時間になり隆君と藤川先生がログインする。
「急な呼びかけにも、関わらずご参加して頂きありがとうございます。連盟と両大学の弁護を引き受けさせて頂く、湯浅 隆と申します。宜しくお願いします。」隆君が綺麗にお辞儀をする。
「荒木 リサさんの弁護を引き受けさせて頂く藤川 拓夢です。よろしくお願いします。」藤川先生も綺麗にお辞儀する。
ひと通り自己紹介がし終わる。
「早速ですが、本題に入りたいと思います。まず、山村 周平に対しては、はっきり言って、金銭的なものは期待できません。両親の支払い能力を加味しても、連盟・茨城大学・奈良大学に30万ずつ、長崎選手と荒木さんに50万ずつがギリギリ払えるラインです。払えない金額を提示して分割を言われると踏み倒され可能性もあるので、一括で払えるギリギリラインで攻めた方が良いです。」隆君が淡々と説明する。
うん。うん。っと頷く中、長崎君が遠慮がちに話す。「あの、私は個人で訴える予定はないんですが?大学として訴えます。」
隆君と藤川先生が無言で2度、頷く。
「はい。承知してますが、被害を被った御本人なので、長崎選手が個人で慰謝料を貰うべきだと、私たちは考えています。」「‥‥‥‥‥‥‥。わかりました。お願いします。」っと長崎君が頭をさげる。周りも頷いていた。
「出版社の方なんですが、マトモに裁判すると、かなり時間がかかります。明らかに嘘記事だと言う証拠があるんです。山村周平と荒木さんが離婚したときに‥‥‥‥山村周平の慰謝料の金額を設定する時に、【山村周平は不倫しました。慰謝料を払います。】というような内容な
ものに署名・捺印したものがあります。コレを盾にかなり高い金額で訴えます。そうすると、勝てる要素がない場合は示談をもってくる、必ず。その時に、少し金額を下げられるので丁度良い金額になります。」
「ほぉー。」「へぇー。」っとみんな隆君の説明に感心する。
「金額は、裁判代プラス僕達の弁護士費用に、両大学に500万・連盟に300万・長崎選手と荒木さんに500万にします。示談交渉で、裁判・弁護士費用プラス両大学に200万、 連盟に100万、長崎選手と荒木さんに300万ずつぐらいになると思います。あと‥‥‥‥、すぐに謝罪と訂正記事を巻頭で出させます。これで、どうでしょうか??」
皆、感心して何も言えず、ただただ頷いてるだけだったけど、将太君が口を開く。
「慰謝料のお話は分かりました。ただ、それだけでは、付き纏いはなくならないと思います。もう、生活区域もバレてしまっているし‥‥‥。危ない。」
横に座る将太君の真剣な顔を見る。
「はい。それに関しては私からお話します。」隆君から藤川先生にバトンタッチされる。
「裁判所に保護命令を申し立てして接近禁止を出して貰うことも検討しましたが2回の待ち伏せのみで電話やメールはないので難しいかと思います。なので、警察署に私と一緒に荒木さんには相談に行ってもらいます。それで警察から、山村周平に対して警告を文章で出して貰います。次したら逮捕です。というような警告文章です。普段は真面目な社会人なので、かなりの抑制が期待できると思います。どうでしょうか??」バッと一斉にみんなの視線を感じた。「はい。行きます。付き添いお願いします。」立って頭を下げる。
「分かりました。早速、明日、行きましょう。」
「えっ。私は大丈夫です。先生はお休みでは??」
「私も大丈夫です。弁護士に年末年始はないです」っと藤川先生は優しくほほ笑んでくれる。
「ありがとうございます。」もう1度、頭を下げる。