訴訟に関するこの誤報(かどうかはわからないが)による謝罪のあとに「なんだぁ、じゃあやっぱりなかったんじゃん」という流れにはなってない。


 現在の日本は『男性が女性にAEDを使った結果、訴えられてしまったという事実が生まれてもおかしくない社会である』という、ある種の受け入れ体制が出来上がっているのでしょう。


 ショージキこの時点で訴訟リスクがあると判断せざるを得ない。そもそも他人の服を脱がす = アウトだし、他人の服を切断する = アウトだ。もちろん、相手の命を助ける緊急回避的な行為だけど、万が一訴えられた場合、やった側が緊急回避性を証明しなければならない。っとなると使ったAED死守して記録された情報を提出するっきゃないか? いやそもそも記録されてる?


 多くの人を巻き込んで『自分は助けるためにやったんだよ』を証言してもらえばいい? じゃあ自分とその人だけだったらどうする? 周りの人が証言してくれなかったらどうする? そもそも証言だけで事足りるのか? 最終手段として考えられるのは、たとえば倒れてる人を発見したらスマホかなにかを用意して動画撮影して『倒れてる人を助けようとしてる自分』を撮影する必要がある? いや緊急時にそんなことしてるヒマあるかと問われたらどうする? ……なんだろう、もう疲れてきた。


 こんなこと考えるくらいなら人助けしない、と考える人のが増えてくんじゃないかなぁ。


 道端を歩いてるとき何かがあったとする。それに口やら手やらを出して何か・・があったとき、その責任を問われる可能性がある。それなら、はじめからスルーしてしまったほうが良いのではないか?


 この問題、わりと奥が深い。たとえば欧米、オーストラリアなどでは『善きサマリア人の法』というのがある。ザックリ書けば『キミが人助けをして何か・・が起きても罪に問わないよ』というもの。


 もちろんそれぞれ差がある。あまりにもデカいやらかし・・・・をした時はさすがに罪に問わざるを得なかったり、逆に『危ない目に遭ってる人を助けないと罪に問うよ?』という法律があったり。まあ、実際にその法律が制定されてるフランスがそのとおりにしてるかどうかはさておき。


 日本にはこういった法はない。だから、もし人助けのつもりで手を差し伸べた結果、相手の服を脱がしたりちょん切ったりした日にゃあ相手から訴訟されることもあるかもしれないし、ないかもしれない。


 訴えられてもセーフかもしれないし、アウトかもしれない。警察庁がそういった事例を把握してない・・・・・・だけで実際にあったかもしれないし、これからその事例が増えたときアウトになるパターンが増えるかもしれない。


 すべてかもしれないという話。だけど"かもしれない"ということは、そこに確かに訴訟リスクがあるということなのだ。






:使う/使わない:


 これらの文言を書き上げて、さらにキミたちに訪ねたい。


 男性であるキミは女性にAEDを使う? 使わない?


 女性であるキミは男性にAEDを使ってほしい? 使ってほしくない?


 ここだけの話で考えてみてください。実行する機会なんて一生ないかもしれないので考えるだけなら可能性は無限大ですよ。


 わたしは"助ける"でしょう。考える前に身体が動くでしょう。少なくとも何かしようとするでしょう。ただし、おそらく上記で挙げたようなリスクに恐怖心を抱くでしょう。


 訴えられるなんてことはないと、躊躇せず助けていいんだよという他人の無責任な言葉は関係ない。実際にあるリスクだからこそ、そこに消しようのない恐怖心がある。


 客観的事実の話。熊本大学の発表によると、緊急事態におけるAED被使用率は男性より女性のほうが低い。ただ、応急処置を受けたとき助かる確率は男性より女性のほうがやや高いそうだ。とくに若年女性の影響は大きい。つまり、若い女性ほどAEDを受けたほうが良いのだ。


 という数字だけ見れば、というか当たり前に緊急時はAED使われたほうが良いに決まってるし、一部女性の「セクハラ目的だろクソオスが!」的な声は自分たちのため言わないほうが良いとさえ思える。


 まあ、多様性が叫ばれる昨今だし、それぞれの意志は尊重されるべきだろね。


:熊本大学:

ttps://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2023-file/release230706.pdf






:くだらない議論をせざるを得ない社会:


 多様性の意志は尊重されるべきである。それはわかる。わたしは別に、キミが差別至上主義者でも構わないと思うし宗教的な理由で肉を食わない人であっても構わない。


 それぞれの意志は尊重する。それぞれの思いのままに行動できることこそ多様性だ。無理強いはしない。ただ、正直な気持ちを書けばくっだらねー話だと思うし、くっだらねー話をしなきゃいけないような時代になっちゃったのかーとも思う。


 日本とか世界とか日本人とか関係なく、その集団社会が「人助けはあたりまえだよね。倒れてる人がいたら助けてあげるのがあたりまえだよね。必要ならAED使って当然だよね。男女なんて関係ないよね。そんな大事なときにセクハラなんて考えられないよね」という認識のもと回ってるなら、そもそも訴訟リスクがー配慮がー法整備がーなんて話にならないのですよ奥さま。


 けど現状の日本は『男性が女性にAEDを使う』というワードだけであれだけ・・・・の話題になる。SNS上でも「女性は見捨てろ!」とか「オトコにAED使われるとかサイアク!」的な文言があちこちで見られる。もちろん、SNSは性別を偽ることもできるし炎上目的でいろんな発言ができる場でもある。が、それってつまり炎上できるほど・・・・・・・注目されやすい・・・・・・・話題・・ってこと。


 少なくとも、日本はいま人助けという当たり前のことすらしにくくなっている時代なのだ。


 セクハラされるかもしれないという可能性を考えざるを得ない治安になっているのだ。


 訴えられるかもしれないという可能性を考えざるを得ない感覚になってるのだ。


 わたしたちはそういう社会に生きているのだ。


 そりゃあ人助けのハードルが上がるワケよ。実際人助けは難しい。わたし自身、倒れてる人を助けたことがあるけどほんっと一歩目勇気要る。助けようというマインドセットになるまでもそうだし、実際に行動するまでもハードル高ぇでやんの。


 ふつう・・・はそんなの考えるまでもない、という社会であるべきなんだけどね。


 最後にもういっかい書いてみますか。


 男性であるキミは、助けが必要な女性にAEDを使う? 使わない?


 女性であるキミは、男性にAEDを使ってほしい? 使ってほしくない?


 ついでにもうひとつ。女性のキミは、倒れてる男性にAEDを使う? 使わない?


 さいごにもうひとつ。キミはを助けたい? 助けたくない?


 答えはキミの中にある。行動できたら、それはとても素晴らしいことだ。胸を張って叫ぼう。


 わたしは人助けをするんだと。

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